pauperはいいぞ。

今回もやっていきましょう、デッキピックアップのお時間です。
ご紹介するのは第15回コウノトリ杯優勝、わふさんの赤単バーンです。

早速リストから見ていきましょうか。


【土地 18】
山 14
忘れられた洞窟 4

【クリーチャー 8】
熱錬金術師4
火付け射手4

【呪文 34】
溶岩の撃ち込み 4
稲妻 4
稲妻の連鎖 4
裂け目の稲妻 4
針落とし 4
炎の突き 1
焼尽の猛火 4
マグマの噴流 1
火炎波 4
貫かれた心臓の呪い 4

【サイドボード 15】
灰の殉教者 4
紅蓮破 3
粉々4
溶鉄の雨 3
鋭い痛み 1



●『赤単バーン』はどんなデッキ?

ただただライフ20点を焼き尽くすのみ。


・・・とまあデッキ名からわかる通りあまりにもシンプルすぎる戦略、一点突破の赤というカラーパイの権化なデッキです。
基本的に火力呪文が充実しているカードプールの広いフォーマットにおいて、バーンという戦略は基本的によく成立しておりかつ愛好家の多いアーキタイプであることは周知の通りですが、ことpauperにおいてはTier上位デッキとして名を連ねることの多いデッキです。

それは何故なのか?
理由はこれまた単純、「個々のカードパワーが高いから」 の一言につきます。
具体的には、≪火炎破≫や≪焼尽の猛火≫を筆頭にした非常にダメージ効率に優れた火力スペルが多く採用できるデッキです。
レガシーで組めるバーンデッキと遜色ないレベルといっても過言ではないでしょう。

Fireblast / 火炎破 (4)(赤)(赤)
インスタント
あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、山(Mountain)を2つ生け贄に捧げることを選んでもよい。
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。火炎破はそれに4点のダメージを与える。


Searing Blaze / 焼尽の猛火 (赤)(赤)
インスタント
プレイヤー1人かプレインズウォーカー1体と、そのプレイヤーかプレインズウォーカーのコントローラーがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。焼尽の猛火はそのプレイヤーかプレインズウォーカーに1点、そのクリーチャーに1点のダメージを与える。
上陸 ― このターン、土地があなたのコントロール下で戦場に出ているなら、代わりに焼尽の猛火はそのプレイヤーかプレインズウォーカーに3点、そのクリーチャーに3点のダメージを与える。



それぞれの採用カードについて、そしてpauperならではの構築については後述。


●注目のカード

近年に至るまでpauperのバーンデッキはレガシーのそれと同じように、単純なバーンスペルと一部の継続的なダメージソースを置くデッキが主流でクリーチャーカードを多く採用する例は稀でした。
しかし「破滅の刻」参入以降の環境では、≪熱錬金術師≫と≪火付け射手≫という2種のダメージソースを搭載するのが一般的な構築となっており、pauperのバーンにデッキにおける特徴だといえるでしょう。


Thermo-Alchemist / 熱錬金術師 (1)(赤)
クリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
防衛
(T):熱錬金術師は各対戦相手にそれぞれ1点のダメージを与える。
あなたがインスタント呪文かソーサリー呪文を1つ唱えるたび、熱錬金術師をアンタップする。
0/3

Firebrand Archer / 火付け射手 (1)(赤)
クリーチャー — 人間(Human) 射手(Archer)
あなたがクリーチャーでない呪文を1つ唱えるたび、火付け射手は各対戦相手にそれぞれ1点のダメージを与える。
2/1



どちらも火力呪文に+1点を継続的に積み重ねるため、軽量な火力呪文を連打するデッキの性質とマッチする優秀なダメージクロックです。能力の及ぶ範囲・即効性・P/T等で微妙な差異があるので、使用するにもされるにも注意しておきたいですね。


また、やや方向性はずれますが同じく継続的なクロックとして≪貫かれた心臓の呪い≫もフル投入されることがほとんどです。

Curse of the Pierced Heart / 貫かれた心臓の呪い (1)(赤)
エンチャント — オーラ(Aura) 呪い(Curse)
エンチャント(プレイヤー)
エンチャントされているプレイヤーのアップキープの開始時に、貫かれた心臓の呪いはそのプレイヤーかそのプレイヤーがコントロールしているプレインズウォーカーに1点のダメージを与える。



先に紹介したクリーチャー2種に比べると即効性と爆発力に劣りますが、除去されにくいエンチャントであり重ね貼りが有効であり、かつ他のバーンスペルがなくてもクロックを刻めるという点においては手札の息切れの起こりやすいバーンにとっては地味ながらも重要なカードです。

他にpauperならではのカードとしては≪針落とし≫の存在が挙げられるでしょう。

Needle Drop / 針落とし (赤)
インスタント
このターンにダメージを与えられたクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。針落としはそれに1点のダメージを与える。
カードを1枚引く。



キャントリップと対象の条件の都合上、上記3種の継続的なダメージクロックときわめて相性がいいことから頻繁に採用されるカードです。
特にクリーチャー2種と噛み合ったときには1点火力とは思えない円滑剤として働きます。


総じて、他フォーマットのバーンデッキと同等レベルのカードパワーや爆発力こそ有しているものの脇を固めるカード達の癖が強いため打点計算もややシビアになっているテクニカルなデッキとなっています。
普段からバーンを使っている人や、赤単へのこだわりの強い方にはお勧めできるデッキです。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『赤単バーン』というデッキは・・・




【長所】
・レガシークラスのスペルを多数有する高いカードパワーが最大の長所です。火力スペルをガンガン投げ込める爽快感は他フォーマットにも劣りません。
・pauperは特段にゲームスピードが速いわけではないフォーマットなので、速度面での突破力は明確な脅威です。ミッドレンジやコントロールなどの低速デッキに対してのアドバンテージは大きなものがあります。


【短所】
・単色デッキかつほぼスペルに頼り切った構成故、非常に対策が容易です。
≪赤の防御円≫を筆頭に致命的なサイドボードも多く存在し、かつバーン側から明確な回答がないことも多々あります。ライフゲインを禁止するカードが軒並みアンコモン以上なことも向かい風。
・カードパワーの高さ、即ちマナレシオのよさが仇となっておりスペルの殆どが≪呪文づまりのスプライト≫によるカウンターに非常にひっかりやすいです。トップメタである『氷雪フェアリー』にまず間違いなく採用されているカードであり、遭遇率が高いため注意が必要です。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)
 pauperはいいぞ。 

全国1億のpuaperプレイヤーの皆様お久しぶりです、デッキ・ピックアップのお時間です。
最近ちょいと更新サボってました(不屈の部族デッキの記事も実はまだ書いてないし)が、流石におこられそうなので解説記事やっていこうと思います。

タイトルに「マンスリー」とか書かないでおいて本当よかった。


今回のピックアップは第14回コウノトリ杯優勝、わふさんの使用した『ドメインzoo』 !
マナ基盤という点では他フォーマットと比しても群を抜いた不自由さのあるpauperにおいて、まさかの5色デッキという異端のビートダウンデッキ。
早速今回のリストを見ていきましょう。


【クリーチャー 17】 
野生のナカティル 4
コーの空猟師 4
道の探求者 2
クァーサルの群れ魔道士 4
マトカの暴動者 3

【スペル 23】
稲妻 4
豊かな成長 4
怨恨 2
発掘 2
ナイレアの存在 4
部族の炎 4
改革派の貨物車 3

【土地 20】
広漠なる変幻地 3
進化する未開地 3
森 9
平地 2
島 1
山 1
沼 1

【サイドボード 15】
未達への旅 3
孤独な宣教師 1
天啓の光 2
軍旗の旗主 2
赤の防御円 1
古の遺恨 2
電謀 1
大祖始の遺産 2
アルマジロの外套 1



●『ドメインzoo』はどんなデッキ?

プレイヤーのコントロールする基本土地の種類によって効果が増減する所謂「所有地カード/Domain Card」を、≪ナイレアの存在≫によるマナサポートでもって最大効力で発揮させることを狙うシナジー重視の4~5色のグッドスタッフです。
基本は緑や白のクリーチャーを中心にしたビートダウンで、要所で火力を除去や本体に使って攻めていくという意味では額面どおり「zoo」的な動きをしますが、後述する≪部族の炎≫を中心としてシナジーを発揮した際の爆発力に優れています。



Nylea’s Presence / ナイレアの存在 (1)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(土地)
ナイレアの存在が戦場に出たとき、カードを1枚引く。
エンチャントされている土地は、他のタイプに加えてすべての基本土地タイプでもある。


≪ナイレアの存在≫をエンチャントすることにより、土地1枚で全種類の基本土地タイプを得て5色地形として運用することが可能になります。シナジーの基点にして、キャントリップつきで手札と色事故防止も兼ねている最重要カードです。
通常の土地につけるのはもちろん、≪進化する未開地≫のような本来マナ能力を持たない土地に対してこれをエンチャントすることでマナ能力を与えるというテクニックも存在します。

これはほぼ同様の目的で採用されている≪豊かな成長≫にもおなじことがいえますが、こちらは軽い分基本土地タイプを与える能力を持たないためあくまでマナサポートの役割に留まります。

Abundant Growth / 豊かな成長 (緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(土地)
豊かな成長が戦場に出たとき、カードを1枚引く。
エンチャントされている土地は「(T):好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ。


どちらもキャントリップつきのパーマネントであることを活かし、『ボロス統治者』でおなじみ≪コーの空猟師≫との相互シナジーを形成しているのも特徴のひとつ。
あわせて8枚フル投入されており、マナ基盤とアドバンテージの両面でこのデッキの心臓ともいえるでしょう。


●注目のカード

最大の目玉はなんといっても、その英語名がデッキ名に冠される(※Tribal zoo)ことすらある≪部族の炎≫でしょう。

Tribal Flames / 部族の炎 (1)(赤)
ソーサリー
版図 ― クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。部族の炎は、それにX点のダメージを与える。Xは、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプの数に等しい。



ソーサリーとはいえ2マナして最大5点もの超火力を誇るこのカードこそ、本デッキを成立させうる最も大きなの理由のひとつ。連打すれば余裕の二桁打点、シナジー前提とはいえ1枚のカードから飛び出す爆発力に関してはpauper界随一でしょう。
≪ナイレアの存在≫を置かれた瞬間から、対戦相手はこの火力の存在を念頭におかなければならないという意味でもリーサルまでのプレッシャー充分なパワーカードです。


継続的なクロックとしては先ほども紹介したお馴染み≪コーの空猟師≫に加え、≪野生のナカティル≫と≪マトカの暴動者≫がメインアタッカーを担います。


Wild Nacatl / 野生のナカティル (緑)
クリーチャー — 猫(Cat) 戦士(Warrior)
野生のナカティルは、あなたが山(Mountain)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
野生のナカティルは、あなたが平地(Plains)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
1/1


Matca Rioters / マトカの暴動者 (2)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
版図 ― マトカの暴動者のパワーとタフネスはそれぞれ、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプの数に等しい。
*/*



≪野生のナカティル≫は往年のモダン・レガシーのzooほど容易く3/3となって2T目からクロックを刻むような円滑なビートは難しいですが、それでもやはり1マナクリーチャーとしては打点の期待値は充分に高いといえるでしょう。

≪マトカの暴動者≫は最大で3/5/5と脅威のマナレシオとなり、対処を迫ります。
惜しむべくはやはり特殊なシナジーを要せずとも同等のスタッツを誇る≪グルマグのアンコウ≫の存在ですが、そこはクリーチャーの色。
≪ナイレアの存在≫がない場合も、≪怨恨≫や≪クァーサルの群れ魔道士≫になどによる打点サポートが充実しており、簡単には止まらないよう工夫がなされています。



今回採用されているカードの中でも筆者個人的な推しのカードは、≪改革派の貨物車≫ですね。

Renegade Freighter / 改革派の貨物車 (3)
アーティファクト — 機体(Vehicle)
改革派の貨物車が攻撃するたび、ターン終了時まで、これは+1/+1の修整を受けるとともにトランプルを得る。
搭乗2(あなたがコントロールする望む数のクリーチャーを、パワーの合計が2以上になるように選んでタップする:ターン終了時まで、この機体(Vehicle)はアーティファクト・クリーチャーになる。)
4/3


無色のカードであることからマナベースへの負担が小さく、マナサポートを引けていないときでも打点の向上に寄与するほか、事実上のパワー5トランプルというスタッツがチャンプブロックを咎めやすいため≪部族の炎≫によるダメージレース逆転を主要プランとするこのデッキの性質とマッチしています。
搭乗2という数値も、中途半端な打点で止まってしまった≪野生のナカティル≫や賛美アタックを狙う際には≪クァーサルの群れ魔道士≫などをお供として乗せやすい絶妙な値。元々盤面の構築力が低いデッキなので、無色でかつ即効性の高いクロックとしては確かに適性のあるカードだと思います。



総じて、≪ナイレアの存在≫への依存度が高いことは否めませんがそれを補ってあまりある爆発力を秘めているデッキです。
なまじ5色ということでさまざまな色のカードのタッチを検討できるユーティリティもあるので、欲張りデッキを組みたい方にはぜひお勧めしたいですね。

●このデッキの強み/弱み


まとめると、この『ドメインzoo』というデッキは・・・



【長所】
・≪部族の炎≫を筆頭にした打点方面での爆発力が高く、シナジーを発揮した際のライフ射程範囲には目を見張るものがあります。
・性質上ゲーム中盤~後半の殴り値が高く、特にマナ基盤を整える猶予があり火力による勝負に持ち込める遅めのミッドレンジやコントロールには強気に出られます。
・さまざまな色のカードを用いるユーティリティがあるため、メインボードはもちろんサイドボードにもさまざまなカードを採用でき、かつそれを読まれにくい「わからん殺し」も魅力のひとつです。

【短所】
・当然ではありますが≪ナイレアの存在≫への依存度が高いためこれを引けるまではシナジー前提のカードが使いにくく、タップインも多いため速度的にも他ビートダウンに負けがちです。
・色の都合上相手リソースへの干渉手段に乏しく、コンボデッキなどへの対処は苦手です。1:1交換が追いつきにくいエルフや緑単ストンピィ、ワンショットキルへの耐性が低いのでウィーゼロックスなども苦手なアーキタイプだといえるでしょう。
・触られにくいとはいえ土地へのオーラ戦略を主軸とするため、土地破壊で甚大な被害を被ります。ウルザトロン対策などのランデスがついでに刺さってしまうのはマイナスポイントといえるでしょう。


デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)

pauperはいいぞ。


コウノトリ杯も第10回を迎えました。
全国的にpauperが盛り上がりを見せ、コモンカードの大暴騰なども発生する始末ですが、大分でもまだまだpauperを盛り上げていきましょう。

さて今回のピックアップデッキは、前回に引き続き準優勝と好成績を収めたわふさんの『緑単ストンピィ』です。
『青赤氷雪フェアリー』に同じく、割と普通にトップメタデッキの解説をするのがむしろ新鮮な感じ。

相変わらずpauper熟練者の視点からすれば当たり前レベルのことしか書けませんが、張り切って解説していきましょう。
まずは今回のわふさんのレシピから。


土地 16 
森 16

クリーチャー 28
若き狼 4
イラクサの歩哨 4
クウィリーオン・レインジャー 4
スカルガンの穴潜み 3
巣の侵略者 3
シラナの岩礁渡り 2
炎樹族の使者 4
大霊堂のスカージ 4

スペル 16
怨恨 4
吠え群れの飢え 4
巨森の蔦 4
象の導き 4



●『緑単ストンピィ』はどんなデッキ?


《若き狼》《イラクサの歩哨》等緑特有のマナレシオに優れた軽量クリーチャー軍団を、《怨恨》《象の導き》といった強力なP/T強化スペルでバックアップし短期決着を狙うpauper界を代表するアグロデッキです。

Young Wolf / 若き狼 (緑)
クリーチャー — 狼(Wolf)
不死(このクリーチャーが死亡したとき、それの上に+1/+1カウンターが置かれていなかった場合、それを+1/+1カウンターが1個置かれた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。)
1/1

Nettle Sentinel / イラクサの歩哨 (緑)
クリーチャー — エルフ(Elf) 戦士(Warrior)
イラクサの歩哨は、あなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたが緑の呪文を唱えるたび、あなたはイラクサの歩哨をアンタップしてもよい。
2/2

Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。


Elephant Guide / 象の導き (2)(緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+3/+3の修整を受ける。
エンチャントされているクリーチャーが死亡したとき、緑の3/3の象(Elephant)クリーチャー・トークンを1体生成する。



ほぼ1~2マナ域のカードでのみ構成されていますが、採用されている生物はそれぞれ方向性こそ異なるもののどれも強力なクリーチャーばかりで様々な角度から相手のライフを攻め立てます。
スペルも一様に殺意が高く、《怨恨》によるチャンプブロックの拒否、《巨森の蔦》による除去を回避しつつの高打点等ソーサリー・インスタントタイミング問わず序盤からプレッシャーの高い圧倒的な盤面構築能力はコモンの世界でも随一でしょう。


●注目のカード


このデッキを語る上ではずせないのは、MM3でコモン落ちして以来このアーキタイプをトップメタにまで押し上げた原動力と知られる《炎樹族の使者》です。

Burning-Tree Emissary / 炎樹族の使者 (赤/緑)(赤/緑)
クリーチャー — 人間(Human) シャーマン(Shaman)
炎樹族の使者が戦場に出たとき、あなたのマナ・プールに(赤)(緑)を加える。
2/2


pauperでは《フェアリーの大群》《流浪のドレイク》と凶悪なフリースペルクリーチャーが活躍してきた実績がありますが、このカードも勿論その高いポテンシャルを遺憾なく発揮しています。
先に解説したとおりもとより高い盤面構築力を有していたこのデッキに「展開スピード」という更なる武器を与え、「生物⇒パンプアップ」の間にあったはずのターンラグを飛ばしたり、生物の同時展開をこなすなど盤面を決定的にする1ターンを手繰り寄せるためのマスターピースとなっています。


《炎樹族の使者》参入以降、採用枚数をおおめにするのが目立っている《吠え群れの飢え》は、わふさんのレシピでも4枚積みされていますね。

Hunger of the Howlpack / 吠え群れの飢え (緑)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
陰鬱 ― このターンにクリーチャーが死亡していた場合、代わりにそのクリーチャーの上に+1/+1カウンターを3個置く。



陰鬱を達成することで爆発的なパンプアップを生み出すこのカードは、以前から《巣の侵略者》との相性がよく、また相手の除去呪文に対してカウンターブローとなりうる性質から駆け引きを生みだすため注目度の高いカードでした。
《炎樹族の使者》参入以後展開力を得た緑単ストンピィにおいては、盤面を構築した後パンプアップ対象となるクリーチャーを残した上でこのカードを構えることができるシーンが多くなり、結果的にこのデッキの爆発力をより後押ししているといえるでしょう。


●このデッキの強み/弱み


まとめると、この『緑単ストンピィ』というデッキは・・・


【長所】
・環境を定義しうるレベルのクロックスピードを持ち、メインはクリーチャーとパンプアップスペルという潔い構成ながらも横に縦に多彩な角度で攻めることができます
・《怨恨》や《スカルガンの穴潜み》等、本来アグロデッキが苦手とするチャンプブロッカーをあまり苦にしないカードが多く、また《若き狼》・《象の導き》など除去に対してもアンチカードを持ち合わせており半端な妨害では止まらない線の太さも魅力です。

【短所】
・環境を代表するアグロデッキであるため、他のデッキはこのデッキの速度を基準スピードとして構築していることが多いです。代表的な対策としてはウルザトロン系が用いる《一瞬の平和》などが有名です。
・単色デッキの上除去に乏しい色のため、《緑の防御円》などのダメージ軽減やプロテクション等の色対策カードは苦手としています。
・強化スペルを軸にしているので、パンプアップを全て吸い上げる《軍旗の旗手》が天敵です。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)
pauperはいいぞ。


第9回コウノトリ杯は、残念ながら参加者7名と少な目の参加者に終わってしまいました。
全国的に吹き荒れるpauper旋風に負けじと先進国たる大分の魔境っぷりを見せつけていきたかったのですが残念です。
次回は多くの皆様の参加をお待ちしています。


さて、今回のピックアップデッキはコウノトリ杯史上ようやく現れた2人目の優勝者、わふさんの『青赤氷雪フェアリー』です。
正直いままでニッチなデッキばっかり紹介してきただけに、今回普通にトップメタデッキの解説をするのはかなり今更感がぬぐえないような気もしますが・・・。

pauper熟練者の視点からすれば当たり前レベルのことしか書けませんが、張り切って解説していきましょう。
まずは今回のわふさんのレシピから。

土地 17 
冠雪の島 9
冠雪の山 2
広漠なる変幻地 4
灰のやせ地 2

クリーチャー 18
秘密を掘り下げる者 4
フェアリーの悪党 4
呪文づまりのスプライト 4
ボーラスの占い師 3
深き刻の忍者 3

スペル 25
定業 4
思案 2
渦まく知識 2
稲妻 4
雪崩し 4
対抗呪文 4
目くらまし 3
噴出 2

サイドボード 15
水流破 2
紅蓮破 2
はらわた撃ち 2
ゴリラのシャーマン 2
大祖始の遺産 2
払拭 1
電謀 1
炎の斬りつけ 1
嵐縛りの霊 1
渦巻く砂嵐 1


●『青赤氷雪フェアリー』はどんなデッキ?


≪秘密を掘り下げるもの≫と各種カウンター、≪呪文づまりのスプライト≫と≪深き刻の忍者≫のパッケージを基本としたpauper界を代表する典型的なクロック・パーミッションです。
採用されているスペル個々のカードパワーが高く、pauperでも数ある「Delver-Go」バリエーションの中でも近年もっとも有力なデッキであるとして評価されています。

Delver of Secrets / 秘密を掘り下げる者 (青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを公開してもよい。これによりインスタント・カードかソーサリー・カードが公開された場合、秘密を掘り下げる者を変身させる。
1/1
Insectile Aberration / 昆虫の逸脱者
〔青〕 クリーチャー — 人間(Human) 昆虫(Insect)
飛行
3/2

Spellstutter Sprite / 呪文づまりのスプライト (1)(青)
クリーチャー — フェアリー(Faerie) ウィザード(Wizard)
瞬速
飛行
呪文づまりのスプライトが戦場に出たとき、点数で見たマナ・コストがX以下の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。Xはあなたがコントロールするフェアリー(Faerie)の数に等しい。
1/1

Ninja of the Deep Hours / 深き刻の忍者 (3)(青)
クリーチャー — 人間(Human) 忍者(Ninja)
忍術(1)(青)((1)(青),あなたがコントロールする、ブロックされなかった攻撃しているクリーチャー1体を手札に戻す:あなたの手札からこのカードを、タップ状態かつ攻撃している状態で戦場に出す。)
深き刻の忍者がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
2/2


≪秘密を掘り下げる者≫によるビートダウンを各種カウンターでバックアップ、カウンターと飛行クロックを兼ねる≪呪文づまりのスプライト≫、スプライトを手札に回収し、かつアドバンテージ源となる≪深き刻の忍者≫。
これにスプライトのフェアリーカウントを水増しする軽量飛行クロック≪フェアリーの悪党≫を加えた計4種のクリーチャーをデッキの核とし、更に大量のキャントリップスペルでデッキの安定性を向上させているのは『青単デルバー』と同じですが、ここに赤をタッチすることで軽量火力によるサポートが備わっているのがその他のデルバーデッキと比べての大きな相違点です。

特に≪深き刻の忍者≫は素のサイズが小さいため、忍術によるアタック以外では一度の攻撃で止まってしまいがちなこともあり、軽量除去によって攻撃を通して継続的にアドバンテージを稼ぐことができるようになっているのは極めて大きな恩恵です。
後述の軽量火力の強力さと大量のキャントリップスペルも相まって安定したパフォーマンスを発揮しやすく、デッキパワーの高さという面ではpauper随一といえるでしょう。


●注目のカード

「氷雪」の名を冠する通り氷雪地形を採用しているのは革新的ともいえる≪雪崩し≫を使うためであり、まさにこのデッキのマスターピースというべきカードでしょう。

Skred / 雪崩し (赤)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。雪崩しはそれに、あなたがコントロールする氷雪パーマネントの数に等しい点数のダメージを与える。


元々pauperでは≪稲妻≫を筆頭に優秀な軽量火力がひしめいていたこともあって、氷雪地形をわざわざ採用する必要があり、かつ本体へ撃ち込めないこのカードへの注目度は高くありませんでした。
しかし≪グルマグのアンコウ≫の登場や『緑単ストンピィ』の台頭等、デルバーデッキでも高タフネスなクリーチャーへの対処手段が必要となったことで白羽の矢が。
ゲーム序盤は3点以下の火力としても十分ですし、ゲームが伸びれば1マナ4~5点火力と驚異的なコストパフォーマンスを発揮するため使い勝手抜群。
従来の青赤デルバーが苦手としていた大型クリーチャーの処理用としても、≪稲妻≫だけでは不足しがちだった追加のインスタント除去カード枠としても両面で強力な火力だといえるでしょう。


また、デルバーデッキのアドバンテージ源としてはレガシー禁止カードでもある≪噴出≫の存在は外せません。

Gush / 噴出 (4)(青)
インスタント
あなたは、噴出のマナ・コストを支払うのではなく、あなたがコントロールする島(Island)を2つ、オーナーの手札に戻すことを選んでもよい。
カードを2枚引く。


土地を二枚バウンスするピッチコストは、重いスペルもしばしば採用されるpauperでは他のエターナル環境ほど気軽なものではありませんが低マナ域に寄せられているこのデッキでは使いやすい部類です。
マナフラッドの受けにもなるほか、≪渦まく知識≫で戻した土地を別のカードへ変換するテクニックもきわめて有効。
インスタントではありますが、土地のプレイ権を行使できるメインフェイズでの使用もしばしば見受けられるなど見た目以上に柔軟なドロースペルです。


一定の必須パーツこそ固定化されていますが、今回わふさんのレシピでも採用されている≪ボーラスの占い師≫の採用の有無、≪灰のやせ地≫・≪進化する未開地≫or≪広漠なる変幻地≫の枚数やサイドボード等、トップメタゆえにさまざまな研究が今なお続いているアーキタイプです。

強力なデッキかつ今後もますます活躍が期待されるアーキタイプだけに、ほかフォーマットをやっていてpauperに参入したいという方にもおすすめできるデッキだと思います。


●このデッキの強み/弱み


まとめると、この『青赤氷雪フェアリー』というデッキは・・・

【長所】
・≪呪文づまりのスプライト≫を筆頭にした個々に高いカードパワーに加え、大量のキャントリップによる安定性もあり相手のデッキを選ばないユーティリティがあります。
・飛行クロックと火力によるプレッシャーの厚いアグロ要素、カウンターとドロースペルを中心にしたコントロール要素も併せ持ち特に中速デッキに対して非常に強く立ち回れます。

【短所】
・デッキの強力さ故にサイドボードも意識されたものが用意されがちです。特に≪散弾の射手≫・≪空への斉射≫などの飛行への全体ダメージ、≪電謀≫・≪炎の斉射≫などの全体火力などは天敵です。
・上記に共通しますが、基本的にクリーチャーでのブロックができないため守勢に回るとややもろいデッキです。盤面に関わらずある程度攻めの姿勢が要求されるため、プレイング面も難易度は高い方だといえるでしょう。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)

pauperはいいぞ。


第8回コウノトリ杯、全国的なpauper機運の高まりからかはたまた豪華な賞品につられてか、過去最大の人数で開催することができました。
そんな今大会のピックアップデッキは、『白黒ペスト』!
ご存じ『卓上限定の紳士』こと強豪プレイヤーアリヨシ・アリヨシさんの操るこのデッキ、さっそく今回のレシピを見ていきましょう。

土地 24 
オルゾフの聖堂 1
磨かれたやせ地 4
オルゾフのギルド門 4
平地7
沼 7
セジーリのステップ 1

クリーチャー 17
スレイベンの検査官 4
コーの空猟師 3
希望の壁 1
エイブンの裂け目追い 4
墓所のネズミ 1
ギルドパクトの守護者 4

スペル 19
見栄え損ない 2
夜の囁き 2
未達への旅 4
チェイナーの布告 4
虹色の断片 2
オルゾヴァの贈り物 1
黒死病 4


●『白黒ペスト』はどんなデッキ?


デッキ名に冠されたペストこと、≪黒死病≫による盤面の制圧力を主軸にした中速のボード・コントロールデッキです。


Pestilence / 黒死病 (2)(黒)(黒)
エンチャント
終了ステップの開始時に、クリーチャーが戦場に存在しない場合、黒死病を生け贄に捧げる。
(黒):黒死病は、各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれ1点のダメージを与える。


≪黒死病≫はpauperにおいて非常に珍しい戦場全体のクリーチャーに対してプレッシャーをかけることのできる強力な全体除去でありながら、エンチャントでもあるきわめて高いボードコントロール力を持つシステムカードです。

低タフネスのクリーチャーはほぼ封殺されてしまうため、横に並べる戦略をほぼシャットアウトすることが可能。
また、一度盤面を掌握してしまえば本体火力としてそのままエンドカードになるのも強力です。
高タフネスなクリーチャーの対処には向きませんが、そこはクリーチャー除去の豊富なオルゾフカラー。
小粒を一掃した後には≪チェイナーの布告≫、≪未達への旅≫などの強力な単体除去で盤面をコントロールします。

この制圧力の一方で、最低でもクリーチャーを1体は維持しなければ≪黒死病≫は割れてしまう点や起動の度にコントローラーにもダメージが入ってしまう点など、むやみに起動するだけで盤面を掌握できるわけではなく、扱いの難しいデッキだといえるでしょう。


●注目のカード


≪黒死病≫の維持条件の性質上、生物はある程度タフネスの高いもの、またはライフゲイン能力を持つものが優先してチョイスされています。
中でも、≪エイヴンの裂け目追い≫はこのペストデッキならではの一枚といえるでしょう。

Aven Riftwatcher / エイヴンの裂け目追い (2)(白)
クリーチャー — 鳥(Bird) レベル(Rebel) 兵士(Soldier)
飛行
消失3(このクリーチャーは時間(time)カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、その上から時間カウンターを1個取り除く。最後の1個が取り除かれたとき、それを生け贄に捧げる。)
エイヴンの裂け目追いが戦場に出るか戦場を離れるかしたとき、あなたは2点のライフを得る。
2/3


2/3飛行のスタッツがpauper界においてどれほど優秀なのは≪コーの空猟師≫を見てもわかる通り。消失というデメリット能力こそ持つものの、場に出さえすればたとえ除去されようとも都合4点のライフを担保してくれるため守りにかけては非常に優秀なクリーチャーです。
ライフゲインと共に飛行クロックを阻んでくる他、除去するのも躊躇われるため特にデルバー系のテンポデッキには効果絶大。


≪ギルドパクトの守護者≫はpauper界における≪真の名の宿敵≫であるとして、前回のピックアップでもご紹介しましたが、アリヨシさんの白黒ペストにおいてはなんと4枚採用されています。

Guardian of the Guildpact / ギルドパクトの守護者 (3)(白)
クリーチャー — スピリット(Spirit)
プロテクション(単色)
2/3


私のカウブレードではプロテクション(単色)を事実上の「呪禁+回避能力」として装備品を絡め攻撃的に運用をしていたのに対し、この白黒ペストにおいては≪黒死病≫を維持するための防御的なクリーチャーとしての運用が主観におかれています。
≪黒死病≫からのダメージをすべて軽減するほか、通常の除去では対処が難しいクリーチャーであるため戦場から排除するのが困難です。
戦闘面でも守ればほぼ無敵のブロッカー、マウントをとった後はそのままフィニッシャーにもなるのは前回も説明したとおりですが、4枚の採用は中々強烈ですね。


また、筆者のイチオシはpauper界でもかなり特異な防御スペルである≪虹色の断片≫です。

Prismatic Strands / 虹色の断片 (2)(白)
インスタント
このターン、あなたが選んだ色の発生源が与えるすべてのダメージを軽減する。
フラッシュバック ― あなたがコントロールするアンタップ状態の白のクリーチャー1体をタップする。(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)


いわゆる軽減呪文の一種で、指定した色を発生源とするダメージを全て軽減します。
通常の軽減呪文同様、相手からの攻撃に対する≪濃霧≫や火力呪文へのカウンターとして用いるのが一般的ですが、「色」を指定する性質上相手クリーチャーの色のみを指定することで一方的に戦闘で討ち取れるコンバットトリックのように活用することも可能です。

加えてマナのかからないフラッシュバックコストも備えているため、相手の攻撃・除去を牽制する影響力も高く、このデッキの高い防御力を後押ししているカードだといえるでしょう。


レシピだけ見ると単なる除去コントロールに見えますが、≪黒死病≫の起動回数やタイミング、コンバットを絡めたライフ管理等細かいプレイングが重要になってくる意外とシビアなデッキです。
昔ながらのボードコンにして、プレイングスキルも要求してくる癖のあるデッキですが、腕に覚えのある方は是非使ってみてほしいですね。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『白黒ペスト』というデッキは・・・

【長所】
・≪黒死病≫による全体除去に加え、多くの優秀な単体除去を用いるクリーチャーヘイト戦術をとるため、横並びから一点突破型に至るまで多くのクリーチャーデッキに対して有利です。
・また『ウィーゼロックス』や『親和エルフ』、『フリッカーコンボ』などのクリーチャーコンボに対しても≪黒死病≫が刺さるほか、エンチャントである≪黒死病≫はメインボードでの対処が難しいのも長所といえるでしょう。
・≪黒死病≫の性質上、単なる除去としてだけでなく単純に本体火力としても機能するほか、≪ギルドパクトの守護者≫≪コーの空猟師≫等優秀なクリーチャーによるビートダウンもあるため、除去の腐る低速デッキ相手でもある程度アグレッシブに攻めることも可能な側面も持ちます。

【短所】
・インスタントタイミングでの干渉手段に乏しく、またアクションも大振りなのでカウンターに対して脆弱です。特にカウンターを豊富に有するほか、≪ギルドパクトの守護者≫への対処手段もメインボードから持ち合わせる青黒系のコントロールを苦手とします。
・除去以外では相手盤面への干渉手段を持たないので、土地コンボである『ウルザトロン』等も苦手なデッキです。





デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)

pauperはいいぞ。


今月はコウノトリ杯を開けるタイミングがなく、間が空いてしまうので本来デッキ・ピックアップはお休みなのですが、せっかくノマチャレでpauperをやってきたので布教と優勝キメてきたイキり紙オタクの自慢を兼ねて今回はピックアップ特別編!

僕の愛用デッキ、『カウブレード』のご紹介です。
いろんな方から度々「かっこいい」とお褒め頂いたり、「クソデッキだな」と罵られたり、ブレスト撃つたびにジャッジ呼ばれたりと大人気のこのデッキ。さっそく現在のリストをご紹介しましょう。


土地22

進化する未開地3
灰のやせ地2
平穏な入江4
急流の崖2
島3
平地3
山2
教議会の座席1
古えの居住地1
大焼炉1

生物17

スレイベンの検査官4
戦隊の鷹4
粗石の魔道士3
熟考漂い3
海門の神官2
ギルドパクトの守護者1

スペル21

稲妻4
渦まく知識4
感電破2
未達への旅3
対抗呪文3
弧状の稲妻 1
骨断ちの矛槍1
シルヴォクの生命杖1
ヴィリジアンの長弓 1
大祖始の遺産1


サイドボード15

電謀2
紅蓮破2
軍旗の旗手2
ゴリラのシャーマン2
水流破2
大祖始の遺産1
塵は塵に1
緑の防御円1
赤の防御円1
ギルドパクトの守護者1


●『カウブレード』はどんなデッキ?
《粗石の魔道士》によるサーチ能力を核として、《戦隊の鷹》を始めとした多数のカードアドバンテージソースを搭載した中速のグッドスタッフです。
かつて《粗石の魔道士》がスタンダードで現役の頃に存在したデッキ名に習って「トイソルジャー(おもちゃの兵隊)」と呼ばれることが多く初期は私もそう紹介していたのですが、どうも私の周辺ではいつからか「カウブレード」で浸透してしまった節があるのでこのまま通します。
デッキ名の由来は今更解説するのもおこがましい、かの有名な「Cow-Blade」。
Cowは鳥の鳴き声、ひいては《戦隊の鷹》を表し、Bladeは装備品の剣・・・間接的には《石鍛冶の神秘家》を表す言葉ですね。

Squadron Hawk / 戦隊の鷹 (1)(白)
クリーチャー — 鳥(Bird)
飛行
戦隊の鷹が戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーから《戦隊の鷹/Sqadron Hawk》という名前のカードを最大3枚まで探し、それらを公開してあなたの手札に加えてもよい。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
1/1

青白を中心に様々なカラーバリエーションが存在するデッキですが、今回の私のレシピはジェスカイカラー(青白赤)で構成されており、類似デッキと比べて除去呪文が豊富かつ強力なのが特徴です。
単体ではクロックとしてのプレッシャーに欠ける《戦隊の鷹》を、《粗石の魔道士》から《骨断ちの矛槍》を始めとする装備品をサーチすることにより打点を向上。止められにくい飛行クロックを横に展開し、これを豊富な除去や打消しでバックアップする低速なクロック・パーミッションないし除去コントロールめいた動きを基本とします。
しかし、このデッキの最大の魅力はなんといっても後述するように様々なデッキに対する高い対応力でしょう。

●注目のカード
《粗石の魔道士》はかつてスタンを席巻したカウブレードにおける《石鍛冶の神秘家》にあたる装備品のサーチ役としてこのデッキの中核を担います。

Trinket Mage / 粗石の魔道士 (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
粗石の魔道士が戦場に出たとき、あなたは自分のライブラリーから点数で見たマナ・コストが1以下であるアーティファクト・カードを1枚探し、そのカードを公開し、あなたの手札に加えてもよい。そうした場合、あなたのライブラリーを切り直す。
2/2

各種装備品のサーチによる打点向上はもちろん、メインから投入された《大祖始の遺産》をサーチすることによるピンポイントの墓地対策、更には《教議会の座席》・《古えの居住地》・《大焼炉》の各種アーティファクトランドを0マナのアーティファクト・カードとしてサーチすることで色事故・マナスクリューの解決も図ることができます。
3マナのクリーチャーかつサーチからプレイまでタイムラグが生じるためテンポ面での遅れは弱点となりますが非常に多芸であり、このデッキの対応力の高さの根源となるキーカードです。


このデッキのクリーチャー達は装備品でのバックアップを前提としているため、場に出た時点である程度の仕事ができるようCIP能力で何らかのカードアドバンテージを稼げるものを優先的にチョイスしていますが、例外なのが《ギルドパクトの守護者》です。

Guardian of the Guildpact / ギルドパクトの守護者 (3)(白)
クリーチャー — スピリット(Spirit)
プロテクション(単色)
2/3

4マナ2/3とコストパフォーマンスに優れているわけではありませんが、多色カードの存在に乏しいpauper環境ではプロテクション(単色)が事実上「被覆+回避能力」としてかの《真の名の宿敵》のように働くため、攻めにも守りにも強力です。
もちろん重めなカードでパワーも2しかないため、枚数は多く採用していませんがフィニッシャーとしてのプレッシャーは十二分です。


肝心要の装備品としては、《骨断ちの矛槍》・《シルヴォクの生命杖》の二種を中心に使用します。


Bonesplitter / 骨断ちの矛槍 (1)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+2/+0の修整を受ける。
装備(1)

Sylvok Lifestaff / シルヴォクの生命杖 (1)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+1/+0の修整を受ける。
装備しているクリーチャーが死亡するたび、あなたは3点のライフを得る。
装備(1)

どちらもキャスト・装備コスト共に軽量なので装備品特有のテンポ損失が最小限に抑えられています。
《骨断ちの矛槍》は第1回で紹介した『白単ストンピィ』にも採用されていたように、打点の強化効率に優れているので《戦隊の鷹》や《熟考漂い》のような飛行クロックの装備品として最適です。
対照的に《シルヴォクの生命杖》は防御に長けた装備品で、修正値こそ微々たるものですが装備クリーチャーが死亡するに際し3点のライフゲインがついてきます。
特に《戦隊の鷹》や《スレイベンの検査官》をチャンプブロックに回す際には非常に有用で、速度のあるデッキ相手でも除去や単純なアタックをためらわせてゲームを長引かせることができます。



そして何よりも強く推していきたいのが、4枚投入された《渦まく知識》の存在。

Brainstorm / 渦まく知識 (青)
インスタント
カードを3枚引き、その後あなたの手札からカードを2枚、あなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。


第2回でも触れたとおり、言わずと知れた青のドロースペル「3種の神器」の一つ。
・・・とご紹介したものの、実際にpauperで《渦まく知識》を活用するデッキはあまり多くは存在していません。専ら《思案》・《定業》の方が人気です。
理由は簡単で、レガシーでは常用されるフェッチランドが存在せず気軽にデッキをシャッフルする手段に乏しいからです。3ドローこそ強力ですが、デッキトップに戻した不要牌を2ターンかけて引いてしまうただの「ドローの前借り」になってしまうわけですね。
そのため、pauperという環境で《渦まく知識》をうまく使うためには何らかの工夫が必要となります。

単純な方法によってこの解決を図ったのが『青黒アンコウ』と始めとするデルバーデッキです。
《秘密を掘り下げる者》とのシナジーに留まらず、《思考掃き》や《留意》等のトップのリフレッシュ手段と組み合わせることで、有効牌へのアクセス率を高め《渦まく知識》を活用しています。『青赤フェアリー』等でよくみられる手法としては《進化する未開地》ではなく《灰のやせ地》と組み合わせてアンタップインランドの比率を下げることなくシャッフル手段を用意するアプローチも見られますね。

このデッキでも、《進化する未開地》《灰のやせ地》《粗石の魔道士》《戦隊の鷹》とデッキをシャッフルする機会が多いためデッキの円滑油としての役割を果たすのはもちろん、本家カウブレードでも悪名高き「鷹ブレスト」による事実上の1マナ3ドローのスペルとしてアドバンテージソースになることも可能です。
単純に《稲妻》や《対抗呪文》等の強力な妨害スペルに相手ターン中でもアクセスできる他、《粗石の魔道士》を中継してサイドボードのカードを探しにいけたりとインスタント3ドローの強力さを存分に活用できます。


赤と白という色の組み合わせのおかげでサイドボードにも強力なカードが多数採用できる等、とにかく「いろいろできる」のがウリなこのデッキ、「万能感・汎用性・対応力」といったワードが好きな方には是非ともお勧めしたいですね。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『カウブレード』というデッキは・・・

【長所】
・飛行クロック、装備品、火力、打消しと多彩な角度の攻撃・防御手段を持つ上に手札を増やすことに長けているため様々な中速デッキに対応することができます。
・採用されているクリーチャーの殆どがCIP能力(戦場に出た時の能力)で何らかのカードアドバンテージを得ることができるため、除去やバウンスにもある程度耐性があります。
・ゲーム後半でも手札が息切れせずしぶとく戦えるほか、火力呪文の存在からライフへのプレッシャーもかけやすいです。

【短所】
・三色デッキのため、色事故に悩まされるリスクが高いです。またデッキの土地の多くがタップインであり、速度・テンポの面でどうしても遅れをとります。
・カードアドバンテージを主軸に戦うデッキなので、アドバンテージが戦場に反映されるのがゲーム後半になりがちです。先の短所と合わせ『緑単ストンピィ』や『親和』のようなゲーム序盤から手札を一気に消耗して横並びに攻めてくるデッキは除去のかみ合い次第になってしまい苦手なアーキタイプだといえます。
・生物の素のステータスは貧弱なので、装備品を各種置物破壊で対処されたり《減縮》《エヴィンカーの正義》等の全体除去でクロックが大きく減速します。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、pauperに参入しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)
pauperはいいぞ。 


第7回コウノトリ杯にも多くのパウキチが参戦し、自分のデッキで参加していましたね。pauper熱の広がりは留まるところを知らないようです。
というわけで今回もやっていきます、デッキピックアップです。

今回のピックアップデッキは見事準優勝を果たされました、旧RPG杯主催コーノさんの操る「アブザン拷問生活」!
pauperの墓地利用デッキの代表格として名高いこのデッキ、早速コーノさんのリストを見ていきましょう。

【クリーチャー 21】
4:サテュロスの道探し
4:コーの空猟師
1:クァーサルの群れ魔道士
2:墓所のネズミ
2:ゴルガリの茶鱗
1:オーラ術師
1:臭い草のインプ
1:黒薔薇の棘
2:遺棄地の恐怖
1:カストーディの従者
2:グルマグのアンコウ

【呪文 17】
4:拷問生活
4:豊かな成長
4:神々との融和
3:未達への旅
2:活力のカルトーシュ

【土地 22】
4:進化する未開地
4:磨かれたやせ地
4:ジャングルのうろ穴
2:ゴルガリのギルド門
3:森
3:沼
2:平地

【サイドボード 15】
4:苛性イモムシ
3:フェアリーの忌み者
3:骨までの齧りつき
2:墓所のネズミ
2:胞子カエル
1:ファングレンの匪賊



●『アブザン拷問生活』はどんなデッキ?


名前に冠した通り、強力な墓地活用エンチャントである《拷問生活》を主軸にしたクリーチャーコントロールデッキです。
黒緑を主軸に様々なカラーバリエーションが存在しますが、今回のコーノさんのレシピでは白がタッチカラーとして採用されたアブザンカラーとなっています。


Tortured Existence / 拷問生活 (黒)
エンチャント
(黒),クリーチャー・カードを1枚捨てる:あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。



《拷問生活》は黒マナの続く限り墓地と手札のクリーチャーカードを交換し続けることのできるエンチャントです。
これと各種墓地肥やしカードを併用することで、墓地のクリーチャーを擬似的に手札にあるように活用することができるため、そのようなカードとの強い相互シナジーを主観に置き盤面をコントロールするデッキとなっています。

パッとレシピを眺めただけだとデッキの動きを想像するのが難しいかもしれませんが、《臭い草のインプ》などの発掘クリーチャーや《サテュロスの道探し》によって充分に墓地を肥やしてからのコントロール力は数ある墓地活用デッキの中でも指折りです。
各種クリーチャーの再利用による無限チャンプブロック、《胞子カエル》による無限フォグ、何度倒してもでもよみがえる《グルマグのアンコウ》などまさに拷問生活の名にふさわしいムーブが可能です。

その挙動の特性上、探査・発掘・マッドネスなど様々なギミックとのシナジーがあるため拷問生活デッキのレシピは非常に多岐に渡ります。
今回のコーノさんのレシピは白をタッチしたことによりボードコントロール色が強いデッキとなっているようですね。



●注目のカード

《拷問生活》ならではのカードとして真っ先にあげられるのは、やはり《ゴルガリの茶鱗》でしょう。

Golgari Brownscale / ゴルガリの茶鱗 (1)(緑)(緑)
クリーチャー — トカゲ(Lizard)
ゴルガリの茶鱗があなたの墓地からあなたの手札に加えられたとき、あなたは2点のライフを得る。
発掘2(あなたがカードを引く場合、代わりにあなたはあなたのライブラリーのカードを上からちょうど2枚、あなたの墓地に置いてもよい。そうした場合、あなたの墓地にあるこのカードをあなたの手札に戻す。そうしなかった場合、カードを1枚引く。)
2/3


発掘2と墓地を肥やす能力は他のクリーチャーに劣りますが、誘発型能力によるライフゲインが極めて強力です。
誘発条件が「墓地から手札に加えられたとき」なのがミソで、《拷問生活》で回収した際にも能力が誘発します。
そのため「手札のクリーチャーを墓地に置く」ついでに2点のゲインができたり、二枚このカードが揃うと黒マナの限り墓地と手札を行き来させることでライフゲインを繰り返すことができるためこのデッキの延命力に大きく貢献しているのです。



白をタッチした魅力の大きな点としては、やはりpauper界屈指のパワーカードの一枚《コーの空猟師》の占める部分が大きいのですが、アイコニックマスターズ発売と同時に解禁された《カストーディの従者》を使用できるのも魅力の一つでしょう。

Custodi Squire / カストーディの従者 (4)(白)
クリーチャー — スピリット(Spirit) クレリック(Cleric)
飛行
議決 ― カストーディの従者が戦場に出たとき、あなたから始めて各プレイヤーは、あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚か、クリーチャー・カード1枚か、エンチャント・カード1枚に投票する。最多あるいは最多と同数の票を獲得した各カードをあなたの手札に戻す。
3/3



3/3飛行というボディはpauperのメジャーな飛行クリーチャーである《コーの空猟師》・《熟考漂い》を上回るサイズで、かつCIP能力も議決カードの特性上二人対戦しか行われないpauperでは確実に狙ったカードを回収でき、対象となるカードタイプも強力であるため注目されているカードです。
このデッキにおいては墓地肥やしの過程でおちてしまったり、エンチャント破壊によって割られてしまった《拷問生活》・《未達への旅》を回収することが可能
なのが魅力であり、積極的に墓地リソースを活用するデッキの性質と強くシナジーします。また、マナコストこそ重たいですが単純に《拷問生活》で使いまわすクリーチャーとしても強力です。


筆者個人的な注目クリーチャーは、アモンヶットからの新戦力である《遺棄地の恐怖》でしょうか。

Horror of the Broken Lands / 遺棄地の恐怖 (4)(黒)
クリーチャー — ホラー(Horror)
あなたが他のカードを1枚サイクリングするか捨てるたび、ターン終了時まで遺棄地の恐怖は+2/+1の修整を受ける。
サイクリング(黒)((黒),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)
4/4



モダンでは『死せる生』デッキなどで使用される中堅クリーチャーですが、ディスカード誘発型能力が《拷問生活》の特性とかみ合っており、終盤の戦力としては申し分ありません。
自身もサイクリングを持つため腐りにくく、《拷問生活》と組み合わせてドローソースのように活用したり発掘に置換することで間接的に墓地肥やしに寄与することもできる万能選手といえるでしょう。


総じて所謂『ガチャガチャ』するデッキとしては非常に選択肢が多く使い込み甲斐のあるデッキではないしょうか?
かつてのRPG杯を主催し大分県にpauperの風を送り込み続けてきたコーノさんのデッキだけあり、最新のトレンドにも敏感でグッドなレシピでした。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『アブザン拷問生活』というデッキは・・・

【長所】
・墓地リソースを基点に戦うデッキの常として、メインボードで対策されることが少ないのが最大の魅力です。
・特性上単純な除去呪文などが効きにくいので多くのビートダウンデッキに有利がつきます。
・ライフゲインやフォグ、無限チャンプなど多角的な防御手段を持つのでpauperでも特に『わからん殺し』率の高いデッキです。


【短所】
・デッキ全体としての構造が《拷問生活》に強く依存しているので、当然ながらこれを引けない時はリソース不足に陥りがちです。
・またこれも当然ながら、《大祖始の遺産》をはじめとする全追放系墓地対策カードは劇的に刺さります。
・速度のないデッキで、かつ相手リソースへの干渉手段に乏しいので『ウルザトロン』のような土地コンボ、《幽霊のゆらめき》をキーカードとする『フリッカーコンボ』のようなデッキを苦手としています。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、みんなもコウノトリ杯に参加しよう!!!

pauperはいいぞ(定期)
第4回 pauper デッキ・ピックアップ『黒単信心』
 pauperはいいぞ。 


第6回コウノトリ杯は台風の中に関わらず多くのクレイジーが自分のデッキで参加していましたね。どういう神経してるんでしょうか???
というわけで今回もやっていきます、デッキピックアップです。

今回の優勝デッキは期待の新人(?)、クスモトさんの操る「黒単信心」!
テーロスブロック参入以降、非常に安定感のあるデッキとしてメタに定着しているこのデッキ、早速今回のリストを見ていきましょう。

【クリーチャー 18】
4:クォムバッジの魔女
4:騒がしいネズミ
4:ファイレクシアの憤怒鬼
1:墓所のネズミ
4:アスフォデルの灰色商人
1:グルマグのアンコウ

【呪文 20】
2:発掘
2:強迫
2:見栄え損ない
1:死の重み
4:血の署名
2:ゲスの評決
2:チェイナーの布告
1:Oubliette
4:堕落の触手

【土地 22】
3:やせた原野
19:沼

【サイドボード 15】
1:Order of the Ebon Hand
3:黒薔薇の棘
3:大牙の衆の忍び
2:フェアリーの忌み者
1:強迫
1:残響する衰微
2:押し寄せる砂
2:エヴィンカーの正義



●『黒単信心』はどんなデッキ?

単色であることを活かし、色拘束の強い大量の除去スペルで相手を妨害、フィニッシャーとして《アスフォデルの灰色商人》によるライフドレインを構えた、低速気味のビート・コントロールデッキです。
単色構成故の色事故リスクの少なさ、フィニッシュの安定感含め総合的によく「丸い」と称されることの多いデッキであり、特にビートダウンデッキに対する強さがずば抜けています。
今回のコウノトリ杯でも、環境のビートダウン代表格である「緑単ストンピィ」やその他ビート色の強いアーキタイプが多かったため、それらに対して非常に有利に立ち回れるデッキだったといえるでしょう。

Gray Merchant of Asphodel / アスフォデルの灰色商人 (3)(黒)(黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie)
アスフォデルの灰色商人が戦場に出たとき、各対戦相手はそれぞれX点のライフを失う。Xは、あなたの黒への信心に等しい。あなたはこれにより失われたライフに等しい点数のライフを得る。(あなたの黒への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる(黒)の数に等しい。)
2/4


《アスフォデルの灰色商人》は、自軍の黒マナシンボルの数を参照したライフドレインを行います。後述する色拘束の強いクリーチャー達を並べての妨害やアドバンテージの獲得がそのままフィニッシュ力の増強につながっているためデッキの動きに一貫性を持たせやすく、これが安定感が高いといわれる所以でもあります。


●注目のカード

さて、ここまではフィニッシュについて散々取り上げましたので以下からはその脇を固めるカードについてご紹介しましょう。


Cuombajj Witches / クォムバッジの魔女 (黒)(黒)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。クォムバッジの魔女はそれに1点のダメージを与える。対戦相手1人が選んだクリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。クォムバッジの魔女はそれに1点のダメージを与える。
1/3


射撃クリーチャー、いわゆる「ティム」の一種ですが黒らしく1点飛ばすと相手から1点跳ね返されるデメリットがついています。
タフネス1のクリーチャーに睨みを利かることのできる強力なシステムクリーチャーですが2マナと非常に軽量であり、更に色拘束が強いことがこのデッキではメリットとなりうることからpauperの黒単では非常にポピュラーなカードです。
特にタフネス1を多用するクロック・パーミッションやトークンデッキに対して効果的であり、まさにpauperならではの一枚といえるでしょう。


また、《騒がしいネズミ》はpauperのフォーマット成立当初から黒単の一翼を担ってきた古株にしていぶし銀筆頭です。



Chittering Rats / 騒がしいネズミ (1)(黒)(黒)
クリーチャー — ネズミ(Rat)
騒がしいネズミが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の手札のカードを1枚、自分のライブラリーの一番上に置く。
2/2


3~4T目の相手のドローを遅らせることによるテンポの獲得と、黒らしくないいやらしさを持つクリーチャーであり、まさに使われてわかる「ウザい」カード。
特に他の手札破壊と併用することで高い効果を発揮し、相手の選択肢を狭めつつ更にその色拘束でアスフォデルの信心カウントも稼ぐまさに理想的な中盤のつなぎ役です。
これを連打された日には台パンもの。


また「pauperならでは」、というところに関連するなら外せないのはやはり《Oubliette》ですね。

Oubliette (1)(黒)(黒)
エンチャント
Oublietteが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それとそれにつけられているすべてのオーラ(Aura)を追放する。そのクリーチャーの上に置かれているカウンターの種類と数を記録する。
Oublietteが戦場を離れたとき、その前者の追放されたカードをオーナーのコントロール下で、タップ状態かつ記録された種類と数のカウンターが置かれた状態で戦場に戻す。そうした場合、その他の追放されたカードをオーナーのコントロール下でそのパーマネントにつけられた状態で戦場に戻す。




古くはアラビアン・ナイト初出のカードであり、MOでの「Masters Edition」にコモンとして収録されているため使用可能というすさまじいニッチカードですが、その効果は驚くべきことに黒い《忘却の輪》。
現在の一時的に追放する白のカードとは異なる点としては、オーラごと追放することができるところ。これにより《怨恨》のようなエターナルエンチャントをまとめて処理できることが可能であり、そのあたりのかみ合いも評価されるポイントの一つでしょう。もちろんエンチャントとして戦場に残り、信心カウントを稼ぐところも見逃せませんね。

なお、「現在まともに購入すると高いコモン」の筆頭としても有名なカードです。気になる人は値段を調べてみましょう。



サイドボードでの注目ポイントは《黒薔薇の棘》ですね。

Thorn of the Black Rose / 黒薔薇の棘 (3)(黒)
クリーチャー — 人間(Human) 暗殺者(Assassin)
接死(これが何らかのダメージをクリーチャーに与えたら、それだけで破壊する。)
黒薔薇の棘が戦場に出たとき、あなたが統治者になる。
1/3


コンスピ2で登場以来、《宮殿の歩哨》等一部の「統治者」能力もちクリーチャーが低速のデッキで結果を残していますが、この《黒薔薇の棘》も研究中の1枚。
統治者能力自体、低速の除去コントロールに強くかみ合っていることは周知の事実ですが、アドバンテージ源に乏しい黒単にとっては同型戦などにおいて頼もしいサイドボードとなりえそうです。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『黒単信心』というデッキは・・・

【長所】
・除去が多い上に強力なライフドレインカードをメインから有するため、多くのビートダウンデッキに対して有利です。ライフレースをひっくり返し易く、限られたクロックを捌くことも難しくないためクロックパーミッションなどに対しても有利に立ち回れることが多いです。
・単色構成故に色事故とは無縁であり、パーマネントを並べることがそのまま勝利への近道であるため安定感が高く扱い易さも魅力です。


【短所】
・アドバンテージの獲得方法に乏しく、また基本的に1対多数交換をすることができないためフィニッシュに至るまでにやや息切れしがちです。
・黒単色ゆえ、アーティファクト・エンチャント双方に対処手段が存在しません。それらを軸にしたデッキを苦手とします。
・クリーチャー除去でのマウントを前提とした部分が大きく、また生物の展開速度に難があるため青系の重コントロールデッキやウルザトロンなど生物の採用枚数が少なくかつカードアドバンテージの獲得に長けたデッキも苦手とします。

デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、みんなもコウノトリ杯に参加しよう!!!


pauperはいいぞ(定期)
第3回 pauper デッキ・ピックアップ『白緑呪禁オーラ』
 pauperはいいぞ。 

第五回コウノトリ杯にも多くの方がデッキをご持参いただきましたね。
というわけで今回もやっていきます、デッキピックアップです。

今回の優勝者は大分MTG界の重鎮、ハマダさんの駆る「白緑呪禁オーラ」!
様々なデッキがひしめくpauper界においても一際「メインデッキ最強」として挙げられることの多いこのデッキ、早速今回のデッキリストを見ていきましょう。


【クリーチャー 12】
4:林間隠れの斥候
4:ぬめるボーグル
4:シラナの岩礁渡り

【呪文 31】
4:豊かな成長
4:楽園の拡散
4:怨恨
4:天上の鎧
2:結束のカルトーシュ
4:未達への旅
4:魔力変
4:アルマジロの外套
2:祖先の仮面
1:腐れ蔦の外套

【土地 17】
13:森
4:花咲く砂地

【サイドボード 15】
1:待ち伏せ
1:赤の防御円
2:鋭い痛み
2:大祖始の遺産
2:クァーサルの群れ魔道士
3:若き狼
2:天啓の光
1:鋸刃の矢
1:吼え群れの飢え



●『白緑呪禁オーラ』はどんなデッキ?
コンセプトそのものはモダン等で使われる呪禁オーラデッキ同様、「呪禁もちクリーチャーに大量の強化オーラをはっつけて最強生物を完成させ殴る」という非常にシンプルなものです。
一部のデッキを除き、除去の多くが軽量な単体除去で構成されがちでかつ全体除去の選択肢に乏しいpauperにおいて呪禁というキーワード能力は極めて強力であり、「メインデッキ最強」の呼び声を支える一因といえるでしょう。
メインクロックとしてよく採用されるのは以下3種です。


Gladecover Scout / 林間隠れの斥候 (緑)
クリーチャー — エルフ(Elf) スカウト(Scout)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
1/1

Slippery Bogle / ぬめるボーグル (緑/青)
クリーチャー — ビースト(Beast)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
1/1

Silhana Ledgewalker / シラナの岩礁渡り (1)(緑)
クリーチャー — エルフ(Elf) ならず者(Rogue)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
シラナの岩礁渡りは、飛行を持つクリーチャーによってしかブロックされない。
1/1



pauperの呪禁オーラには軽量な上記呪禁持ち生物は勿論のこと、除去耐性を持たない《オーラのナーリッド》や苦手とする布告除去を避けるため《若き狼》を採用するレシピも存在していますが、今回のハマダさんのレシピではメインデッキにはこれら三種4枚積みのみという潔いレシピとなっています。
レシピ全体を見ても4枚積みのカードが非常に多く、デッキ全体の動きを均一化しようとする玄人チックな調整が窺えますね。


●注目のカード
このデッキの爆発力を支えているのは、なんといっても《アルマジロの外套》と《天上の鎧》でしょう。

Armadillo Cloak / アルマジロの外套 (1)(緑)(白)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+2の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
エンチャントされているクリーチャーがダメージを与えるたび、あなたはその点数に等しい点数のライフを得る。


《アルマジロの外套》は修整値とトランプル・魂の絆能力の付与と能力のどれもが非常に強力であり、ある程度強化オーラのついているクリーチャーにエンチャントすることで容易にダメージレースを崩壊させてしまいます。
後述の《天上の鎧》とあわせることで、ビートダウンデッキの多くをワンパンで投了に追い込む爆発力を秘めており、これがエンチャントされた瞬間対戦相手が土地を片付けることも多いでしょう。

Ethereal Armor / 天上の鎧 (白)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、あなたがコントロールするエンチャント1つにつき+1/+1の修整を受けるとともに、先制攻撃を持つ。


《天上の鎧》は先制攻撃の付与に加え、マナサポートである《豊かな成長》や《楽園の拡散》も修整値に計上できるほかタフネスも同様に上げるため低ステータスな呪禁クリーチャーの突破力を向上させる非常に重要なカードです。
二枚以上を重ね張りすることでさらに爆発的にステータスを増強でき、ここまでくると戦闘でクリーチャーが死ぬことはほぼほぼなくなります。


また、古くはウルザブロック時代での登場から既に「壊れオーラ」として名高い《怨恨》も当然4枚搭載されています。

Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。


タフネスこそあがりませんが、1マナと軽い上に墓地に置かれた際には手札に戻るというエターナルエンチャントである性質上サイドボード後の置物破壊にも強く、オーラ特有のディスアドバンテージを軽減する非常に強力なカードです。
トランプルの付与もいやらしく、トークンなどでのチャンプを許さないため《アルマジロの外套》と合わせてメインデッキでの対応のしにくさを一層際立たせています。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『白緑呪禁オーラ』というデッキは・・・

【長所】
・呪禁生物&エンチャントという通常とは異なる軸で攻めるデッキのため、メインデッキから対策されることがほとんどありません。
・上記に関連しますが、その性質上相手のメインデッキの大半のカードを腐らせてしまいます。サイドボード後でも腐ったカードを抜ききれず不要牌がデッキに残ってしまうこともままあり、色次第では対策すること自体難しいです。
・《アルマジロの外套》を筆頭に、ダメージレースを瓦解させてしまうほどにオーラのカードパワーが高いため特にフェアデッキには有利に立ち回れます。


【短所】
・ドロー操作を苦手とする色でありながら、クリーチャーの絶対数が少なく、さらに強化オーラと土地をバランスよく引く必要があるため安定性に欠けています。
・ダメージを与える以外の勝ち筋を持たないため、《一瞬の平和》を多用するようなデッキを苦手とします。また、色の関係上相手のリソースに干渉することも苦手なので特にウルザトロンのようなこの両方が該当するデッキは天敵となります。
・呪禁クリーチャーの性質上、布告除去・全体除去を苦手とします。
・メインデッキがあまりにも強力かつ対処手段が限られているため効果的な専用サイドボードを用意されることが多いです。
特に《軍旗の旗手》・《貴族階級の嘲笑》・《緑の防御円》・《平穏》等は有名で、場合によっては一枚だけで詰みかねません。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、みんなもコウノトリ杯に参加しよう!!!


pauperはいいぞ(定期)

pauperはいいぞ。

第四回コウノトリ杯にも多くの方がデッキをご持参いただきましたね。
というわけで今回もやっていきます、デッキピックアップです。

ちなみに今更ですが記事のターゲットとしてはpauper経験の浅い、特に参入したての人や参入を考えている人向けの内容となっています。
地元大分には多くのpauper熟練兄貴がいますので、そういった方々にはぜひ補足のコメントをしていただきたいですね。
勿論初心者さんからの質問や、通りすがりの熟練兄貴のコメントもお待ちしてます。


では、今回のピックアップデッキ、『青黒アルケミー』を解説していきましょう。(レシピはクドウさんのDNより引用しております)


【クリーチャー】
3:ボーラスの占い師
3:熟考漂い
3:グルマグのアンコウ
1:縞カワヘビ
【呪文】
3:定業
2:無垢の血
1:見栄え損ない
3:熟慮
3:禁制
4:対抗呪文
2:破滅の刃
1:悪魔の布告
3:チェイナーの布告
1:眼腐りの終焉
2:魂の操作
3:禁忌の錬金術
【土地】
3:ディミーアのギルド門
2:ボジューカの沼
4:陰鬱な僻地
4:ディミーアの水路
5:島
4:沼
【サイドボード】
1:禁制
2:水流破
2:居すくみ
3:否認
3:強迫
2:エヴィンカーの正義
2:残響する衰微


●『青黒アルケミー』はどんなデッキ?

puaper界において青黒というカラーリングのデッキは多く存在しますがその中でもコントロール寄りのデッキは2種類に大別できます。

一つは、「Delver-Go」と呼ばれるクロックパーミッション。その名の通り《秘密を掘り下げる者》を変身させ、カウンターで守りつつ殴り勝つデッキです。デルバーに加えて、優良ドロースペル・カウンターの双方がコモンに充実しているためレガシー級の動きを実現することのできる非常にカードパワーに優れたアーキタイプです。
pauperでは運命再編にて《グルマグのアンコウ》を獲得して以来、《思考掃き》や《留意》などのキャントリップ呪文を用いて高速で墓地を肥やしアンコウを高速召喚するタイプの青黒デルバーデッキが一時代を築くほどの隆盛を見せました。


もう一つは、純粋な青黒コントロール。
《秘密を掘り下げる者》を採用せず、土地も多め。除去とカウンター(環境によってはハンデス)を駆使して盤面を構築したのち《熟考漂い》や《グルマグのアンコウ》等のフィニッシャーをゆったりと着地させて勝つ古典的なコントロールデッキです。
デルバー系に比べるとドロースペルや生き物が少ない分、カードアドバンテージを稼げるカードを多く投入でき長期戦に強くなっています。

今回紹介する青黒アルケミーも、純粋な除去コントロールにあたります。
pauper界での青黒コントロールというと、《神秘の指導》を使ったシルバーバレット戦略を駆使した超重コントロールが代表格でしたが、青黒アルケミーはこれの軽量版亜種といえるでしょう。
その理由と採用されているカードについては次項にて。

●注目のカード

このデッキのキーカードは、デッキ名の由来でもある《禁忌の錬金術》です。

Forbidden Alchemy / 禁忌の錬金術 (2)(青)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上から4枚のカードを見る。それらの1枚をあなたの手札に加え、残りをあなたの墓地に置く。
フラッシュバック(6)(黒)(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)


青のドロースペルにおいて「三種の神器」と称される《思案》・《定業》・《渦巻く知識》が全てリーガルなpauperでは、これ以外のドローを見かける機会はあまり多くありません。
しかし、今回のクドウさんのレシピを見てもわかるようにこの思案や四枚目の定業を差し置いて採用される《禁忌の錬金術》は実に独特なドロースペルだといえるでしょう。このカードの強さについて以下に解説していきます。

①インスタントで四枚掘れる点

pauperではそもそも軽量ドロースペルに三種の神器があるため、インスタントドローの採用率自体高くはありませんが、やはりコントロールにとって土地を寝かさず構えながら隙あらばドローという動きが可能なのは明確なメリットです。
「上から四枚」と三種の神器より掘れる枚数も多い上、手札に加えられるカードの種類の制限もないため、状況に応じて最も必要なカードを適宜補充できるのは似た立ち位置のカードである《神秘の指導》との差別化点といえるでしょう。


②墓地を肥やせて、フラッシュバックがついている点

同じくトップ四枚を見れる《衝動》とは異なり、選ばれなかったカードは墓地へ送ります。
このため、《グルマグのアンコウ》の探査コストを大きく稼ぎつつアンコウそのものを探したり他のフラッシュバック呪文を墓地に落とすなど墓地リソースを充填することが可能です。
今回のレシピにも《熟慮》や《チェイナーの布告》といったフラッシュバック呪文が多めに採用されており、このカードとのシナジーが重視されていることがわかります。
更に非常に重いながらこれ自体にもフラッシュバックがついており、長期的にはこれ単体でアドバンテージを稼ぐことができる点も見逃せません。

総じて、3マナという重さとデッキを選ぶクセこそあれどアドバンテージやリソースを稼げるインスタントとしては非常に優秀なカードです。
ピンポイントにカードをサーチしてくることにかけては《神秘の指導》に一歩劣りますが、その分シナジーを活かした構築にすることでより効果的なドロースペルとして運用できるわけですね。


筆者個人的な一推しでもありますが、この青黒アルケミーというデッキにおいて最も輝くのはなんといっても《魂の操作》ではないでしょうか。

Soul Manipulation / 魂の操作 (1)(青)(黒)
インスタント
以下から1つまたは両方を選ぶ。
・クリーチャー呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
・あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。


《本質の散乱》と《死者再生》の抱き合わせとなっているこのカードは非常に高いポテンシャルを秘めていながら、今まで青黒コントロールでの採用率はあまり高くありませんでした。
先に紹介したデルバー系のクロックパーミッションでは3マナのスペルを積める枠があまり多くない上、デルバーとサルベージカードの相性自体もイマイチです。
一方、「神秘の指導コントロール」ではどうかというとそもそもあまり墓地にクリーチャーが落ちることがありません。アドバンテージを稼げるカウンターというセールスポイントも色拘束の緩い《除外》に取って代わられがちでした。

この点、自ら墓地を肥やすアルケミーは墓地回収モードを積極的に活用できるこの上ない「うまぶり」カードです。墓地に落としたアンコウや《熟考漂い》を回収しつつのカウンターは相手の心を折るには充分でしょう。


Augur of Bolas / ボーラスの占い師 (1)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk) ウィザード(Wizard)
ボーラスの占い師が戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはそれらのうちのソーサリー・カード1枚かインスタント・カード1枚を公開し、自分の手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
1/3


モダンマスターズ2017でコモンに格下げされて以来、青の中速デッキでは引っ張りだこになっている《ボーラスの占い師》は勿論このデッキにも採用されています。
2マナ1/3と青の軽量生物らしからぬ頼もしいボディに、アドバンテージがついてくるというコントロールには喉から手が出るほどの円滑油。
このデッキでは《禁忌の錬金術》とのマナカーブ的兼ね合いや、《魂の操作》との相性がよい上、この二枚にアクセスすることのできるカードでもあります。


●このデッキの強み/弱み

まとめると、この『青黒アルケミー』というデッキは・・・

【長所】
・クロックパーミッションほど速い段階からマウントをとることはできませんが、カードアドバンテージの確保に優れています。
・似たタイプである《神秘の指導》コントロールと比べると墓地リソースの活用に長けています。
・単体・全体・布告と除去のスペシャリストであるため生物デッキには滅法強いです。フラッシュバック呪文で打ち消しにもある程度の耐性を持つので、クロックパーミッションやコントロール相手のリソース勝負でもそこそこ戦えます。

【短所】
・フラッシュバック呪文がアドバンテージの根幹をなしているので墓地対策が通常の青黒より致命的にぶっ刺さります。
・相手の墓地活用も比較的苦手です、色の関係上置物にも触れないため《拷問生活》のような特定のエンチャントを軸にするデッキはサイドありきになりがちです。
・悠長なデッキなので、ウルザトロンのような土地コンボデッキも天敵です。土地破壊やハンデスでの対処が基本になりますが、デルバーのような効果的なクロックに乏しいのでどうしても後手にまわりがちになります。



デッキピックアップ、いかがでしたでしょうか。
冒頭にも書きましたように、皆さんからの意見・質問も募集しております。
次回のピックアップデッキとなれる新たなデッキを目指し、みんなもコウノトリ杯に参加しよう!!!


pauperはいいぞ(定期)
第1回 Pauper デッキピックアップ『白単ストンピィ』
 pauperはいいぞ。 

はい、というわけで大会告知内にもありましたように今回から各月のコウノトリ杯出場デッキの中から主催の私が独断と偏見で選んだデッキを紹介するコーナー「デッキピックアップ」でございます。

毎回自分のレポート詳細にあげるのも結構面倒くさいしね

記念すべき第1回にて紹介いたしますのは私自らカードを投げてpauper沼に引き込んだ結果、見事第三回コウノトリ杯優勝者となりました「いーさん」の使用した『白単ストンピィ』です。

MO上でも5-0リストが増えているという、今が旬なストンピィ系モノホワイト。
早速今回のリストを見ていきましょう。


【土地 22】
平地 20
セジーリのステップ 2

【クリーチャー 22】
聖なる猫 3
スレイベンの検査官 4
コーの空漁師 4
戦隊の鷹 4
暁の熾天使 3
ギルドパクトの守護者 1
剃刀のゴーレム 3

【スペル 16】
骨断ちの矛槍 4
結束のカルトーシュ 2
マナの税収 2
未達への旅 4
天界のほとばしり 2
損ない 1
護衛の誓約 1




●『白単ストンピィ』はどんなデッキ?

昨今のスタンダードプレイヤーだと、「ストンピィ」というのは耳慣れないアーキタイプかもしれません。

ストンピィ(Stompy)は、高速ビートダウンデッキ。狭義では緑単色やそれに準じたもの、広義には、多色デッキや赤単なども含めて、パワーの高いクリーチャーを高速で展開して殴り切るウィニーデッキ全般を呼ぶ。ただし、エルフ・ビートなどの部族デッキは構造が特殊なためこの名では呼ばない。

デッキ名の由来は英語の"stomp"から。象などの大きな生き物が何かを踏みつける擬音語であり、初期のキークリーチャーの一つであるはぐれ象/Rogue Elephantをイメージしている。
(MTGwikiより引用)

一般的なアグロの分類よりも更に細かい分類にあたり、序盤からの高パワーのクリーチャーを並べるor更にスペルで強化するなどして一気にライフを持っていくタイプのビートダウンです。

今回いーさんの使用したデッキは、一見するとそこまでステータス面でマナレシオに突出したクリーチャーの採用率は高くないように見えますが、《骨断ちの矛槍》や《結束のカルトーシュ》といった高効率に打点を向上させるスペルを使用することでデッキの速度を向上させています。


●注目のカード

デッキの動きそのものは非常に単純なビートダウンですが、pauperの白では筆頭エースとして知られる《コーの空漁師》によるシナジーが特にビート方面に強力に活かされているのが白単ストンピィの特徴の一つです。

Kor Skyfisher / コーの空漁師 (1)(白)
クリーチャー — コー(Kor) 兵士(Soldier)
飛行
コーの空漁師が戦場に出たとき、あなたがコントロールするパーマネント1つをオーナーの手札に戻す。
2/3


コーの空漁師は自身のコントロールするパーマネントをバウンスするデメリットを持つ代わりに、2/3飛行と白の小型生物でも群を抜いたステータスに恵まれています。自身が高速ビートダウンに寄与しているだけでなく、pauper環境において採用率の高い飛行クリーチャーである《秘密を掘り下げる者》に対しての抑止力にもなっています。
更に、そのデメリットのバウンスにより《スレイベンの検査官》や《結束のカルトーシュ》を回収することでややテンポ面でのロスこそあるもののアドバンテージすら稼ぐことも可能。
今回のような純正のビートダウンは勿論、コンボやコントロールデッキにも採用されるその名にたがわぬ神話コモンです。


また、いーさんの相棒たる天使こと、暁の熾天使はこのデッキのフィニッシャーとして3枚採用されています。


Seraph of Dawn / 暁の熾天使 (2)(白)(白)
クリーチャー — 天使(Angel)
飛行
絆魂(このクリーチャーがダメージを与える場合、さらにあなたは同じ点数のライフを得る。)
2/4


飛行・絆魂という強力なキーワード能力の組み合わせに、pauper界でも標準的な火力として採用率の高い《稲妻》で落とされないタフネスを併せ持ち、場に出たあとの制圧力の高さが魅力です。4マナとマナカーブ的には重めのカードでパワーも2とやや物足りませんが、強化手段に事欠かないこのデッキでは一気にライフレースの主導権を握れるエースとして活躍できます。


更に、アモンケットからの新戦力として《結束のカルトーシュ》も採用されており、1マナ圏の打撃向上に寄与しています。


Cartouche of Solidarity / 結束のカルトーシュ (白)
エンチャント — オーラ(Aura) カルトーシュ(Cartouche)
エンチャント(あなたがコントロールするクリーチャー)
結束のカルトーシュが戦場に出たとき、警戒を持つ白の1/1の戦士(Warrior)クリーチャー・トークンを1体生成する。
エンチャントされているクリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともに先制攻撃を持つ。


装備品である《骨断ちの矛槍》よりも修整値が低く、さらに除去によるディスアドバンテージが大きいため採用枚数は抑えられていますが1/1のトークンがでるためクロックのあがり方は同じで、かつタフネスへの修整と先制攻撃の付与がビートダウン・コントロール双方に有効であるため特にタフネスの低い《戦隊の鷹》との相性がいいカードです。
上述のように《コーの空漁師》と組み合わせることでアドバンテージを稼いだり、《暁の熾天使》をプチ《悪斬の天使》化したりとオーラながら多芸な一枚。



●このデッキの強み/弱み
通常のビートダウンと比べ、《スレイベンの検査官》や《戦隊の鷹》によるアドバンテージ獲得に優れています。
軽量なステータス強化スペルに加え、飛行クロックや白ならではの確定除去も多数採用されているため単純にサイズの大きな生物だけで対処することは難しく簡単にはとまりにくいのがウリ。

一方で強化手段を引けないor対処されてしまうと生物の素のステータスにはやや不安が残るため速度が大きく低下してしまいます。
また、一部重コントロールが時折採用している《エヴィンカーの正義》《渦巻く砂嵐》といった全体除去には対処手段が乏しいため苦しいマッチアップになるでしょう。



第1回 Pauperデッキピックアップ いかがでしたでしょうか?
今後もコウノトリ杯出場デッキの中から、気になるデッキ・旬なデッキをピックアップしていきますのでぜひ皆さん自慢のデッキを持ち込んでくださいね!


pauperはいいぞ(定期)

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