新エキスパンション、「ストリクスヘイヴン:魔法学院」は4月23日発売!
MTGA及びMOでは4月15日先行リリース!



なんかよく見たら今回のエキスパンションキャッチコピーがなかった。
気づいたらフルスポきてたんで、スタンダード目線で神話レア・レア中心にいつもの雑感いきまーす。


・《厳しい試験官》

2/1/3の防御的スタッツに「パーマネントが戦場に出た際の誘発型能力」、いわゆるETB能力が誘発するたび2マナを要求する能力を持つ。
要はリスティック型《倦怠の宝珠》を内蔵したヘイトベア。

能力の有用性そのものは高いがスタンダードで使われるかはやや微妙なラインという予想。下環境はともあれ、現行スタンダードで強力なETB能力というと英雄譚や《エンバレスの宝剣》等置物の比率が高め。リスティック系なのが災いしてゲーム後半になればなるほど拘束力が薄くなっていく。《壊滅された予言》等ブリンク主軸のデッキに刺さりうるが、そのテのデッキは黒が濃いめなのでこいつ自身が生き残る目算が薄い。
スタッツ含めてやや中途半端な印象拭えず。


・《戦闘講習》

白のレアエンチャント。
ETBで新キーワード処理「履修」を行なう。
履修はサイドボードからサブタイプ「講義」のインスタント/ソーサリーをサーチor引いてから捨てるルーターのいずれかを選択できる処理。
単純なアドバンテージになるとはいえ「講義」を実際に採用するかどうかはまださておき、最低限手札を回せる選択肢があるのはデッキ問わず汎用性のある要素。構築でもよく見かける処理になる可能性は高そうだ。

そしてエンチャとしての本分は白のお家芸コンバット補助。
攻撃指定毎に自軍攻撃クリーチャー1体をアンタップし、+1/+/1カウンターを配置する。要は毎ターンのサイズアップと警戒付与。

講義によるアドバンテージorルーター機能に永続的な単体強化ということで3マナのエンチャとしては大変コスパがよい。
講義スペルにはトークン生成できるものもあるため、このテの強化エンチャにありがちな「強化スペルなのに強化先がいなくて空気」という事態も一応起こりにくくなっている。
白いアグロだったら下手なバスリPWやらアンセムやら積むよか有能そうな印象を受ける。殴り気あるデッキが好きな人は抑えておくと吉。


・《混沌の学部長、プラーグ》/《秩序の学部長、オーガスタ》

ゼンディカーよりすっかりおなじみ、モードのある両面カード。通称「MDFC」。
今回は各魔法学院の学部長サイクルなどが登場。
これは赤白の学院ロアホールドの学部長2名。

表面が赤のプラーグ。
2/2/2というド熊なスタッツのレジェンダリー。
癖のないルーター能力に加え、5マナとタップで3マナ以下のスペルが出るまでめくり続け最初に出たものを唱えるというランダムな踏み倒し能力を備えている。
一応熊スタッツでルーター持ち、マナフラ受けでアドバンテージも稼げるというと聞こえはいいが攻めるにしてもシステムとしても全体的に中途半端。

裏面は白のオーガスタ。3/1/3とこちらはやや防御より。
自軍タップ状態のクリーチャーには+1/+0、アンタップ状態のクリーチャーには+0/+1修正を与えるロード能力持ち。
加えて自軍攻撃時にそのタップ状態/アンタップ状態を任意に指定できる。
要はどちらに修正をかけられるのかを選べるロードクリーチャー。
修正値が小さめで本人のスタッツも貧弱、表面と合わせて純アグロ!な性能はしていないような感じを受ける。

具体的なイメージでいうとトークンに《異形化》のような特定のキーカードを狙ったトークン軸のビート/コンボ複合デッキに採用できそうな性能。ルーターでキーカードを探せてマナフラを受けつつ、殴りプランのときはロード能力がトークンの脅威値を上げてくれる。
そんなデッキがスタンで成立するかは置いといて。


・《狡猾な相棒、ミラ》/《むら気な眷者、ルーカ》

ティボルトに続いて登場、クリーチャー/PWのMDFC第2号。

表面のミラは白の3/2/3。
ダブルシンボルのレジェンダリとしてはやや控えめなスタッツ。

その代わりと言ってはなんだが自軍PWが攻撃される度に自軍PW全員に忠誠度カウンターばらまく能力、そして自軍パーマネントが呪文・能力の対象となる度にカードを引ける《補償金》的な能力を持っている。
PWが殴られているなら落とされる目算がありそうな盤面なので忠誠度1程度の回復がどこまで有効に働くかは怪しいものだが、ドロー能力の方はなかなか強力。

裏面のルーカは赤6マナのPW。
初期忠誠度は5。

+1能力は捨ててから引くルーター。この時クリーチャーカードを捨てれば2枚引けるのでアドバンテージとなり更にマイナス能力への布石にもなる。
自身の表面がクリーチャーなので重ね引きを許容しやすく、両面カードの特性でレジェンダリーのデメリットを消すという点では良デザイン。

-2能力は墓地からクリーチャーを速攻をもたせて釣り上げる。次の自ターンアップキープには追放されるため再利用はできない。
赤としては珍しいリアニメイト能力、系統としては《死体のダンス》が近い。
勿論大型を釣ってビッグリターンを狙いたい。

-7能力は「自軍生物が戦場に出る度そのパワー分のダメージを相手の生物orPWへ与える」紋章授与。クリーチャーシナジー系PWにありがちななんちゃって《伏魔殿》的奥義。本体に飛ばないのがあまり痛い。相手がビートダウンならそもそも奥義に行き着きにくく、ノンクリ系デッキにはたどり着いてもバニラ同然の紋章なのは非常に問題。この奥義を使うシーンは稀になると思われる、6マナのPWなんだから奥義は黙って実質勝利なやつにしとけよ。

総じてクリーチャー中心のミッドレンジで採用しうるカード。表面が防御的なシステムで裏面がリアニ発射砲台とイマイチ両面での噛み合いはよくない感じ。
個々の能力自体はそこまで弱くはないので、どちらか一方の面をメインに片方はおまけ程度のような目的意識のはっきりした採用になりそう。


・《ヴェロマカス・ロアホールド》

各大学名にも冠されるエルダー・ドラゴンサイクルの1枚。
赤白のロアホールドは7/5/5飛行警戒速攻、ドラゴンらしい重厚な戦闘性能。

加えて、攻撃する度にライブラリトップ7枚からCMCが自身のパワー以下であるインスタント・ソーサリーを1枚タダで唱えられる。見る枚数が多いとはいえある程度デッキの構築に制限はかかるが、アタック誘発で手軽にアドバンテージを得られるといえば強力な能力。除去耐性がないものの、速攻なので出たターンから仕事するのも◎。
踏み倒し先のスペルにもよるがやはり単純にアドバンテージがとれるスペルを唱えたいところ。安直に思いつくのは青を混ぜてジェスカイコントロールあたりのフィニッシャー枠か?

個人的には期待の1枚。
ジェスカイ的にもね。


・《増強者の拳闘家》/《残響方程式》

青緑の学院、クアンドリクスのカード。

表面は緑ダブルシンボルの3/3/3トランプル。
緑らしいシンプルかつ良好なスタッツ、更に土地を8枚以上コントロールしている場合は+5/+5修正を受けて巨大化する。
おまけの自己強化は勿論強力だが、緑3マナのサイズ重視クリーチャーは現状ライバルが多いのが懸念事項。特にこのシンボルだと《カザンドゥのマンモス》の存在がちらつく。

裏面は青5マナのソーサリー。
自軍クリーチャー全てを対象とした生物に変える、一斉上書き呪文。
レジェンダリーも無視してコピー可能で、効果そのものはなかなかに派手。
トークンを並べてサイズのあるクリーチャーやシステムクリーチャーのコピーを一時的に量産するなどなんらかのコンボ目当ての採用になるだろう。

8割方表面で使ってたまにコンボ狙うみたいなデッキは組めそうだが果たして。


・《クアンドリクスの命令》

タルキール以来となる命令サイクル、いつもどおり4モードから2つを選べる汎用性重視なインスタント。

青緑の命令は

・クリーチャーorPWのバウンス
・アーティファクトorエンチャント呪文の打ち消し
・クリーチャー1体に+1/+1カウンター2つ配置
・単一墓地のカード3枚をライブラリに戻す

の全4モード。

個人的な印象は「むしろかゆいところにしか手が届いてない」という感じ。
盤面への触り方が最低限でアドバンテージはとれず、クリーチャー強化モードがあったりでややデッキを選ぶ。ニッサとウーロが現役だったら意外と使われたかもしれんが。


・《ターナジール・クアンドリクス》

青緑のエルダー・ドラゴンは5/4/4飛行。
本人のサイズは普通程度だが、ETBで自軍生物1体に既に乗っている+1/+1カウンターを2倍にする。そしてクアンドリクス自身が攻撃するたび、自軍全員の基本サイズをクアンドリクスと同一にできるスタッツ操作能力を持っている。

…え?それだけ?

単体ではなんにもしてくれない上に速攻も瞬速もなく、無事にターンが帰ってきても仕事するかは怪しいという情けないエルダー・ドラゴン。お前本当に現代の神話レア?
せめてETBで自軍にカウンター1個置いてそれを2倍にするとかそういう感じにできんかったんか・・・。
一応《石とぐろの海蛇》あたりと組ませるとえげつないことにはなる。

と思いつつも「でもシミックって昔はこういうパワー馬鹿な感じだったよな・・・」とマジック最弱クラスの色の組み合わせだった頃に思いを馳せてしんみりしたりしなかったりする。そんなカード。


・《悪意の熟達》

今回の黒のレア除去枠。
《ヴラスカの侮辱》から続く伝統の4マナ単体追放除去、素の性能はあちらに準ずるが今回はなんと代替コスト(黒)(1)を持っている。びっくり。
代替コストで撃つと相手にドローを与えるが、緊急時に2マナで撃てるという事実だけで相手のプレイングを縛りうるという点が強力。
追放除去なので一部除去耐性も貫通する。
アグロ相手に撃つにはやや不向きだがいつの時代も追放で除去したいクリーチャーがいないわけもなく、構築で見かける機会はそこそこありそうだ。


・《オニキス教授》

13枚目のリリアナ。
6マナと重量級で、初期忠誠度は5。今回の常在型能力は新キーワード「魔技」。
インスタント・ソーサリーのキャスト及びコピーで誘発するスペルコントロール向きの能力。リリアナの魔技は2点ドレイン、重量級PWということでスペル多めの重コントロールとの相性は悪くない。

+1能力は1点ライフルーズのついた《巧みな軍略》。墓地の肥やせる手札補充、墓地利用に特別目を向けなくとも見る枚数が多いので+能力としては強力な部類。ライフルーズつきなので連打すると支払いが嵩むが、補充した手札から魔技のドレインにつないでこれを補填するデザイン。

-3能力は相手のパワー最大の生物1体の生贄。《はじける破滅》のダメージなしバージョン。裏目に出にくい布告除去で、基本的には最も退かせたいクリーチャーを退場させられることが多いはず。
欲を言えば《魂の粉砕》のようにPWも触りうるとよかったのだが、まあ自衛能力としては悪くない。

-8能力は「責め苦」系のハンデスorライフロスを選ばせる奥義。
「手札を捨てなければ3点ルーズ」を7回繰り返す。基本的にライフを詰めることのない重コントロールでも、魔技が繰り返し誘発していれば充分致死量たりえる上仮に仕留めきれなくてもハンドをズタボロにできることから即勝ちとまではいかなくともプレッシャー自体は大きい部類。+能力を連打できているならハンド差もついているだろう。

総合的に黒いコントロールには採用しうるレベルの基準は満たしていると思われるPW。単色ということで一応《出現の根本原理》から選ぶことも可能、ティボルトと同居して採用されるか微妙なラインだが。


・《セッジムーアの魔女》

黒のレア生物枠では毎度おなじみ3/3/2威迫のスタッツを持つ邪術師。
魔技によって邪魔者トークンを生成する。更に除去耐性として「護法」を持ち、呪文・能力のターゲットとなる場合に3点のライフルーズを要求する。

赤の《若き紅蓮術師》、白の《僧院の導師》の系譜に連なるトークンを作り出すシステムクリーチャー。あれらと比べると本体の攻撃性能が高く、威迫とライフルーズ要求の護法により相手ライフへのプレッシャーが強め。
インスタント・ソーサリーでしか魔技が誘発しない都合ややデッキ構築を縛るが、このテのトークン生産システムの強力さは先輩達が証明済み。
今回は黒ということでお供のスペルとしてはハンデス・除去がやはり強力だが、そこは打ち消しや高性能なキャントリを擁する青、ライフを詰める性能の高い赤あたりと組ませるべきだろう。

個人的にはメンターのスタン時代の活躍を鑑み、黒いコントロールのアグレッシブサイド枠としての活躍に期待したい。


・《ウィザーブルームの命令》

黒緑の命令、これと白黒の命令のみソーサリーである。
その分こちらは2マナと軽い。

モードは
・任意のプレイヤー対象で3枚切削、その後自身の墓地から土地を回収
・CMC2以下のノンランドパーマネント破壊
・クリーチャー1体に-3/-1修正
・2点ドレイン
の4つ。

軽いだけあって全体的に控えめな効果ではあるが、どれも2マナの呪文相当の効果ではあるのでコスパはいい部類。1枚で盤面の軽めのカードを2枚触りうるので、状況は限定されるがアグロ~軽めのミッドレンジが同程度の速度デッキ相手にサイドから入れられるかな、という感じのカード。悪くはないがびっくりするほどの性能でもなく、なんとも。


・《ベレドロス・ウィザーブルーム》

黒緑のエルダー・ドラゴンは7/4/4飛行、色の割にはサイズ控えめ。

が、それもそのはずで各アップキープに邪魔者トークンを生成してくれる《新緑の魔力》系譜の能力を持っており往復ターン換算ならパワーは6相当。

そして目玉の能力はライフ10点ペイによる自身の土地全てのアンタップ。
流石に10点は早々気軽に支払える点数ではないが、邪魔者トークンは死亡時にライフゲインがついているのである程度の保険にはなってくれる。
なによりシステムクリーチャーにありがちな「返しで除去される」の部分を相手アップキープからトークン生成が始まる点、そして土地のアンタップで守りをかけられる点できちんとカバーしているのが優秀極まる。

こちらも色の合うミッドレンジ~コントロールのフィニッシャーとしては良い性能をしている。ボードアドバンテージは勝手に供給、支払いは大きいがマナも供給してくれるので手札からがっちり固められるデッキとは好相性。


・《炎巻物の祝賀者》/《静寂の享楽》


クリーチャー/インスタントの両面カード。

表面は赤2/2/1、相手の非マナ能力の起動型能力起動の度に1点ダメージを与える《炎樹族のシャーマン》能力に加えブレス持ち。
ブレスは2マナで+2/+0と効率高め、ライフを詰める能力の高いアグレッシブな性能をしている。

裏面は白ダブル2マナのインスタント。
キャストしたターン、相手の呪文キャストとPWの能力起動を封じる《沈黙》系スペル。連打して悪用できないようにするためか、キャスト後追放される。

表面のアグレッシブさを考えると、基本は並べて殴る系のデッキで使用しキルターン付近の相手アップキープで裏面を唱えてラスゴを防ぐ・・・といった使い方になるか。ボロスアグロ期待の2マナ枠ということで1つ。


・《火花の学者、ローアン》/《霜の学者、ウィル》

双子PWローアン&ウィルが今度は両面PWとして登場。

表面のローアンは赤3マナ、初期忠誠度2。
常在型能力は裏表共通でインスタントソーサリーのコストを(1)減らすメダリオン能力。

+1能力は各対戦相手に1点。3枚以上引いているターンに起動すれば3点。
-4で「インスタント・ソーサリーを唱える度(2)を払いコピー」の紋章授与。

盤面に触る能力を一切持たず、忠誠度も低いためおよそ3マナPWとして実用的な能力とは言い難い。
基本的には早期におけるメダリオンないし重ね引いた時既に裏面のウィルがいる場合に横に置くことを想定していると思われるデザイン。奥義はそこそこ早いので、一応殴られにくいコントロールミラーとかでなら早期設置にもメリットはでてくるだろうか。

裏面のウィルは青5マナ、初期忠誠度は4。

+1でクリーチャー1体の基本スタッツを0/2に変更する。次の自ターンまで持続するので自衛能力としては優秀な部類。

-3は《予言》。5マナPWのアドバンテージ獲得としてはやや控えめだが、引いてきたスペルのコストをメダリオンで軽減してくれると考えればまあまあなコスパといえる。

-7で最大5つのパーマンネントを追放し4/4のエレメンタルに変換する。対象パーマネントの種類を問わない《再造形》✕5。エレメンタルは対象パーマネントのオーナーの戦場に呼び出されるため、自軍の盤面を強化したい場合は自分の土地なりなんなりを変換しなければならない。相手の厄介なパーマネントを追放することもできるが、その場合は4/4に別途対処が必要なので窮地を脱するための奥義とはなりにくい。単純な使い方以外だとラスゴと組みあわせて相手の土地を一掃するくらいか。

両面での自己完結性はあれど、基本的に裏面のウィルを目的に使うことになりそう。メダリオン能力でカウンターを構えやすくなるので、スペルコントロール向きか。


・《表現の反復》

青赤2マナのソーサリー。
トップ3枚を見て1枚は手札、1枚はボトム、1枚は追放。
そして追放した1枚はそのターンプレイできるという、いままでありそうでなかったキャントリップと衝動的ドローの組み合わせ型ドローソース。単純なアドバンテージ換算では擬似的2マナ2ドローともいえる驚異的コスパを誇る。

ただしその特性上、普通に2ターン目に撃っても恩恵が薄いという欠点があるのでスタンダードではやや使いにくい。マナ加速や0マナのカードと絡めようと考えたくなるのでどちらかといえば下環境向き。

最近スタンダードはキャントリップスペル強化の向きがあるが、なかなかうまくいかないなあという印象。《選択》くらいが限界なんかな。


・《プリズマリの命令》

青赤の命令は3マナインスタント。

モードは

・エニーターゲット2点
・2ドロー2ディスカード
・宝物トークン生成
・アーティファクト破壊

の4つ。
個々の効果の汎用性は高いが、どれも1マナ相当の効果なので3マナインスタントとしてはややインパクト薄め。
いつでも撃てるルーターモードの強みはあるのだが、いかんせんアド損なのが気にかかる。
せめて《目録》くらいにならんかったか。4マナにして各モードをもうちょいボリュームアップしてほしかった。

アド損覚悟で手札が回せて、意表をついてマナが増やせる、厄介なシステムを焼いて対策置物を破壊できると書くとコンボデッキのサイドカード向きに聞こえるカード。下環境かなあ。


・《ガラゼス・プリズマリ》

青赤のエルダードラゴンは4/3/4飛行とこじんまりサイズ。
ETBで宝物トークンを生成し、自軍アーティファクト全てにインスタント・ソーサリー限定のマナ能力を付与する。

要は宝物トークン並べてでかいスペルを唱えることを補助する狙いの強いドラゴン。CIPで早速マナが使えるのが強み。
ただそんなことするより《黄金架のドラゴン》を使ったほうが汎用性が高くて手っ取り早いのでこいつの出番があるかは微妙。


《断割》

白黒の学院、シルバークイルのカード。
PWorエンチャントorアーティファクトを破壊できる2マナのインスタント。
黒が入ってPWが割れるようになった《解呪》。

PWが割れるとなるとなかなかに範囲が優秀、特にテーロス・カルドハイムからスタンダードは比較的置物が多用される傾向にあるので環境的追い風はあるといえる・・・が肝心のPWが弱い環境なのが気にかかる。
ディッチャとしての性能も評価したいが英雄譚はETBで仕事を果たすものが多いため、やや受け身にすぎる。色が合うならサイドカードとしての出番は勿論あるだろう。

・《消失の詩句》

白黒2マナのインスタント。単色パーマネントを追放する、単純明快な除去。
白が入って範囲の広がった《究極の価格》。

スタンダードは単色パーマネントが多用される傾向があるので範囲の広さは折り紙付き。リメイク元のプライスにあってすら多色次元であったタルキール環境で使われた実績を考えればこのカードにも出番はあるだろう。
ルールス・ヨーリオン・ティボルト等重めのところが割れず同期のストリクスヘイヴンが多色次元ということで環境次第では割を食うかもしれないが実用性は現時点でも確かに思える。4枚抑えたい。


・《シャドリクス・シルバークイル》

白黒のエルダードラゴンは5/2/5飛行二段攻撃。

自軍戦闘開始時に以下3モードから2つを選択する。

①2/1の墨獣トークン生成
②1ドロー1ライフルーズ
③自軍全員に+1+/1カウンター配置

やや癖があり、この選んだ2つのモードは「別々のプレイヤー」を対象にする必要がある。要は相手と自分どちらにも恩恵を与えてしまうので、モードの選び方を考えてね!というカード。

除去が得意な白黒という色の組み合わせ故、基本的には相手の戦場を空っぽにして③のモードを相手対象とするのが無難な使い方か。
盤面が固まったきたら③のモードを自分対象にして火力を上げるのがいいだろう。二段攻撃なのでサイズアップの恩恵も大きい。

総じて除去の豊富なビート・コントロール向けの性能。
頭数や打点はある程度自身の能力で賄えるので一応単体でも活躍はできそうだが、やはり癖はある。個人的な評価は保留。


今回はこんな感じで。
先月全然やる気なくてスタン回してなかったので、今月はがんばって配信とかしていきます。押忍。
戦斧を掲げよ/Raise Your Axe

世界樹の下に繰り広げられる、星界の神々と怪物たちの闘いを目撃せよ。
新たな次元、新たな物語。最新エキスパンション「カルドハイム」は2021年2月5日全世界一斉発売!

MO・MTGAでは2021年1月28日先行リリース!




はい。
いつもの販促、いつもの雑感です。プレリが行われないのは至極残念です。
それでもいつもどおりにレアと神話レア中心、目線は基本的にスタンダードでいっきまーす。



《神に愛された者、シグリッド》

3/2/2、瞬速・先制攻撃・プロテクション(神・クリーチャー)。
白のレジェンダリーにはよくあるキーワード3点盛りに加え、攻撃・ブロック中のクリーチャー1体を追放できるレンジストライク版《放逐する僧侶》能力も備えた優等生。

フラッシュによる奇襲性、先制攻撃によるコンバット適性も相まって強い交換を仕掛けやすいクリーチャー。ブロックと自身の除去能力で1:2を狙えるシーンも多いだろう。
ただ自身のステータスそのものに堅牢さはないため、他のカードで補ってやる必要性はありそうだ。絶賛活躍中の《スカイクレイブの亡霊》とマナ域が被っているが、おそらく併用されるか。個人的には期待の1枚。


《戦闘の神、ハルヴァール》/《領界の剣》

今回の目玉、モードを選べる両面カード。
土地として扱えるゼンディカーの「スペル/土地」ではなく「スペル/スペル」の両面となっており、カルドハイムの神々とそれぞれに縁の深いアーティファクトの組み合わせで1枚のカード。

白の神1人目、ハルヴァールは表面が4/4/4と至って標準的なスタッツを持ったレジェンダリ。カルドハイムの神には破壊不能がついていないらしい、戦闘の神のくせして軟弱な。
オーラと装備品のついた自軍生物全員に二段攻撃を付与する常在型能力と、戦闘開始時に装備品・オーラを自軍生物間で付け替えることのできる誘発型能力を持つ。「既に装備された」装備品しか付け替えの対象にできないので、誰も装備していないものをノーコストでつけたりなどはできない点に注意。あまり融通は効いていない。

裏面《領界の剣》はキャストも装備も2マナの装備品。
装備クリーチャーは+2/+0修正と警戒付与、タフネスに修正はないが死亡時に装備クリーチャーは手札に戻る。《ヴァロレンの有印剣》と同等のコンバット性能を与える。

両面通じて装備ビートを全面に押し出した血の気の多い性能。

二段攻撃を付与する常在はインパクトがあるが、そもそも殴りっ気のあるビートダウンには現状《エンバレスの宝剣》が存在しておりあちらのほうが下準備があまり必要なく使いやすい。色の合う《スカイクレイブの大槌》あたりならなんとか併用しやすくかつ採用意義を見いだせるか。
装備品やオーラの付け替えは、装備やエンチャントするだけのマナの余裕と付け替え先となる生物を用意できている段階で結構余裕のある盤面なのでほぼ死に能力。どちらかというと裏面の装備品を中心に立ち回ことになりそうなカード。
長々と書いておいて評価は低め。


《傑士の神、レーデイン》/《守護者の盾、ヴァルクミラ》


2枚目の白の神、レーデイン。

表面は3/2/3飛行警戒。どう見てもイラストがグリコ。
氷雪土地を全てタップインさせ、4マナ以上の非クリーチャースペルを全て2マナ重くする2種類の妨害能力を持つ。もちろん現代のクリーチャーなので制限がかかるのは相手のみ。

裏面のヴァルクミラは4マナのアーティファクト。
コントローラ及び自軍パーマネントへのダメージを全て1点軽減するプリベント能力、更には呪文・能力の対象にする場合に1マナ追加で要求するリスティック系の耐性も付与してくれるメイン盾。

平均以上のスタッツに実用的な妨害能力を持つ優秀なフライヤー。能力の内容的にどちらかといえばロングゲームデッキへのアンチカードとしての側面が強いものの、汎用性は充分なのでメインから採用できそうだ。レジェンダリーだが除去されやすいスタッツと能力で且つ軽量な表面なので、複数枚積んでも腐りにくいだろう。ただしパンチ力がないので、ビートダウンなら打点面でのフォローが必要か。
加えて両面の神共通の特性だが重ね引いても裏面でプレイすることができるのでユーティリティがあり、特にこのレーデインの場合除去耐性のない表面を裏面がカバーするという点が素晴らしい。その上マナコストも3→4とキレイに繋がりやすい。

個人的な推し枠。氷雪アンチカードということで下環境での需要も見込まれる。
ぜひ4枚確保したい。


《シュタルンハイムの開放》

白4マナのソーサリー。《セラの天使》相当のトークンを生成する。
そのまま使ってもインパクトが薄いが、カルドハイムのメカニズム「予顕」を持っている。
予顕はスペル版変異能力といった体の分割払い能力で、自ターン中2マナで手札から裏向きに追放した後予顕コストを支払うことで追放領域から唱えることができる。イメージとしては遊戯王のリバースカード。
予顕として追放したターンには唱えることができないので即効性はないものの、経由して唱えることでボーナスを得るスペルなども存在している。

この《シュタルンハイムの開放》の場合、予顕コストが(X)(X)(白)となり天使トークンをX体の生成に変換される。5マナでもセラ天2体分ということで見たままのコスパは悪くない。
ただし予顕コストを挟むのでラグがある上にソーサリーなので見た目よりも奇襲性は低い。
現行スタンでは似たようなことができるカードに《エメリアの呼び声》がある。
あちらはスペルとしては重いものの土地としての機能も果たせる汎用性があるのに対し、最低セラ天一匹だけのこちらの有用性はやや低そうか。


《隆盛するスピリット》

青1マナの氷雪クリーチャー。
氷雪マナを逐次つぎ込むことで成長してゆく、《運命の大立者》の系譜に連なるレベルアップ系の能力を持つ。

成長過程は1/1からスタート。2マナで2/3→3マナで4/4飛行→4マナで6/6飛行・カササギ能力(攻撃が通るとドロー)と大型フライヤーに成長してゆく。

つぎ込むマナの総数はキャスト含め10マナと膨大だが、1ターン目に出した後はマナカーブに沿って育てることが可能。
ただ問題は成長につぎ込めるマナが氷雪マナに限定されている点で、理論上の最大値を発揮するためには全てアンタップインの氷雪地形が要求されるので単色デッキでの運用になってしまいがち。成長がラグると途端にバリューが下がる。
レベルアップはインスタントタイミングで可能なので、スタンダードでクロックパーミめいた青単ができれば採用意義を見いだせるが・・・。
ヒストリックの青単とかにはいいカードかもしれない。


《星界の軍馬》

4/3/3瞬速飛行、予顕(2)(青)持ちのペガサス。
予顕コスト(裏向きで追放するコスト)を1マナ軽くして、更に相手ターンでも予顕可能になる予顕のメダリオン的な存在。2体いると0マナで予顕できるようになるのだろうか。

最速3ターン目から登場可能で自身含む後続の予顕呪文を軽くでき、スタッツも標準以上とマナレシオについては申し分ない。色が色だけにクロックパーミ的な運用が想定しやすいが、相手ターンで予顕して自ターンで表にする疑似マナ加速のような使い方もできるだろう。

カードプール内の実用的な予顕カードの枚数がそのまま評価に直結するので今後のカードに期待したい。


《航海の神、コシマ》/《領界船》

青の神コシマ。児島だよ。

表面は3/2/4と防御的なスタッツを持つ。
自ターンのアップキープに自身を追放でき、追放中は土地を置くたび「航海カウンターを乗せる」or「戦場に戻す」のどちらかを選べる。戦場に戻ることを選んだ場合、その時点での航海カウンターが+1/+1カウンターに変換され、更にそのカウンター数分のドロー。

つまり「出した返しに自身が生き残っている」状態で、土地を2枚以上置いてはじめてアドとサイズアップを得られるというひっじょーに気の長い神。緑と組んで土地を置く回数を増やすのが一番現実的だがそれにしても一度こいつを出してターンが帰ってこないといけないのでやたらに悠長。ややこしい割に弱い。

裏面の《領界船》は2/3/3の機体。自身含めた機体のダメージが通るとその数値分相手のデッキを上から追放し、更にその中にある土地カードをプレイできる。
回避能力こそないがアグロ向きのスタッツに加え搭乗も1で乗り手を選びにくい。
現代の追放カードゆえにこいつが場を離れようとも追放した土地はプレイ可能。
相手の土地を奪う事自体は色マナが合わないと旨味は薄めだが相手のデッキを減らしながら自身の土地を伸ばせるので悪くはない。
2/3/3で回避能力のないこいつどこまで殴り続けられるか次第だが、青いアグロに採用できうるか。


《燃えルーンの悪魔》

6/6/6飛行、いつものスタッツな大型デーモン。燃え燃えルンルン。

CIPでライブラリーから2枚をサーチ、相手が片方を選んだ方は手札へ。選ばれなかった方は墓地へいく。要は《けちな贈り物》である。ちなみに1枚だけ選ぶことも同名カードを2枚を選ぶこともできない。

ウーロやクロクサの二択あたりをピンポイントに落とせればなかなか爽快だったがウーロは禁止。スタンダードだとあまり実用的なコンビはないので素直にパワーカードを2枚提示してどちらか選ばせる感じになるだろう。本体がでかいので脅威度はそれなり。
一応けちよろしく釣り竿とリアニ先の生物を提示すれば確実に呼び出せるが、スタンダードでリアニするほどの生物も強力なリアニスペルもないのでそこまでではない。


《ドローガーの屍術師》

4/4/4の氷雪クリーチャー。
対戦相手のクリーチャーが死亡する場合、氷カウンターを載せて追放に置換。
そして氷カウンターが載っているクリーチャーはこいつが場にある限り自分のカードとしてキャスト可能、更に氷雪マナで支払えば色マナも無視できる。

《ゲトの裏切り者、カリタス》ほどではないが相手の墓地利用や死亡誘発を封じることのできるシステムクリーチャー。あちらと違って即座にボードアドバンテージに還元できないがその分相手のカードをそのまま利用できるのが魅力。
後続のドローガーがいれば1枚目が除去されても氷カウンターの載ったクリーチャーは使えるなど融通は効いている。

単体では4/4バニラでしかないため、除去等の併用が前提である。先に述べたとおり即効性もないので盤面を抑えるだけの干渉力のあるデッキ向け。
カリタス同様コントロールやミッドレンジのサイドに忍ばせる形になるか。


《死の神、イーガン》/《死の玉座》

黒の神イーガンは3/6/6接死という驚異的なスタッツを持つストンピィ系クリーチャー。もちろんデメリットはもっており、アップキープに自分墓地のカード2枚の追放を要求される。
ただし死の神は優しいので、コストを支払えない場合は1枚ドローさせてくれた上で死んでいく。

殴りだすまでに墓地に最低2枚必要なので、普通に使っても殴らせてもらえない。何かしら墓地肥やしを併用するか黒なら手札破壊スペルでもなんとか賄えるだろう。生き残れる状態で出せば相手も除去してくれるだけの驚異値を得られる。まあ基本的には裏面とのシナジーが前提の模様。


《死の玉座》は1マナのアーティファクト、自身のアップキープに1枚切削する。
これで燃料を確保し、2枚目以降のイーガンで殴れというデザインなのだろう。
自己完結といば自己完結だが、両面共に早期設置したいカードなので重ね引き前提はやや不安が残る。やはり墓地肥やしが前提か?
ラクドスのような墓地利用含むデッキなら採用しうるだろう。

一応というか、墓地の生物追放でドローできる息切れ防止機能もついており粘り強く戦う機能もある。ヒストリックやパイオニアのラクドスにはいい選択肢になるかもしれない。


《恐怖の神、ターグリッド》/《ターグリッドのランタン》

2枚目の黒の神は5/4/5威迫。
能力の方はなかなか派手で、相手が捨てた/生贄に捧げたパーマネントカードを直接自分の戦場に出せるというもの。
自身の裏面含めた相手リソースへの攻撃要素が別途必要だが、流石にパーマネントのタダ出しは強力。地味に《寓話の小道》のような自身の生贄をコストとする能力の他、パーマネントであればルーター・サイクリングにも反応する。

裏面のランタンは4マナのアーティファクト。
タップで「1枚ディスカード」or「土地でないパーマネントのサクリファイス」or「3点ライフルーズ」の3択を迫る締め上げ系の置物。特にサクリファイスについては強力だが3点ルーズの逃げ道があるので普通に使ってもライフルーズが選ばれてしまう。コントロールライクな締め上げだが、ある程度ライフを詰められるだけの攻撃力は必要だろう。4マナでアンタップもできるのでマナフラ受けにもなっている。

両面合わせて相手リソースへの干渉力が要求されるカード。
表面がハマったときのリターンがでかいので何かしらデッキが組まれそうだ。
個人的には期待値高めの1枚。


《黄金架のドラゴン》

赤のレアドラゴン。
5/4/4飛行速攻の伝統芸能に加えて、「攻撃する」or「呪文の対象になる」たびに宝物トークンを生成し、更に宝物から出るマナを2倍にする常在持ち。

盤面に触れる能力こそもたないがメリット能力4つでこのスタッツが弱いはずがない。マナの使い道は色々考えられるが、対象に取られると反応することを考えれば素直にこいつを守れる防御スペルに充てるのが順当な使い道か。
強さが素直でわかりやすくよく使われそう、ぜひ抑えておきたい。


《揺れ招き》

レア枠の巨人。
5/5/4のスタッツに、ライフゲインを禁止するアグロのてっぺんらしい常在持ち。
更に自分のアップキープに本体2点。恐ろしいことに、巨人さえコントロールしていれば墓地にいても効果を発揮するという恐ろしい執念をもっており、こいつ自身も当然巨人なため連打するほどに火力が上昇していくとんでもないやつ。

地味に予顕コストで4マナで唱えることもでき、土地が4枚で詰まっても安心。
唯一速攻がないため返しの追放除去だけは勘弁だが、前のめりなアグロでぜひ複数枚採用したい。


《怒りの神、トラルフ》/《トラルフの槌》

トールハンマーでおなじみ雷神トールがモチーフの赤の神。

表面は4/5/4トランプルとなかなかにハイスペック。
更に、非戦闘ダメージが対戦相手のクリーチャーorPWに与えられる場合に余剰ダメージを本体に飛ばすいわば「効果ダメージの貫通効果付与」を持つ。
一応《切り離す一撃》のような重めで複数対象に大ダメージを与えるカードと組わせればワンショットがみえてくるがそこまでコンボを狙わずとも単純に素のスペックが高めなので、おまけ程度にとらえてよいだろう。

裏面は2マナの装備品。装備クリーチャーは2マナとタップで《稲妻》を撃てるようになる。ただし能力を起動すると手札に戻ってきてしまう妙なハンマーなので連射力はいまいちで扱いにくい。一応、伝説のクリーチャーに装備されている場合は+3/+0修正もつく。

基本は表面で使って、重ね引きしたり詰めの場面になったらハンマーとして使う感じの割りとオーソドックスなビートダウン向けクリーチャーとしての趣向が強そう。コンボはコンボで面白そうだが。


《老樹林のトロール》

3/4/4トランプル、トリプルシンボルとはいえ非常に高いマナレシオを持ったレアのトロール。最近は感覚がバグってきて初見3/5/5じゃないのかとか寝ぼけてました。

素の殴りスペックも相当だが死亡すると森へのオーラとなりエンチャントされた森は2マナランドとなるほか、土地ごと生贄にすることで再び4/4トランプルのトークンを生成することができる。
自らは高スペックの戦闘能力で先陣を切り、除去されても後続の大型生物に必要なマナを提供、フラッドしたり盤面が空になってもクロックを落とさないトークン生成と非常に多芸な1枚。

ほぼ単色デッキでしか採用できない懸念はあるが、既にスタンダードには緑単という既存アーキタイプの受け皿もあるため活躍に期待が持てる。


《タイヴァー・ケル》

ムキムキエルフの新PWタイヴァー・ケル。
4マナの初期忠誠度3。

常在型能力として自軍エルフ全員が黒マナを出せるようになる。
《深き闇のエルフ》的伝統、カルドハイムのエルフもやはり黒マナと縁深いらしい。
とりあえず展開力がウリのエルフがそのままビッグマナに直結するので強力ではあるだろう。+能力とのシナジーもある。

+1能力は自軍エルフ1体に+1/+1カウンターを載せてアンタップし、接死をもたせる。常在型能力と合わせてマナを増やせる。コンバット面では矮小なエルフでも殴りやすくなる他ケル自身を守る壁も用意できる。相手ターン終了時まで接死が持続すればパーフェクトだったのだが。

+0能力で1/1のエルフトークン生成。
基本能力。上の能力と合わせて自己完結しているので素で使っても仕事ができるのはよい。

-6のエルフをキャストするたび速攻付与&2ドローの紋章授与。
エルフが次々チェインしやすくなる、という奥義。部族で固めていれば勝てる奥義だが初期忠誠度が3で0能力がある都合やや現実味が薄い。奥義を使うと常在型能力がなくなりマナも減るのでややミスマッチか?

総じて名実ともにエルフデッキ専用のPW。
構築のエルフの実力次第な部分が大きいが、食い込めるかどうかは微妙なライン。


《樹の神、エシカ》/《虹色の橋》

緑の神、エシカ。世界樹の神のようだがイラストがちょっとキモい。

表面は3/1/4警戒のオールカラーマナクリ。
ダブルシンボルのレジェンダリとはいえ、3→5ジャンプができて焼かれにくい・ブロックしやすい・いざとなればコンバットもできるとマナクリとしての性能は及第点以上。
もちろん重ね引きすれば裏面へとつなげることができる。

裏面は5色5マナのエンチャント。
毎ターンのアップキープにライブラリからクリーチャーかPWがでるまでめくり続け、最初に出たものを出すというロマンあふれる踏み倒しエンチャ。
5色ということでまずキャストする段階から難儀しそうだが、そこそこ多色地形は充実しているし、表面のエシカや《イリーシア木立のドライアド》を使えばキャスト自体は実はそこまで非現実的でもない。
問題は置いた後に出てくるPWと生物で、色マナサポートのためにマナクリを多用するとそいつらがめくれて可能性がでてきてがっかり感あふれる結果になってしまいかねない。
現行スタンダードにはあまり制圧力の高いPWが多くないのも問題。
《精霊龍、ウギン》は別格だがこのエンチャントやマナクリごと吹き飛ばすので若干もにょもにょ。ロマンはあるんだが。


《霜と火の戦い》

カルドハイムの目玉第二弾、多色英雄譚シリーズ。部族関連のものが多い。
これは青赤、5マナとやや重めの英雄譚。

Ⅰ章は巨人以外の生物とPW全体に4点火力。巨人に当たらない《嵐の怒り》。
カルドハイムでメジャーな巨人が採用されたりすると厄介だが、自分で利用して一方的なラスを狙うこともできるので一長一短。お互いの《砕骨の巨人》が生き残りそうな気がしている。総じてラスとしては不安定になるかもしれない。

Ⅱ章は占術3。英雄譚の効果としては地味と言わざるを得ないが、数値が大きいのでⅢ章への布石としては上等。

Ⅲ章はCMC5以上の呪文を唱える度に《目録》が誘発する。「唱える度」なので適用ターン中に5マナ以上のスペルを連打できれば複数回の誘発も可能。
なかなかそのような状況は起こりにくいが、予顕などを絡めればあるいは。

ラスゴ→ドローの流れから総じてコントロールデッキ向けの英雄譚。
巨人がメジャー部族になった場合や多相持ちが多いと信頼性が落ちるが、《探索する獣》ラインまで落とせるラスゴは優秀。
色的にも個人的期待値高め。


《トロールの歓喜》

赤緑のレア英雄譚。
6マナとこちらも重め。

Ⅰ章は土地破壊。
Ⅱ章は土地をリアニメイト。
Ⅲ章で自分と相手の土地数の差分の4/4トークンを生成する。

要は《ムーンヴォーリーの酸苔》を2ターンかけて行い、最後に4/4を並べるような感じ。
やってること自体は強いが、6マナのカード故土地破壊がハマるかは微妙なところ。Ⅲ章の存在もあり、自分のマナ加速を絡めて早く着地させるほどにリターンが大きい。ただしマナクリによる加速だとⅢ章の恩恵が薄くなるなど意外と気難しい。
既存のランプに入ったりするかは微妙な感じか?


《情け無用のケイヤ》

名前の割にストーリーでは情けの塊みたいになってきたケイヤさん。
ゲートウォッチ入りして以降出番も増え、これで通算4枚目。
今回は5マナの初期忠誠度5。

+1能力は自軍生物1体に「幽体カウンター」を起き、死亡・追放時に1/1飛行のスピリットを残して手札に戻す能力を与える。除去への先起き保険、といった感じでラスゴや追放除去問わず強くなる。ヨーリオンとの相性はあまりよくない。

-3能力は土地でないパーマネント1枚を追放。《完全なる終わり》。
除去としてカウントするには十分。置物にも触れるのが優秀。

-7能力は自ターンアップキープに伝説の呪文を墓地・追放領域からタダで唱えられる紋章。奥義の割に他にもレジェンダリを要求するのは難点だが、最低でも自身を使いまわせるので一応の自己完結はしている。墓地対策されても関係ないのも利点。

+1能力の都合上、ある程度クリーチャーでの攻勢をしかけるタイプのミッドレンジ寄りなデッキで真価を発揮しそうなPW。
白黒というと最近はもっぱら《予言された壊滅》デッキばかりだったが新しい風は吹くのか。


《ニコ・アリス》

こちらも新キャラ、青白のPWニコ。
アモンケットのニッサ以来、久々のマナコストにXを含むPW。

素のキャストは3マナだが、CIPでXに等しい「破片」というエンチャントトークンを生み出す。破片トークンは2マナで占術1→1ドローを行う手がかりの親戚。

+1能力は自軍生物1体をアンブロッカブル化し、ダメージが通るとそいつを手札に戻す。
殴るクリーチャーを用意する必要がある上に何故か手札に戻すので使いにくい。
両面カードを使いまわせとかそういう意味なのかもしれないが流石に。

-1能力はタップ状態のクリーチャーにXダメージ。Xはこのターンにカードを引いた枚数。
破片トークンはドローするのにマナがかかる上、1ドローでしかないのでXは大きくなりにくく除去としては不安定。使いにくい。

-1能力はもう一つあり、こちらでも破片トークンを生成できる。
エンチャントを手軽に用意できるので一部テーロスのカードとはシナジーが見込めなくはないがやはり即座に盤面に影響を与えないので使いにくい。

総じて使いにくい。


《嘘の神、ヴァルキー》/《星界の騙し屋、ティボルト》

まさかのロキ枠にして実は神だったティボルト。どういうオチだよ。

表面は2/2/1、《催眠の悪鬼》に通ずる相手手札へのナイトメア能力を持つ限定的なハンデスクリーチャー。ただし対象は生物限定。
そして追放領域の生物に化けることのできる、ラザーヴと同じようなコスト依存の変身能力をもっている。
低コスト高パワーなクリーチャーに化けられると当然バケモンなので、やはり狙い目は《死の飢えのタイタン、クロクサ》だろう。相手の手札からは抜ければもちろん最高だが、墓地対策で抜いたり脱出の糧になったところを狙えるのもいい。

裏面は赤黒7マナ、初期忠誠度5のPW。

まず戦場に出た時点で紋章が手に入るという他に類をみない能力を持っている。
紋章の内容はティボルトが追放したカードを任意の色マナ支払い扱いで唱えられるというもの。土地もプレイできる。
起動型能力3種もそれに由来するものになっている。


+1能力はお互いのライブラリトップの追放。盤面には影響しないが、紋章のおかげでそのままアドバンテージに繋げられる。紋章のおかげで、ティボルトがいなくなった後でも自分のカードとして使用できる。

-3能力はクリーチャーorアーティファクトの追放。両面の神をどちらの面でも対処できるというデザイン。もちろんこれで除去したカードも自分のカードとして使用できる。

-8能力は墓地を全て追放。上記2つ能力よりもさらに多くのカードを追放できるので大きなアドバンテージが見込める。奥義で忠誠度を使い切ったティボルト自身も状況起因処理で墓地に行った後で追放されるので、奥義直後に自身を戦場に戻すことも可能。

表面のヴァルキーはフィニッシュ級の生物を前方確認しつつ奪うことができ、ティボルトは重いものの一度着地すればカードを奪い続けられるなど総じてロングゲームデッキキラーとしての性質が強そうに感じる1枚。
クリーチャーデッキ相手では手札を奪いやすくても本体が貧弱で除去されやすいため変身する間もなく殺される可能性が高そうだ。
個人的な評価は面白そうだが保留程度のレベル。



以上。両面カード多かったんでめっちゃ長くなっちゃった。
こうしている間にも結構いいカードのプレビューが来ていたので結構期待できそうなカルドハイム。

コロナに負けじとMTG頑張っていきましょう。
ではまた次回、どこかの配信でお会いしましょう。


2020年8月3日 禁止制限告知

告知日:2020年8月3日

スタンダード
《荒野の再生》禁止
《成長のらせん》禁止
《時を解す者、テフェリー》禁止
《大釜の使い魔》禁止

引用:https://mtg-jp.com/reading/publicity/0034244/




スタンダードから一挙4枚禁止。
改訂そのものには個人的に別にお気持ちも何もあったもんじゃないんで、特に言うことはないです。
強いて言うなら「今後は予告なしに禁止改訂する」とかいう話なんでそこは不安ですが。


んで、今回は早速今朝からはじまってしまったスタンダード・ニューワールドについて話していきたいと思います。
こういうの鮮度が命なんで。

○消滅・弱体化するデッキについて

①荒野の再生

コンボパーツの根幹を失い、「ティムール再生」はアーキタイプとして完全に消滅しました。
キルターンの遅いデッキ全般の存在を半ば否定してきた存在なので、今後はミッドレンジ以降のゲームレンジにも光があたるでしょうか。


②成長のらせん

「スタンダードにおける2T目最強のアクション」であることは疑いない、最高峰のマナ加速が禁止。
マナ加速という面だけで見るならば、《樹上の草食獣》《耕作》《真面目な身代わり》とマナ域の違う加速枠はあるのでランプデッキであれば枠の代替自体は可能ですが、「2マナ」「カードを引きつつ墓地カウントを増やせる(ウーロの脱出に貢献)」「インスタント」と独自性の強いカードだったので当然見劣りはするでしょう。

「ティムール再生」が消滅した以上、このカードの禁止で「影響を受ける」で絞り込むならバント・スゥルタイら各青緑Xランプが該当します。
先程述べた通りマナ加速カード自体はカードパワー的に劣るものの選択肢があるので、マナランプデッキの構築そのものはまだ可能です。今後それがトップメタまで残るどうかはさておき。


③時を解す者、テフェリー


色さえ合えば4枚、色あってなくても無理やりタッチして4枚みたいなもはや無茶苦茶な採用のされかたで「ティムール再生」への安全弁として機能してきたハゲ。
ただ、全盛期(?)と比べると採用されていたデッキの種類自体はTier上位に多いわけで有りませんでした。
改訂後に影響を受けるのは「バントランプ」「青白コントロール」あたり。
先に述べた4C再生はそのまま消滅するので除外。

環境的に見れば《吸収》《悪意ある妨害》を始めとする、所謂《取り消し》の亜種系列の確定カウンターのバリューを大きく引き下げていた張本人なので、禁止を受けてまずはそういったやや重めで受け身なインスタントスペルの価値が向上することが予想されます。

また、マナコスト4以上のETB・速攻を持たない生物やアーティファクト・エンチャントもバウンスされにくくなったことで陽の目があたるかもしれません。
ガーガロス先生ッ!!!


④大釜の使い魔

所謂「猫かまど」と呼ばれる、ラクドス・ジャンドカラーのサクリファイスデッキにおけるシナジーの起点。
盤面を循環できるシステムを失い、サクリファイスデッキは事実上構築不可能になりました。南無。
専用カード故に現状代替も不可能。


以上まとめますと

消滅:「ティムール再生とその亜種」「ラクドス・ジャンドサクリファイス」
弱体化:「青緑Xランプ」「青白系コントロール」


となり、まあぶっちゃけメタゲーム白紙っすね。わーお。


○今後の展望

今後、というか即日禁止改訂発効される関係で早速オンライン大会で新環境の結果が出始めているわけですが。
注目のデッキについていくつかピックアップして終わりにしておきたいと思います。


・ティムールアドベンチャー

「コンボに弱い」という理由でイコリア環境以後全く鳴かず飛ばずだったデッキですが、結局コンボデッキが軒並み禁止食らったために相対的にポジションアップが予想されるデッキ。
地味にタフ1クリーチャーも多かったことから《波乱の悪魔》擁するサクリファイス系デッキも苦手していたので、その点でも禁止改訂は追い風。

クリーチャーの質に優れ、出来事カードや《幸運のクローバー》によるアドバンテージ確保の面からアグロ・コントロールデッキの双方に強く、フェアデッキ相手には無類の強さを誇ります。禁止改訂の影響をほぼほぼ受けていないデッキの代表格なので、今後は人気が出るでしょう。


・赤単アグロ 

1マナ域からの高速展開を《鍛冶に鍛えられしアナックス》と《エンバレスの宝剣》でケア&サポートする単色アグロの代表格。
単純なアグロ戦略としては現状のTier上位陣が去ったあとで考えるなら最高峰クラスなので引き続き人気となるでしょう。
《エンバレスの宝剣》に関しては、地味にテフェリーに縛られていたカードなのでその点でも追い風。


・シミックフラッシュ

ティムール再生のサイドプランとしても有名だった《夜群れの伏兵》を中心にしたクロックパーミッション。
言うまでもなくテフェリーに苦しめられてきたアーキタイプであり、その禁止は朗報。打ち消しを躱しやすい低コストカードで盤面を構築するサクリファイスデッキも苦手だったのでその点でもポジションアップが見込まれます。

ランプデッキの大振りなアクションをカウンターで咎めやすくなった上、《エリマキ神秘家》や《巻き直し》等こちらも大振りなカウンターを使いやすくなったのでカードの選択肢も大きく広がりました。

赤単筆頭にアグロデッキは相変わらず苦手ですし、こちらもキラーカードとして名高い《サメ台風》のサイクリングも厄介。
基本的には尖り気味で相性差の激しいデッキなので、どちらかというともう少しメタが進んでからが本番か?


こんなとこですかね?
勿論《自然の怒りのタイタン、ウーロ》等の青緑系パワーカードは相変わらず健在ですし、マナ加速先の選択肢もニッサ・ウギン・戦争の犠牲その他諸々あるのでランプデッキの大きな凋落、という感じはあまり受けません。
新セットが出るまで約2ヶ月、激動のスタンダード楽しんでいきましょう。
ではまた次回。
M21のリリースから1週間以上が経過しましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先月が全く勝てなかったので正直不安を抱えたまま7月シーズン始まったのですが、心配とは裏腹に意外と今月はラダーの走り込みが効率よく終わり先日無事ミシック到達。

夏休みの宿題終わって余裕もできたことですしざっくりさっくり、M21環境の掴みについてかるーくまとめておきたいかなと思います。主に自分が走り込んでる中でよく当たったアーキ中心で。


●メタゲームの様相について

残念ながら、というべきかわかりませんが現状イコリア環境⇛M21環境に至ってから新しいアーキタイプの目覚ましいブレイクスルーは発見されていないように思います。

体感ですがやはり前環境とほぼほぼ同様に「ティムール再生」がトップメタという前提条件に対して、「バントランプ」と「スゥルタイランプ」が対抗馬、アグロ勢力として「黒単」・「赤単」・「緑単」、更に「ジャンドサクリファイス」・「ラクドスサクリファイス」が追従していけるかといったところでしょうか。

では以下、それぞれのデッキについて所感を少しだけ。


○ティムール再生

禁止改訂による「ルーカファイアーズ」の退場以降、IKO環境不動の王者。
M21から得た戦力は概して多くありませんが、他アーキタイプにも大きなテコ入れが現状見られていないのでその点イーブンといったところ。

お試しというか、キャントリップの枠に《大慌ての棚卸し》を採用したり、実績抜群の《漁る軟泥》が採用されていたりする試験的なパターンもありますが基本骨子は変わりません。今後も環境定義の第一線を張り続けることになるでしょう。

ゲームスピードの遅いデッキに対して強いデッキの性質上、ランプデッキやジャンドサクリファイス等への相性は基本的に良いです。
その分《時を解す者、テフェリー》や《覆いを割く者、ナーセット》等キラーカードとなるPWは多く、アグロデッキからも睨まれているわけですがそれでも各種オンラインの大会で上位に名を連ね続けている現状推して図るべし。
「ティムール再生に勝てるか?」はデッキ選択の上で常に意識していきたいところですね。


○バントランプ

現状変わらずの2番手といったところ、青緑Xランプ双璧の一つ。
スゥルタイと比べての優位点は先にも述べたテフェリーとナーセットを同時採用できる点。
また、対アグロでも無難過ぎる解答として《空の粉砕》も搭載できるなど幅広い受けを作れています。

前環境から変わりませんが、ランプデッキの共通項としてクロックが早いわけではないのでティムール再生とのマッチアップではこの点が足を引っ張り、PWを着地させてコンボを封殺にかかっても、《荒野の再生》を通しておいて《サメ台風》や《厚かましい借り手》から切り替えされるパターンもあり完全無欠とまではいきません。

最近ではティムール再生やランプミラーなどインスタントスピードが重視されるマッチアップでのサイドプランとして、《夜群れの伏兵》を採用するプランが流行している模様。

M21のカードから採用が目立つのは《ムウォンヴォーリーの世捨て人、ジョルレイル》と《精霊龍、ウギン》の2枚。

ジョルレイルはテフェリー・らせん・ウーロ・ハイドロイドとカードを引きながらの行動が多いので噛み合いやすい横並びクロック要員。評価はまだ定まってない印象ですが、《時の支配者、テフェリー》も同時採用してシナジー方面へ寄せるレシピもあるので、それだけの価値あるカードのようですね。

ウギンについてはいうことなし、過去のスタン同様非常に高い制圧力を持つPWです。ただ、こちらはバントランプでの採用率は意外と高くない印象。理由として考えられるのはテフェリーら3マナPW群を筆頭に、割合パーマネントを並べるのでウギンの-X能力との相性がよくないためでしょうか。先に述べたジョルレイルも相性よくないですね。

次に述べるスゥルタイもそうなんですが、採用候補となりうるカードが多すぎて60枚として収めるのがマナベースの時点から既に難しいのが青緑Xランプ。
今後も流行り廃りは出るでしょうがメタゲームには食い込み続けるでしょう。


○スゥルタイランプ

青緑ランプの双璧・・・ではありますがメタゲーム支配率的にはバントの後塵を拝するイメージが強いスゥルタイ。
バントランプとの最大の差異は《戦争の犠牲》を採用できる点。
《世界を揺るがす者、ニッサ》への強烈なアンチカードでありランプミラー、特に《エルズペス、死に打ち勝つ》を擁するバントランプに対する大きなアドバンテージとなります。

除去色の黒ではあるものの対アグロに対する解答、もといラスゴの選択肢については《肉儀場の叫び》、《煤の儀式》、《絶滅の契機》とどれも一癖あるため白のラスゴと比してやや汎用性に欠けています。アグロが決して得意、というわけではありません。
また白抜きで3マナのテフェリーを採用できずティムール再生へのガードがバントに比べて下がる都合、アンチ再生への定番カードとして《思考のひずみ》がサイドに搭載されることが非常に多いです。

総じてバントよりやや尖ってしまうものの、メイン・サイド共にカード単位でクリティカルなカードを用意しうるデッキ、なイメージでしょうか。「このデッキにはA、あのデッキにはB」な感じなのである種ピーキーともいえます。

M21のカードで見た場合には、バントと比べこちらはジョルレイルよりもウギンのほうが採用率が高い印象が強いです。テフェリーがいない分キャントリップの枠が少なくなっていてジョルレイルとのシナジーが薄まり、その分バントよりもウギンの-X能力で巻き込むパーマネントの種類も少なめです。どっちがどっち、と一概に比較できるわけではないのですが。


○黒単アグロ

個人的には現状単色アグロデッキの中で頭一つ抜けているといっていいと思われるデッキ。Cygames所属の覚前選手がシーズン初日早々にミシックランク到達したデッキとして大きく話題になっています。

黒単アグロ自体は、前環境からぽつぽつと見かけていた程度のデッキパワーなイメージが拭いきれませんでしたがM21のカードから《悪魔の抱擁》が加わって一気に覚醒、痒いところどころか肝心なところに手が届いていなかった除去の面でも《取り除き》《闇の掌握》と一気に充実した感があります。

アグロデッキながら《朽ちゆくレギサウルス》《騒乱の落とし子》《悪ふざけの名人、ランクル》等骨太なクロックが魅力的。いままでは全体除去での疲弊が大きく、息切れした後ウーロやハイドロイド相手に立ち往生するシーンが多かったのですが《悪魔の抱擁》で強引な突破が可能となっています。

基本的な動き自体は単純でプレイ方針も明確なので、ラダーで走り込むデッキに迷っている方にはとりあえずおすすめできると思います。


○緑単アグロ

黒単とは逆に、あまりいい印象を持てていないのがこちら。
確かに《探索する獣》《水晶壊し》等コスパに優れた生物や、M21からも《ガラクの先触れ》《漁る軟泥》とカード単位では光る強化はそこそこもらっているのですが緑単で組むことによって得られる恩恵が薄いのが主な要因。
緑単にすることによって採用できるカードも《アーク弓のレインジャー、ビビアン》くらいしかバリューが高いカードがなく、緑の特殊地形である《ギャレンブリグ城》も高マナ域へのアクセスカードなのでアグロ的なデッキ性質には噛み合いません。

黒単と比べて息切れ防止策にも乏しく、ハンデスもアド源もないので相手リソースへの攻撃も対抗もできず、横並びデッキの割にラスへの対策も《英雄的介入》程度がせいぜいなためデッキ全体としてのマイナス評価が拭えません。ラダーではそこそこマッチアップしましたが、基本高い水準の「ブン回り」が要求されているようなピーキー感否めず。徐々に淘汰されていくかなと思っています。


○赤単

エルドレインとテーロスでの大幅強化以来、今までと何ら変わらないただ一つのアグロ。デッキパワーは既に長らく証明済みという感じで、特に大きなレシピの変化こそないものの今まで通りの構成でちらほらとトーナメント上位に食い込んできている、ようです。

ただ黒単と比してみると、本体火力弱体化キャンペーンの一途を辿るカードプールの逆風を受け爆発力はあれどアグロにほしい「あとひと押し」が足りない印象が拭えない感じ。

弱いわけではないんですが迫力不足?くらいの感触。ラダーでもめっきりあたらなくなりました、BO1とかでは相変わらず人気みたいですが。




ラダーでよくあたったのはこの辺ですかね。
サクリファイス系とか青白・青黒コントロール系も紹介しようかなとちょろっと思ったんですけどメタ情勢的にどっちも厳しそうな感があるのでやめときます。

ティムール再生VS青緑ランプ >>単色アグロ

的な勢力図なわけですかね、今んとこは。まあM21シーズンも始まったばかりですし、今週末には大型オンライン大会「Red Bull Untapped」も開催されてメタの全体像が見えてくると思ってます。
とりあえず言語化できそうな時にしとけということで。

ではまた次回。
次こそテーブルトップでお会いしたいところですけど。
「魔法のような時間を過ごそう/It’s Magic Time」

基本セット2021は6/25にオンラインリリース、紙での発売は7/3!
今すぐ予約だ!



はい、いつもの販促・いつもの雑感いきまーす。
いつもどーりスタン目線、レア・神話レア中心・・・だけど今回は結構アンコとか再録枠についても触れたり?
まあてきとーに。


・《悪斬の天使》

アックザーン。おかえり。5/5/5飛行・先制攻撃・絆魂にプロテクションデーモン・ドラゴン。平成を代表する大型天使の再録。
・・・なのはいいんだが、パワーインフレ加速するこの令和の時代にふさわしい戦闘力を備えているかと言われると些か不安が残るところ。ドミナリアでの《黎明をもたらすもの、ライラ》はなんだかんだ青白コンの対アグロ用サイドだったりに居場所があったのでそういうポジションに落ち着きそうだ。

そもそも悪斬のような大型ライフリンククリーチャーが得意とするアグロ的なゲームレンジがあまり日の目をみていない現状、かつてのような活躍を期待するという方が無理な話か?

とはいえアグロ殺しなことは間違いない、白を含むミッドレンジ以降のデッキでは変わらずサイド候補となるだろう。競合候補は《太陽の恵みの執政官》あたり、仮想敵はグルールアグロや赤単、ラクドスサクリファイスといったところか。環境の動きに期待しよう。


・《バリス・テト》

今回の新顔、白単色のPW、バリス。
3マナで初期忠誠度は3。

+1能力は自軍生物1体への+1/+1カウンターの配置、ターン終了時まで破壊不能も付与。小型の《不敗の陣形》といったところ。あちらと同じくソーサリーでの破壊不能付与なのでインスタント除去には弱く、この点単体強化故にあちらよりも顕著。基本的には戦闘での優位のみを重視した能力。

-2能力はこのターンの自軍攻撃時、攻撃クリーチャーの数だけ1/1の兵士トークンを攻撃状態で呼び出すトークン生成能力。理論上は起動するたび倍々ゲームになっていくが、マイナス能力なため連打は効かない。アンセムやロード等全体強化を絡めると爆発的に火力が上がるのでそこらへんのシナジーが必須になるか。

-6能力は「戦闘開始時に1/1の兵士トークン生成、その後自軍生物全員に+1/+1カウンター配置」の紋章付与。よくあるトークン無限生成奥義。流石に普通に勝てるし、その割には登場から最速3Tで奥義可能なのでプレッシャーはある方。

+1、-2能力双方で味方クリーチャーを要求するわかりやすい白ウィニー向けのPW。基本的には「並べて殴る」を地で行くPWで、性質的にはWARの《黒き剣のギデオン》に近い。あちらと違い自身が打点にならない分、勝てる奥義があるといった塩梅。
しかしそのギデオン共々、能力が単調で採用できるアーキタイプが狭い。活躍できるかは白ウニ系のデッキがどこまでメタ上位にくるかどうか次第といったところ。


・《天使への昇天》

2マナの除去インスタント。対象の生物orPWを追放し、コントローラーに4/4飛行の天使トークンを与える。白によくある「何らかの代償つき追放除去」だが、デメリットが重すぎて《過大な贈り物》クラスに普通のデッキでは使いにくくなっている。

どんなクリーチャーやPWも一発で追放できるのは結構だが、代わりに出てくるのがセラ天クラスのフライヤーとなると流石に令和のMTGといっても限度がある。《時を解す者、テフェリー》などのバウンスと併用するなどしてデメリットを緩和する必要があるが、そこまでお膳立てするくらいなら多少重くても最初から確定除去を使ったほうがいいだろう。

除去の薄いカラーリングで、4/4飛行を無視できるほど程にビートと軸のずれたデッキが成立すればあるいは・・・?


・《時の支配者、テフェリー》

青のPWはここ数年ですっかり悪名ばかりが先行したハゲことテフェリー。
今回は青単色、4マナの初期忠誠度3。

まず大前提として、こちらもすっかりWAR以来の悪しき慣習と化した常在型能力持ち。今回は「相手ターン中、忠誠度能力をインスタントタイミングで起動可能」というもの。かなり限定的だが、初代PWのテフェリー《時間の大魔道士、テフェリー》の奥義を内蔵しているような形。一応言っておくと勿論相手ターンに起動できるといっても1ターンに1度のみ。

+1能力は単純なルーター。引いて捨てるだけ。昨今PWのルーターでは珍しく任意の書式でないため、起動すれば必ず引いて捨てなければならず「忠誠度を上げるだけ」ができない。《覆いを割く者、ナーセット》相手にハマってしまう可能性に注意。

-3能力は歴戦のMTGおじ達でも困惑する再録処理、「フェイズアウト」。色々悪さすることを警戒したか、対象は敵軍生物限定。(悪用を危惧するなら普通にバウンスかブリンクでよかったのでは・・・?)
忠誠度の消費が大きいので乱発ができないものの、自衛に貢献する能力。

-10能力は追加ターン2回。《時間の伸長》。単体で勝つことはできないものの派手。もっとも、-10を起動できるまでカードを引き続けていたならエクトラターン2回で勝てないとはも思えんが。

相手ターンでも能力が起動できることから、実質毎ターン忠誠度を2つ上げながらデッキを2枚掘れるので見た目よりは硬そうなPW。ただし、フェイズアウトは限定的すぎて除去としてカウントしていいかどうか疑わしい部分があるため、盤面に触るカードは別途必要になるだろう。

PW単体としては盤面に与えるプレッシャーが低く、アドバンテージを稼ぐこともできないため個人的な評価は低め。デッキを高速で掘り下げ、申し訳程度の自衛ができることから、ルーターでパーツを探しにいくドロー主体のコンボ向け。ルーターできればできるほどに嬉しい「イゼットフェニックス」あたりが適所か?


・《大慌ての棚卸し》

単体ではただのキャントリップだが、自身の墓地にある同名カードの枚数分引くカードが増えていく。相手の墓地を参照しない《蓄積した知識》で、名実共に通り《棚卸し》のインスタント版。

その仕様上長期戦、あるいはルーターを繰り返すデッキで真価を発揮する。
しかし意外にも今期スタンはキャントリップ枠が青単色のインスタントタイミングに限っても1マナの《選択》、コントロール向けなら《海の神のお告げ》、コンボ用にも《急進思想》と充実しておりそこに切り込んでいけるかは注目か。


・《Sublime Epiphany》

レアのインスタント。日本語訳するなら「荘厳な悟り」とかそんなん。
6マナと重量級でなんと5つのモードを持ち、しかもそれぞれを任意の組み合わせで使うことができる。モードは以下の通り。

①呪文の打ち消し(対抗呪文)
②起動型・誘発型能力の打ち消し(もみ消し)
③非土地パーマネントのバウンス(分散)
④自軍生物のコピートークン生成(複製の儀式)
⑤1ドロー


マローからの予告にあった、「31通りの組み合わせでキャストできる」呪文。青のインスタントで行える大概のことが可能で、見た目の派手さはすごい。

ただ、こんだけゴテゴテつけられて挙げ句に呪文が重くなってしまうと逆に使いにくい。6マナ払えば大体の場合即座にゲームに勝てるカードが出てくる現代、このマナ域のリアクションスペルそのものの価値が低いというのが正直な所。
あまつさえスペルの打ち消しの①と能力の打ち消しの②が重複する意味が薄く、そこピンポイントになる《ハイドロイド混成体》や《サメ台風》を睨むにしてすら、3マナ軽く《旋風のごとき否定》が存在しており器用貧乏ここに極まるといった感じ。流石に6マナ払うなら2ドローはさせてほしかったな。

価値を見出すとすればインスタントタイミングで(自軍生物限定だが)《クローン》を出せることだろう。ある程度マナが伸び、クリーチャーもある程度出していけるデッキなら6マナでクリコマ版《エリマキ神秘家》みたいな感覚で使用できないこともない、かもしれない。除去されそうになったクリーチャーを手札に戻しつつ、コピーをだすことでそれを維持するなんて芸当も可能?(ルール的にどうかはリリースノート待ち)

結局のところ重さが足を引っ張るのはどうしようもない。夢はあるが。



・《死者を目覚めさせる者、リリアナ》


こいついつも死者目覚めさせてんな。
通算11枚目となるリリアナ。今回は4マナ初期忠誠度4。

+1能力は《ヴェールのリリアナ》と同じく相互ハンデス。-能力2種への布石にもなっている。流石にヴェリアナも令和の時代に合わせアップデートされたらしく、相手がカードを捨てられなければ3点ライフルーズのおまけ付き。勿論自分は捨てられなくてもダメージはない、優しい。

-2能力はマイナス修整による単体除去。修整値は自分の墓地の枚数依存。
このコスト帯の除去としてカウントするなら-4/-4修整くらいはほしいので、そこそこカードの消費の荒いデッキ向け、あるいは墓地肥やしの併用が必要か。とはいえそこまで気合い入れて墓地を肥やさなくても小型を潰したり戦闘絡めるなら充分使いやすい部類、特殊なシナジーを要さない程度の汎用性はある。ただし自分が脱出を使う場合は相性が良くない点に注意。

-7は戦闘開始の度にいずれかの墓地から生物を釣り上げて速攻付与する紋章。毎ターン《蘇生の絆》が誘発するようなもので、勿論勝利に直結する強力な奥義。

総じて、実は今まで微妙に空席だった殴り気のあるミッドレンジ系の黒いデッキ用PWといった感じ。単体でアドバンテージを稼げないのはやや気にかかるが、そのテのデッキが成立すればおよびはかかるだろう。
ただし、絶賛活躍中の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》との相性は最悪に近い。ハンドを攻めてもライフを攻めても墓地から戻ってきてそれをリカバリーする天敵。青緑つよすぎんよー。


・《Kaervek, the Spiteful》

久々登場、ケアヴェク先生。今回は黒単色の4マナ。日本語訳は・・・なんだ?《悪意のケアヴェク》とかか?

4/3/2と平均的スタッツを持つが、《魂の裏切りの夜》を内蔵しているタフ1自動殲滅装置。自身はマイナス修整を受けない。
タフ1を並べて殴る赤単やトークンデッキが軒並み封殺されるアグロ殺し。
同じような性能を持つ《虐殺少女》と比べ、1マナ軽く後続も封じられるのが強み。ただスタッツは《ショック》圏内のため場持ちは悪く、戦闘向けキーワードも持たず自軍生物も弱体化されるためパンチ力で劣る。

虐殺少女より1マナ軽いのは明確に大きく、《成長のらせん》からきれいにつながるのでスゥルタイランプなどでは枠を譲り合うことも検討できるか。


・《炎の心、チャンドラ》

12枚目のチャンドラ。多いよ。
今回は5マナの初期忠誠度5。2つの+1能力を持つPW。

1つ目の+1は衝動的ドロー。手札をすべて捨てて、ライブラリトップ3枚を追放しこのターンのプレイ権を得る。「プレイ」なので今回は土地もセット可能。
事実上3ドローではあるが、流石に毎ターン手札を捨てる以上能動的なデッキでの用途に限定される。手札使いの荒いデッキで使用すべきだろう。
毎ターン使い切っていれば勿論圧倒的なアドバンテージ。

2つ目の+1は《ショック》そのもの。エニーターゲット2点火力。これを+しながら放てるのが強力。自身が元々固めなので、自衛しながら忠誠度を上げていく恐ろしさは同パック再録の《精霊龍、ウギン》が証明ずみ。

唯一のマイナス能力、-9は墓地とライブラリーから任意の枚数赤のインスタント・ソーサリーを追放しそのターンそれらのプレイ権を得る奥義。ただ、プレイ権を得るだけでマナは必要になるため、赤マナ6点がついてくる。

個々の能力は強力だが、重さと奥義とゲームレンジの噛み合うデッキがどれかと言われるとちょっとむずかしい。
赤単では5マナが重く、グルールでは奥義が噛み合いにくく既に同マナ域に《怪物の代言者、ビビアン》がいる。鈍足のコントロールでは手札を保持できないので火力装置としての運用になりがち・・・と、すべての能力を十全には活かしにくい印象。この忠誠度の高さから毎ターンショック飛ばしまくる事自体は強いはずなので、どこに席を見つけるか注目しよう。


・《冠滅ぼしのガドラク》

3/5/4飛行と驚異のスタッツを持つドラゴン。
当然攻撃参加には条件付きで、アーティファクト4つ以上のコントロールが必要。現代のクリーチャーなので、ブロックはいつでもできる。なぜだ。
自身の終了ステップにこのターン死亡した生物の数だけ宝物トークンを生成する。

パッと考えつくのはやはり《魔女のかまど》擁するサクリファイス系での採用。
食物トークンの生成や《大窯の使い魔》の循環との相性は抜群に見える。
ただし、「自分終了ステップ」の都合お決まりのひとつである「相手エンドに猫ぐーるぐる」では宝物が増えない。3マナ域はサクリファイスデッキでも激戦区なのでそこに割って入れるかどうか。


・《雷光の猟犬》

3/2/2速攻、今回の推し部族の犬にしてエレメンタル。
攻撃時に他の攻撃クリーチャーへ+1/+0修整、つまり喚声を持つウィニー。
純粋に「並べて殴る」を強力にサポートできる優良生物。
部族にも恵まれておりアンコモンながら個人的に印象深い強力な1枚。

現行スタンにおける竹槍アグロの看板《災厄の行進》と比べ1マナ重いが、自身も速攻で打点貢献する上にあちらと併用も可能で爆発力がある。
3マナ圏はチャンドラやフェニックス・アナックスと激戦区だが・・・?


・《解き放たれた者、ガラク》

通算7枚目、久々の単色ガラク。
今回は4マナで初期忠誠度4。

+1で対象生物に+3/+3修整とトランプル付与。《捕食者の一撃》。
力こそパワー。無論自軍生物を用意する必要がある。クロックを単純に早めるので優勢時に輝く能力。

-2でいつもの3/3ビーストトークン生成。しかし、相手より生物が少ない場合はガラクの忠誠度が1回復し実質-1能力となる。省エネかつ優秀。劣勢時に3/3が頼りになるサイズかどうかは相手次第だが・・・。

-7で毎ターン終了時にライブラリから生物をノーコストでリクルートする紋章付与。豪快でワイルド。勿論勝てる奥義だが、実はシミックカラーだとウーロやハイドロイドなど意外とリクルートとの相性が良くない生物もいる。既存のランプとは意外とマッチしないかもしれない。

総じて純粋なビートダウン向けの能力を持ったPW。
素直にグルールあたりが居場所になるか、あるいは変容デッキにビビアンと併せて組み込んで変容の種とするか。直線的なPWなんでデッキは想像しやすい部類ですね、使われるかはわかりませんけど。

単体で考えると、基本「-能力を使用してから+していくPW」になるのでそこが個人的にはちょいネック。そのタイプのPW、あんまりアタリだったことがない印象が強いもので。実際に活躍できるかは君の目で確かめろ!!!


・《長老ガーガロス》

5/6/6、警戒・到達・トランプル。
《探索する獣》に連なるキーワード盛り盛りの神話生物。
加えて、攻撃ブロック時に能力が誘発し「3点ゲイン」・「3/3トークン」・「1枚ドロー」から選べるという欲張りセット。
なんか「もう盛れるだけ盛っとけどうせ速攻ないんやし」みたいなある種の「切れ」を感じるクリーチャーインフレの最先端。このスペックで伝説でもないあたりがもう。

さて、巷でさんざんいわれてるように「出たターンなんもしなけりゃ実質バニラ」は実際間違ってはいない。テフェリーペス勝つ借り手霊気の疾風と低マナ域~高マナ域に至るまでこいつを触る手段が溢れかえっている。特にペス勝つと同マナ域なのは大きなマイナスポイント。

ただもう白・黒の除去に弱いのはいつもの緑の弱点と割り切るべきで、むしろ赤単やサクリファイスのような確定除去に乏しい色・デッキへの究極のキラーカードとして見たほうが無難か。警戒トランプルで攻防にスキがなくゲインで延命、トークンで横に広がりターンを重ねるごとに無茶苦茶するはず。勿論悪斬理論で除去されるの前提に4枚積みするのもアリ、探索する獣からこれを両方処理しろ!と迫るのも緑ぽくていい。

正直ここまで下馬評が悪いとむしろ活躍してるところがみたくなってきたよね。


・《胞子網の織り手》

現代マジックにおける優良部族の一つ、蜘蛛のレア枠。
3/1/4到達といつものボディに加え、青からの呪禁。
そして、ダメージをもらうたびに苗木トークンを生成し1点のゲイン。

青からの呪禁の割に、性能は地上も空中もがっちりガードなアグロ殺し。勿論出さえすれば霊気の疾風やテフェリーでのバウンスが効かないのは優秀なのであって損はない。
おそらく青単や青白飛行のような小粒アーキタイプへのアンチカードとしてのデザインだろうが、普通に緑のミッドレンジならサイドに置いておきたい性能。とりあえずこいつは押さえておきたいカードかな。



・《精霊龍、ウギン》

なぜ再録した・・・(絶望)
ご存知8マナからこんにちわ、ミッドレンジからアグロまで-X能力で粉砕する無色のマナカ―ブ頂点にして最強クラスの1枚。

既にタルキール期スタンを経験した人ならおわかりであろうが、-X能力で一掃した後+能力で後続を忠誠度を上げながら対応していくという驚異的な自衛能力を持つPW。無色のパーマネントにこそ弱いが、その蓋能力を圧倒的でかつ無色なために搭載するデッキの色を選ばないとんでもないPW。

ランプでこれを高速で呼び出すもよし、コントロールでゆったりこれを呼び出すもよし。次環境の目玉になると思います、泣く泣く買います。



PTFもありますし、ぼちぼちスタンも盛り上がるといいですね。
今回はこんなとこで。
ではまた次回。
皆さんこんにちわ。
張り切ってケルーガファイアーズの記事を書いたら割と好評だったので「うひょーwww」と調子に乗ってたんですけど、5月入って3日と経たずに最強のデッキことルーカファイアーズの登場・定着でケルーガはオワコン化、賞味期限短すぎて白目剥いてるジェスカイサカイです。1週間で変わるメタに対して、今時化石みたいなサイトでアナクロに文章打ち込んでるような俺はこのセカイのスピードについていけるのか。

さて、先日はアリーナMCQにレッドブルトーナメントと大型の大会が複数開催されオンラインで非常に盛り上がるスタンダードとなりました。
僕もご多分に漏れず、日曜日は配信にかじりついたりアーカイブ漁ったり海外の放送を必死に英語調べながら曖昧に把握したりと、アリーナを片手間にあれこれ追っかけをやってました。

特にレッドブルの決勝ラウンドは見応えのある試合ばかりで、僕のスタンダードへのモチベもギュインギュインのズドドドド。深夜に変に目が冴えてしまいこうやって筆を進めてしまっている次第。

今回はそんな激動するスタンダードの現行主要デッキについて、Tier上位デッキの今大会でのレシピ交えて解説しつつ、その他活躍したデッキについても少しばかり触れていく感じの記事です。
くだらない前置きが長くなっちまいましたが、以下本題です。本題も長いですが。んじゃれでぃごー。

【メタゲームブレイクダウン】

早速レッドブルにおけるメタゲームブレイクダウンから見ていきましょう。
今回は使用率上位4デッキについてピックアップします。
エントリー者は4661人となっていますが、実際に参加したのは2000人弱とのこと。それでも十分に数字としては参考にたりうる数字でしょう。

初日突破条件は6-1-1以上。突破者は128名。

引用元:https://mtgazone.com/red-bull-untapped-international-qualifier-1/


※()内は2日目におけるメタゲーム支配率を示す

・使用率1位:ルーカファイアーズ
1日目:464名⇛2日目:48名(37.5%)

・使用率2位:ボロスサイクリング
1日目:242名⇛2日目:17名(13.3%)

・使用率3位:ティムール再生
1日目:205名⇛2日目:16名(12.5%)

・使用率4位:赤単オボシュ
1日目:117名⇛2日目:14名(10.9%)


メタゲームを俯瞰して感じたのは以下2点。
それぞれについてデッキ解説の中で詳しく触れたいと思います。

・現在の「最強デッキ」は「ルーカファイアーズ」という共通認識が形成済み。使用者数トップに加え、2位以下の使用率にはルーカファイアーズに強いデッキが名を連ねていることからもこれは伺えるでしょう。また2日目進出デッキ全体で22種ほどの分類がされていますが、そのうち半分の11種がアグロ気質の強いデッキです。

・ルーカファイアーズ対策へのアプローチは、現状「アグロ攻勢」「シナジーデッキ」「パーミッション」の3つが有力のようです。要は《裏切りの工作員》に対抗しうるデッキということですね。
ただ今回の結果を見る限りでは、アグロによるアプローチは意識されすぎていた模様。アグロが意識されすぎていた分、シナジー・コントロール方面からのアプローチが成功したのが今回のTOP8のメンツに現れているように感じます。


【Tier上位デッキについて】

それでは各デッキについてリストも交えつつ見ていきましょう。


①ルーカファイアーズ

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:Tatsumaki
順位:準優勝

4:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
2:《ヴァントレス城/Castle Vantress》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2:《島/Island》
2:《山/Mountain》
3:《平地/Plains》
4:《ラウグリンのトライオーム/Raugrin Triome》
4:《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4:《蒸気孔/Steam Vents》
1:《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
2:《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
36 lands

4:《裏切りの工作員/Agent of Treachery》
4 creatures

4:《銅纏いののけ者、ルーカ/Lukka, Coppercoat Outcast》
4:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
4:《空の粉砕/Shatter the Sky》
4:《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4:《創案の火/Fires of Invention》
4:《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
4:《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
4:《サメ台風/Shark Typhoon》
4:《メレティス誕生/The Birth of Meletis》
40 other spells

1:《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
2:《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》
4:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
4:《ガラスの棺/Glass Casket》
4:《神秘の論争/Mystical Dispute》
15 sideboard cards


環境最有力、コントロール気質のコンボデッキ。トークン生成スペルを中心に時間を稼ぎ、《銅纏いののけ者、ルーカ》で壁にしていたトークンを《裏切りの工作員》へ変換、更に《空を放浪するもの、ヨ―リオン》のブリンクへ繋いで大幅なアドバンテージにつなげます。《サメ台風》はテフェリーに縛られないインスタントトークン生成でありつつ、サブのフィニッシャーも兼ねており無駄がありません。

ヨ―リオンデッキはバント・スゥルタイ等バリエーション豊富ですが、それらマナ加速のある緑系ヨ―リオンデッキに対し、このデッキの強みはルーカの存在により裏切りの工作員へのアクセス率が圧倒的に高い点。マナ加速がない分は《創案の火》でアクション数を稼いで補っています。
トークン生成スペルとして《太陽の神のお告げ》が採用されて以来、対アグロデッキへの安定感が増しています。《メレティス誕生》と合わせ時間を稼げるカードでありながら、ピン除去ではトークンが1体残るのが非常にいやらしい所。

元々工作員の効果が薄く、手が進みにくい序盤をついてくるアグロデッキを苦手にしてはいるのですが、いかんせんジェスカイカラーということで軽量重量問わずラスゴ・ピン除去の選択肢に恵まれており、特に先に上げたレシピでは《空の粉砕》がしっかりメインから4枚、加えてサイドから《ガラスの棺》・《轟音のクラリオン》が入ってくるなど対策が万全なことがわかります。

また身も蓋もないのですが、工作員によるコントロール奪取の効果が薄いデッキであってもとりあえず土地を奪いまくるという選択肢があるために蓋としての機能が果たされてしまうパターンもあり、このデッキのパワーの高さが伺いしれます。

メインにカウンターがない都合重いアクションをカウンターで弾かれると辛いのですが、テフェリーとアグロが多い環境柄カウンターを採用すること自体にリスクがあります。弱点はあれど突きにくいといいますか。
個人的には環境から重いデッキが減れば相対的に姿を減らしていくのかなと思っていましたが、この分だとまだまだ環境に居座りそうですね。


②ボロスサイクリング

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:katuo079595
順位:TOP16

6:《山》
8:《平地》
4:《聖なる鋳造所》
18 Lands

4:《ドラニスの癒し手》
4:《ドラニスの刺突者》
4:《繁栄の狐》
4:《雄々しい救出者》
16 Creatures

2:《願い与えの加護》
4:《血の欲求》
4:《記憶流出》
4:《霧帳の奇襲》
4:《驚くべき発育》
4:《天頂の閃光》
4:《踏み穴のクレーター》
26 other spells

2:《猛火の斉射》
2:《雷猛竜の襲撃》
2:《轟音のクラリオン》
2:《一心同体》
2:《希望の光》
1:《夢の巣のルールス》
2:《焦熱の竜火》
2:《魂標ランタン》
15 Sideboard


使用率第2位、面・点両面で軽量コストのプレッシャーをかけるアグロ戦略を前提に《天頂の閃光》による一撃必殺を狙う変則アグロ。
サイクリングによってキーカードを探しに行くことに長け、サイド後もサイドカードへのアクセス率が高いのが特徴。土地はわずか18枚ですが、「サイクリングを繰り返す≒スペルを捨て続ける」ことになるため、むしろマナフラッドに陥りやすくなるほどです。

黒い軽量除去が環境にあまりない関係上、特に1T目《繁栄の狐》からの攻勢に対し、低マナ域での回答は環境にそう多くはありません。(テフェリーくらい?)
これか《雄々しい救出者》による面展開でライフをある程度詰めておき、あとは《天頂の閃光》を引くまでサイクリングを繰り返すのが勝ちパターン。引くまでサイクリングすればするほどに火力が増していくのでよく噛み合っていると言えます。

他方、デッキの性質上序盤のタップインを許容できずショックランド4枚と基本土地だけで構成されているマナベースそのものはやや脆弱です、土地の枚数ではなく色の問題ですね。そのため2色デッキながら色事故のリスクをはらんでいます、ターンを重ねてサイクリングを続けることでいずれは解決可能ですがその場合クロックを置けずにプレッシャーが下がってしまいます。
また、一度クロックを対処されるとフィニッシュを《天頂の閃光》に依存している関係で墓地対策を苦手としています。《道標ランタン》が流行している原因の一つですね。

アグロ気質であり、かつフィニッシュブローがパーマネントでなくスペルであることから《裏切りの工作員》による被害が小さく、ルーカファイアーズキラーとして有名ですが今回はその分マークがきつくなっていた形でしょうか。使用率二番手ながら今回TOP8には残れませんでした。


③ティムール再生

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:mmanohito
順位:TOP4

2:《爆発域/Blast Zone》
4:《繁殖池/Breeding Pool》
3:《ヴァントレス城/Castle Vantress》
3:《寓話の小道/Fabled Passage》
2:《森/Forest》
2:《島/Island》
4:《ケトリアのトライオーム/Ketria Triome》
1:《山/Mountain》
4:《蒸気孔/Steam Vents》
4:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
29 lands

2:《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
2 creatures

1:《霊気の疾風/Aether Gust》
4:《発展+発破/Expansion+Explosion》
4:《成長のらせん/Growth Spiral》
4:《神秘の論争/Mystical Dispute》
4:《選択/Opt》
3:《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1:《物語の終わり/Tale’s End》
4:《サメ台風/Shark Typhoon》
4:《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
29 other spells

1:《霊気の疾風/Aether Gust》
2:《薬術師の眼識/Chemister’s Insight》
1:《終局の始まり/Commence the Endgame》
1:《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
4:《炎の一掃/Flame Sweep》
4:《否認/Negate》
1:《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
1:《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》
15 sideboard cards


もはや説明不要、《荒野の再生》をキーカードにしたインスタントスピード重視のビッグマナデッキ。RNAでの登場以降、なんだかんだ息のながいアーキタイプですね。
サイクリングと同じくフィニッシュブローが非パーマネントという点で《裏切りの工作員》の効きにくいデッキです。

再生を置くターンの猶予があれば一瞬でマウントとれてしまう関係上クロックの遅いデッキ全般に強く、特にメインにはカウンターを持たないルーカファイアーズにはそれなりに有利なデッキです。ルーカファイアーズ側もテフェリーやナーセット等クリティカルなカードを備えてはいるものの、上のレシピでもそうですが最近はメインから《神秘の論争》をガン積みして対抗している形。テフェリーに関しても、常在型能力に縛られない《サメ台風》の登場で処理できるタイミングは増えているので以前よりも致命的ではなくなったといえます。

弱点はサイドボードを見るとわかりやすいですが、やはりアグロ系です。
マナ加速、ドロー、荒野の再生、カウンターとスロットを割いていく手前どうしても除去のスロットは薄くなりがちです。正確に言えば干渉牌であるカウンターと除去が枠を食い合っていて、ヨ―リオン筆頭に重いデッキが流行している現状カウンターの優先度が高くなってしまう、というべきでしょうか?(もっとも上のレシピにおいては、まともなカウンターは神秘の論争くらいなんであれですが・・・)

壁となれる《サメ台風》、ゲインとマナ加速を兼ねる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の登場で対アグロも多少マシになってはいるようで、《嵐の怒り》を採用するほどではなくなっているのかな?
重いデッキがメタ上位に居座っている限りは常に有力候補であり続けるでしょう。


④オボシュ赤単

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:trogdor3026
順位:TOP8

4:《エンバレス城/Castle Embereth》
18:《山/Mountain》
22 lands

4:《鍛冶で鍛えられしアナックス/Anax, Hardened in the Forge》
4:《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
4:《熱烈な勇者/Fervent Champion》
4:《不気味な修練者/Grim Initiate》
3:《灰のフェニックス/Phoenix of Ash》
4:《焦がし吐き/Scorch Spitter》
4:《ブリキ通りの身かわし/Tin Street Dodger》
27 creatures

4:《舞台照らし/Light Up the Stage》
3:《ショック/Shock》
4:《紋章旗/Heraldic Banner》
11 other spells

1:《獲物貫き、オボシュ/Obosh, the Preypiercer》
2:《反逆の行動/Act of Treason》
2:《猛火の斉射/Blazing Volley》
3:《炎の侍祭、チャンドラ/Chandra, Acolyte of Flame》
2:《不遜な歓楽者/Irreverent Revelers》
3:《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》
2:《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》
15 sideboard cards


通称奇数赤単。純粋な直線アグロデッキとしてはなんだかんだエルドレインから赤単も息が長い部類でしょうか。

基本骨子こそ今までの赤単とは大差ありませんが相棒の《獲物貫き、オボシュ》の縛りのために今までの赤単の代名詞的存在であった《エンバレスの宝剣》及び《朱地洞の族長、トーブラン》、更には《実験の狂乱》等も採用できません。が、それを補うだけのポテンシャルは十分に備えています。
イメージ的には「初手に確実にトーブランを持ってる赤単」といった体で、そう考えるとむしろ既存の赤単より安定感のあるデッキといえるかもしれませんね。その性質上、こちらも《裏切りの工作員》による被害は少なく勿論ルーカファイアーズとの相性は悪くありません。

特徴的なのは《紋章旗》の採用で、オボシュにつなげるためのマナ加速と横並びでの打点アップを1枚でこなしている点が優秀。
横並び戦略一辺倒なので、例によってラスゴが弱点ではあるのですが例によって赤単の革命的存在《鍛冶で鍛えられしアナックス》に加え、《不気味な修練者》《灰のフェニックス》等耐性のある生物の採用もあるため単純な解決はさせません。
それが功を奏したたため・・・とは言えないかもですがボロスサイクリングの項でも述べた通り横並びアグロが警戒されている中、こちらはTOP8に1デッキ残っています。サイクリングとは似たような立ち位置だったのだろうと思います。





以上、今大会の上位Tierデッキを簡単に紹介してみました。
冒頭でも少し述べましたが、今のスタンの特徴として「単純に重いデッキは《裏切りの工作員》の餌食」という壁が一つ立ちはだかっていて、そこに

①アグロ攻勢で無視する
②シナジー重視の構成でパーマネントを奪われた際の被害を抑えるorフィニッシャーにパーマネントを用いない
③工作員及び工作員にアクセスしうるカードをカウンターする


のいずれかの方向で解決を見ようとする動きがあるわけですね。ここまで長々と書き連ねましたけど、ほとんど言いたいことは↑の3つに集約したんでこれだけ覚えて帰ってもらえればぶっちゃけ残り全部蛇足です()

どうせ近日中にもっと綺麗にまとめてくれた記事がどっかそっかの大手さんから出ると思うし。


はい、なんにせよ今後もM20がローテ落ちするまで《裏切りの工作員》を意識した環境が続いていくことでしょう。いやぁ大味だな~この環境。
最後に、この大会でTOP8にのこったデッキから新しい切り口が生まれているのでそれを紹介して結びにしたいと思います。


⑤青白ヨ―リオンコントロール

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:Gob123
順位:優勝

9:《島/Island》
6:《平地/Plains》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4:《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
3:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
2:《ヴァントレス城/Castle Vantress》
1:《廃墟の地/Field of Ruin》
33 lands

4:《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
2:《夢さらい/Dream Trawler》
6 creatures

3:《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4:《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
4:《空の粉砕/Shatter the Sky》
4:《吸収/Absorb》
3:《薬術師の眼識/Chemister’s Insight》
2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
4:《神秘の論争/Mystical Dispute》
2:《ガラスの棺/Glass Casket》
1:《払拭の光/Banishing Light》
3:《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》
4:《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
4:《サメ台風/Shark Typhoon》
3:《メレティス誕生/The Birth of Meletis》
41 other spells

1:《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
3:《霊気の疾風/Aether Gust》
3:《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace》
2:《ドビンの拒否権/Dovin’s Veto》
1:《ガラスの棺/Glass Casket》
3:《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
2:《物語の終わり/Tale’s End》
15 sideboard cards


まさかの、というのもあれですが80枚青白コントロールが今大会の優勝。
同日程で開催されていたアリーナMCQでも、コントロールの名手熊谷 陸さんが同アーキタイプで突破していることから話題を呼んでいます。
間違いなくこの一週間のメタゲームでは勝ち組だったといえるでしょう。

カウンター多めの構成でルーカファイアーズに強く、《裏切りの工作員》に取られない《夢さらい》をフィニッシュに据えています。万一PWやぺス勝つをとられても、《厚かましい借り手》がこれをケア。カウンター偏重構成になるとネックになりがちな《サメ台風》への備えにもなっています。

これに加えてテフェリー&ナーセットお決まりのコンビでティムール再生にも強くでれます。いくらPWがささっていても、ルーカファイアーズ同様クロックの遅いデッキなのでティムール再生の得意なゲームレンジではあるのですが、カウンターが多いために不利になりがち。特に《ドビンの拒否権》は《神秘の論争》でも撃ち返せず非常に刺さっているキラーカード
先に述べたように《サメ台風》による切り返しも借り手による受けがあります。
(余談ですが先日の決勝ラウンド、これを意識した攻防が非常に面白かったです)

アグロデッキに対してはメインでのガードがやや低い分、サイドが多めに割かれています。総合的には赤単などとも五分程度の相性でしょうか。
むしとこのデッキが苦手としているのはどちらかというとマナ加速のあるデッキです。前環境のバントランプなんかが筆頭例で、このデッキの流行に伴いバントヨーリオンなど緑系ランプの復権もあるやもですね。



⑥ジャンド要塞

大会名:Red Bull Untapped 2020 International Qualifier1
プレイヤー:Yuuki Ichikawa
順位:TOP4

4:《血の墓所/Blood Crypt》
1:《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
4:《寓話の小道/Fabled Passage》
3:《森/Forest》
1:《山/Mountain》
4:《草むした墓/Overgrown Tomb》
4:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
3:《沼/Swamp》
24 lands


4:《大釜の使い魔/Cauldron Familiar》
4:《金のガチョウ/Gilded Goose》
4:《波乱の悪魔/Mayhem Devil》
4:《忘れられた神々の僧侶/Priest of Forgotten Gods》
4:《悲哀の徘徊者/Woe Strider》
20 creatures

4:《初子さらい/Claim the Firstborn》
1:《移動経路/Migration Path》
3:《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》
4:《魔女のかまど/Witch’s Oven》
4:《パンくずの道標/Trail of Crumbs》
16 other spells

2:《燃えがら蔦/Cindervines》
4:《強迫/Duress》
2:《エンバレスの盾割り/Embereth Shieldbreaker》
2:《虐殺少女/Massacre Girl》
3:《焦熱の竜火/Scorching Dragonfire》
2:《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
15 sideboard cards


最後にご紹介するのは日本を代表する配信者、市川ユウキ氏の駆るジャンドサクリファイス。
相棒なしの新たなサクリファイスデッキのバリエーションがTOP4に食い込んで話題を呼んでいます。

《パンくずの道標》・《魔女のかまど》・《大釜の使い魔》と基本的にはTHB環境から変わらないジャンドいつもの実家メンツですが、こいつらでロングゲームを仕掛けた先のゴールに据えているのがCR城塞・・・もとい《ボーラスの城塞》です。

パンくずに加え、《悲哀の徘徊者》も加えてトップをリフレッシュする手段が多いほかデッキのほとんどが低コストなカードによって構成されているので連鎖が決まりやすく、一度ハマれば物凄い勢いでアドバンテージを稼ぎ出します。
注目すべきは出たターンから連鎖がハマりだす可能性のある点で、返しのターンに対処されても盤面を手遅れなら関係ありません。
《裏切りの工作員》はもちろん《エルズペス、死に打ち勝つ》すら置いてけぼりにしうるポテンシャル、無論城塞のタップ能力10点ルーズで勝利することも連鎖次第では容易でしょう。

軽量なカードが中心故に打ち消しにも強く、優勝デッキの青白コンにもそこそこ有利に立ち回れるでしょう。今回の入賞もあって、青白に並んで流行の兆しが見えてきそうですね。

他方このデッキが苦手としているのは大型生物の処理。
確定除去を持たず、《初子さらい》でどかしていくのが基本なので特にCMC4以上のタフなクリーチャー擁するグルールやジェスカイファイアーズまごつきそうです。実際市川氏の配信内でも、TOP8に残ったグルール変容にあたっていたら厳しいマッチになっただろうという声がありましたね。
もっとも、そういった大型生物が工作員やぺス勝つの的になっている現状理にかなっている選択ですし流石のメタ読みといったところでしょうか。
そういったデッキが増えてくればまた重いところを《戦争の犠牲》に差し替えたりしてカスタマイズのきく部分だと思うので、やはりなんだかんだサクリファイスデッキ形を変えて環境に適応していくのだと思われます。




さて、本当に長々とした記事になってしまいましたが今回はここまで。
激動のスタンダードはまだまだ始まったばかり、今後の変化にも注目です。
質問などありましたらお気軽にどうぞ。

次回はオンライントーナメント、プレインズウォーカーチャンピオンシップでお会いしましょう。

自粛の嵐吹き荒れる中、皆様自宅待機をいかように暇つぶししておられるでしょうか。
イコリア発売からまだ10日とたっておりません・・・というか未だ紙での発売がきていない地域の方が大多数なわけですが、既に相棒という新メカニズムが各フォーマットのオンライン世界で暴れ暴れのゲットオン。ここんとこの新エキスパンションは何かと一悶着起こさないと気がすまない感じ。
下環境の所感に目を移せば、1キル・ワンショット・理不尽コンボが炸裂した瞬間のスクショお気持ちふざけんなの乱舞を諸々目撃できるわけで、実際やべーなとは思いますが。

個人的にはもちっとカードパワーのデフレをしてもらっても構わんけどなあ
と感じつつも、強いカード作るなり、コラボして話題性を引っ張ってくるなりしないとみんなカードを買ってくれないのもまた事実。

まあMTGに調教された者達は激動の環境初期を楽しむというのも(クソみてーな)醍醐味の一つだとわかっていてやめられない止まらないってやつですんで。
ここんとこのMTGは環境変化があらゆるフォーマットで著しいのでゆったり既存のデッキを回して楽しみたい人には優しくないゲームになっとんなぁと思いながら、今日も僕はアリーナからランクマッチの門を叩いては連敗する。


長々お気持ちポエム書き綴りましたが特に今回の記事の内容とは関係ありません。いや、なんか皆家に閉じこもってるせいなのかはしらんけど誰一人新環境をヒャッハーしてない気がして悲しいな~とか思ってポジってみました。マジックはいつでもハッピーだろ、いいかげんにしろ!

(閉じこもってるのはいつもだろって?そらそうか)


んで、今回はここ4日間アリーナぼちぼち回しててよく当たるな~と感じる新環境のデッキについてつらつら所感を語ります。回してたり回してなかったりするので基本は適当、客観性はない。アーキタイプ名も適当。んじゃいってみよ。


○ルールス・サクリファイス

現状のトップメタ二大巨頭が一角。
前環境のトップメタを張ったラクドス・サクリファイスに白黒の混成クリーチャー《夢の巣のルールス》を相棒指定したデッキ。

Lurrus of the Dream-Den / 夢の巣のルールス (1)(白/黒)(白/黒)
伝説のクリーチャー — 猫(Cat) ナイトメア(Nightmare)

相棒 ― あなたの開始時のデッキに入っている各パーマネント・カードが、それぞれ点数で見たマナ・コストが2以下であること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたは1回のみゲームの外部からこれを唱えてもよい。)
絆魂
あなたの各ターンの間、あなたはあなたの墓地から点数で見たマナ・コストが2以下のパーマネント呪文を1つ唱えてもよい。
3/2


パーマネント呪文の搭載コストに制限がかけられているため、既存のサクリファイスと比べて1マナ域の採用が増え、必然アグロ気質がより高まっているのが大きな相違点。《死の飢えのタイタン、クロクサ》がCMC2であることが幸いし、墓地から毎ターンハンデスしたり割られたり打ち消されたりした《魔女のかまど》を戻したりと、このテのデッキにありがちな息切れを防止してくれる有能な猫。
加えて、墓地のクリーチャー釣り上げスペルとして《死住まいの呼び声》も採用されておりデッキは細くなったのにより粘り強く進化した形。性質上トロめのデッキにはめっぽう強く、環境を席巻していたはずのバントランプやスゥルタイランプ等はめっきり見なくなってしまった。

弱点としては、1マナ域の多投に伴いデッキ全体のカードパワーが下がっている点が挙げられる。特に既存のラクドスのキーカードであった《騒乱の悪魔》やドローエンジンの《真夜中の死神》を採用できなくなった点は如実な痛手。
わかりやすいところではクリーチャー個々の打点が低くなってしまい(クロックではない)飛び道具がない都合、PWを非常に落としにくくなってしまっている。



○ジャイル―ダ・リアニメイト

別名ガイガンリアニメイト。現在のトップメタ2大巨頭その2。
デッキに偶数コストでの構築制限を設ける《深海の破滅、ジャイル―ダ》を相棒に指定するバントカラーのコンボデッキ。

Gyruda, Doom of Depths / 深海の破滅、ジャイルーダ (4)(青/黒)(青/黒)
伝説のクリーチャー — デーモン(Demon) クラーケン(Kraken)

相棒 ― あなたの開始時のデッキに、点数で見たマナ・コストが偶数のカードのみが入っていること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたは1回のみゲームの外部からこれを唱えてもよい。)
深海の破滅、ジャイルーダが戦場に出たとき、各プレイヤーはそれぞれ、自分のライブラリーの一番上からカードを4枚自分の墓地に置く。それらのカードの中から、点数で見たマナ・コストが偶数のクリーチャー・カード1枚をあなたのコントロール下で戦場に出す。
6/6


動きとしては非常に単純で、《成長のらせん》等各種マナ加速からジャイル―ダをキャストするのみ。ジャイル―ダの能力で、伝説性を無視できるクローンである《灯の分身》がめくれればジャイル―ダの能力が連鎖し次々にジャイル―ダが増殖していくという仕組み。流石に《灯の分身》だけでは確率が低すぎるので《深海住まいのタッサ》や《魅力的な王子》等のブリンク能力を持つ生物を併用してジャイル―ダのCIP回数を水増ししている。
相棒という必ず初手にありかつハンデスも効かないという特性をうまく利用したコンボであり、6マナ揃えば即コンボ開始という理不尽性からコンボ耐性の低い非青系ミッドレンジや速度のないランプデッキなどには非常に強く出られるのが特徴。

弱点はコンボデッキらしく墓地対策とカウンター。
前述したルールス・サクリファイス共々墓地利用デッキという点もあり、《墓掘りの檻》は定番のサイドボードとなりつつあるのは逆風。ディッチャはサイドに必須になりそう。ちなみに《虚空の力戦》は効かないらしい、納得いかん。
カウンターに関しては動きのトップが6マナで青黒混成クリーチャーという点が災いし、青対策の定番《神秘の論争》に非常にひっかかりやすい上、自身はジャイル―ダの偶数縛りのために《神秘の論争》で打ち返したり色があっているにも関わらず《時を解す者、テフェリー》でカウンター拒否することができず小回りが効かない。この点を改善するべく、生物への打ち消しを拒否する《運命を紡ぐ者》も定番サイドであり、メインに採用するレシピもあるとか。


○ケル―ガ・ファイアーズ

エルドレイン発祥の踏み倒しコンボデッキ、ジェスカイファイアーズに《巨智、ケル―ガ》を相棒指定したデッキ。

Keruga, the Macrosage / 巨智、ケルーガ (3)(緑/青)(緑/青)
伝説のクリーチャー — 恐竜(Dinosaur) カバ(Hippo)

相棒 ― あなたの開始時のデッキに、点数で見たマナ・コストが3以上のカードと土地カードのみが入っていること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたは1回のみゲームの外部からこれを唱えてもよい。)
巨智、ケルーガが戦場に出たとき、あなたは、他の、あなたがコントロールしていて点数で見たマナ・コストが3以上のパーマネント1つにつきカードを1枚引く。
5/4


元々高マナ域のパーマネントカードを踏み倒し連打する爆発力がウリのファイアーズだが、そこに息切れを防ぎつつ登場することが確約されている5/5/4というのは有能の一言。構築制限ももとより2マナ以下のカードをほとんど採用しないファイアーズにとってはないも同然。
加えて、《砕骨の巨人》や《厚かましい借り手》はあくまでCMC3のカードであることから構築制限に引っかからないため、2マナのスペルをいれることができないわけでもなく最低限の序盤の動きは確保されているあたり詐欺臭いところ。
単純に安定性がより上がったファイアーズ、という見方ができるだけでなくケルーガの緑に着目してティムールカラーにしたり4C5Cと色を欲張ったりするアプローチもあるとか。今後の発展に期待。
他のデッキとの相性から言うと、《轟音のクラリオン》をガン積みしていてチャンプブロックにもそこそこ強い関係でルールスサクリファイスとの相性は悪くないものの、ガイガンリアニに対してはコンボ耐性皆無な割に自身のブン回りにはやや速度が欠けておりサイズでも横並びでも分が悪いので相性はよくないようで。

ケルーガの相棒指定の都合上、今までの定番サイドだった《義賊》《徴税人》のようなビートダウンプランへのシフトを敢行すると相棒指定が無効になりサイド枠を1枚浪費してしまう形になるのもマイナスポイント。


○ディミーアフラッシュ

イコリアにて青黒に「瞬速」のテーマを与えられたことにより続々新規カードが加入して成立した新進気鋭のクロックパーミ。

コスト軽減と打ち消し不可を付与する瞬速のロード的存在、《狡賢い夜眷者》や瞬速を唱えるだけでクロックかけつつカードも引ける《滑りかすれ》、変容能力に目が行きがちながら実は単体での性能も優れる《海駆けダコ》《哀歌コウモリ》等青黒らしからぬ骨太なクリ―チャー戦術が特徴。
フラッシュデッキとしては既に《夜群れの伏兵》を筆頭にするシミックフラッシュとその派生形がスタンダードでは活躍しているがそこに切り込みうるデッキパワーを持つ新たな選択肢。
あちらと比較するとマナ加速がないので2-4ジャンプやニッサの圧力に欠けるものの色の都合上《暴君の嘲笑》のような確定除去やハンデスの選択肢について優位点がある。

環境的に見てもジャイル―ダリアニに対してはなかなか強く出られ、青黒の面目躍如といったところか。
他方低マナ域連打かつクリーチャーサイズの関係でブロッカーをたてにくいためルールスサクリファイスや赤単を苦手とするのはシミックとあまり変わらない。サイドにはしこたま軽量除去を積む必要があるだろう。



とりあえず、イコリアの新カード搭載で自分がよく見るデッキはこんなとこ。
昨今のスタンダード環境はあっという間に攻略されるので、来週にはおおよそのメタが固まってTier上位として定着するデッキが出揃う形になるだろう。
激動のスタンダード、今後も楽しんでいきまっしょい。
ではまた次回。


「怪物にも上には上がいる/There’s Always a Bigger Monster」
「君だけの相棒と、戦え。」

新エキスパンション、「イコリア:巨獣の棲処」は日本では4月17日発売!




遅くなりました、いつもの販促にいつもの雑感です。
コロナ騒ぎで発売時期がなんとやら、店舗の負担がうんとやら、ゴジラとコラボでうんたらかんたら・・・とゴッタゴタの春エキスパンションですが皆様いかがおすごしでしょうか。僕は別にイラストにもコラボにもこだわり興味その他感情を動かされるサムシングがねーですもんで、そこまで盛り上がりも盛り下がりもなかったりねかったりいまそがり。

んじゃまあ以下雑感所感大局観、ざっくりさっくり適当に、レア・神話レア中心のスタン目線でいっきまーす。ちぇけらー。



・《奇妙な根本原理》

「10年以上完成を皆が待ちわびたサイクル」っつーことで皆が「レア土地だ!」と議論かわしてたのを尻目に選ばれたのは根本原理でした!というオチ。いやまあ待っていなかったかと言われると嘘になるような、ならんような。
今回の根本原理は楔(くさび)3色、トップバッターに紹介するのはアブザンカラー。

内容はいたってシンプル、同名カード被りなしでのパーマネントカード一斉リアニメイト。PWだろうが土地だろうが名前さえ被っていなければまとめて墓地からどーん。書いてることは言うまでもなく派手だが、使うデッキがあるのかは正直謎。《ティマレット、死者を呼び出す》《伝承収集者、タミヨウ》とか墓地肥やしのできるパーマネントってスタンでは実用範囲のものはあまり多くないので難しい。
ただまあ、《戦慄衆の復活》がまあまあ使われていたことを考えるとそこまでネタ寄りみたいな評価を下すのも早計な気がする、今後に期待。


・《発生の根本原理》

ティムールカラーの根本原理。
デッキトップ5枚の中から、パーマネントカードをすべて戦場に。残りは手札へ。《歓楽者ゼナゴス》の奥義ハイパー強化版。
最悪の場合7マナの5枚ドローだが、まあそんなアホな構築はしないので普通のデッキだと期待値的には「ランパン×2+パーマネント1~2枚」くらいになるだろう。必然パーマネントをたくさんいれてるデッキで真価を発揮するわけだが、この色だとマナ加速からのスーパーフレンズめいたことしか思いつかない。ティムールエレメンタルにこれ撃たれて《裏切りの工作員》と《深海住まいのタッサ》一度に揃えられて台パンする自信だけはあるが。このサイクル、いかんせん大味すぎてデッキを想像するのが難しい。

ちなみにサイクル中、これとスゥルタイの根本原理のみ解決に際し追放される。
回収系パーマネントから連鎖することを嫌ったのか?
それだとアブザンも同じな気もするが、あっちは墓地に送るひと手間がある故かね。


・《見事な根本原理》

お見事ォ!

ジェスカイの根本原理は「5点火力+5枚ドロー+5点ゲイン」。
初見でわかりやすく「コントロールデッキのゴールです」みたいな顔してるスペルだなーという印象。かの《残酷な根本原理》と比べると、除去したいパーマネントを狙い撃ちにできる点とドローの枚数で上回る点で優るが、黒ではないためにハンドを攻められない点で劣る。相手の反撃の芽を摘むことができないのは大きな差異だろう。
現代スタンダードに目を移せば、正味5点火力程度じゃ今どきのPWは落ちなかったり、7マナという重さに加え色対策にひっかかりやすい三色と見えてるだけでも現状から課題はあるがそれでも使ってみたくなる派手さを備えた一品。
ジェスカイの力見せてやんよ。


・《破滅の根本原理》

マルドゥの根本原理は相手の土地以外のパーマネントをすべて破壊。
ハイパー《疫病風》、あるいは追放が破壊になった《王神、ニコル・ボーラス》の奥義。

7マナ払って盤面吹っ飛ばすだけなら多分使われない。1マナ軽い《次元の浄化》でほぼ同じことができるので、よほど一方的リセットに価値を見いださなければそちらを使うだろう。土地までふっとばしてくれるんなら流石に使われただろうが、それだと7マナじゃ収まらないね。
《戦争の犠牲》の書式にしてくれていれば、《世界を揺るがす者、ニッサ》を土地ごと吹き飛ばせたのだが・・・まあだからなんだって感じだけど。


・《出現の根本原理》

スゥルタイの根本原理。
ライブラリーから単色のカードを3枚選択し公開、相手がその中から1枚選ぶ。
選ばれたカードは追放され、残りの2枚をタダでキャストする。
ざーっくりいえば単色限定になった代わりに超絶強化された《直感》めいたもの。

使い方はすまん、わからん(丸投げ)
一応パイオニア以下の環境では既に撃つだけで勝利できる組み合わせが発見されているようだが実際どうなのだろうか。
ちなみにというか、例によって《時を解す者、テフェリー》がいると無力なスペルになります。あのハゲ早くローテ落ちしてくれませんかねホント。



・《サメ台風》

B級映画屈指の話題性を誇るシャークネードがまさかのカード化。
イコリアではサメは飛ぶものらしい。

6マナのエンチャントで、非生物スペルをキャストするたびにそのスペルのCMCに等しい飛行サメトークンを生成するシステムエンチャント。
加えて「(X)(1)(青)」でのサイクリングを持ち、サイクリング時にXの値に等しいサメトークンを生成することも可能。

能力自体は《機械医学的召喚》に《正義の命令》のサイクリング誘発をくっつけたような塩梅で、コントロールデッキのフィニッシャーとしての適性に優れる1枚。
トークン生成サイクリングに着目すると、カードを引きつつサイズ可変の飛行クロックを用意できる点は優秀。ただマナレシオ自体はそこまででもなく、大型サイズのクロックを作りに行くころにはこれを素貼りできるだろう。正義の命令と比較しても横広がりではないので対処されやすい。
ただ、これを素貼りしても別途スペルを用意してあげる必要があるうえ返しで《エルズペス、死に打ち勝つ》なりテフェリーにバウンス食らうなりすると悲しくなる性能。どっちの用途にしても帯に短し云々。
コントロールデッキのミラー用サイド要員という狭い用途に限っても、《終局のはじまり》というライバルがいるのでそこに切り込んでいけるか注目。


・《さまよう怪物、イダーロ》/《逃れ得ぬ災厄、ゴジラ》

コラボレートにより、シン・ゴジラのイラストを与えられた赤の怪物イダーロ。
7/8/8速攻トランプルのスペックを持つファッティ、2マナでのサイクリングが可能。マナレシオはレジェンダリーなりにいいものを備えているといった感じ。

そして最大の特徴は、サイクリングする際に墓地へは行かずライブラリへ戻り、ゲーム中に4回以上これをサイクリングしている場合は直接戦場へ出てくるというもの。8/8速攻トランプルが事実上打ち消し不可のインスタントタイミング且つ2マナで登場するというのは流石に強烈だが、4回以上という条件は非常に厳しい。
素出しが現実的なラインまでマナが伸びるデッキで、且つインスタントタイミングでの行動を重視できるデッキでならサイクリング前提で4枚積むことも許容しうるだろうか。イゼットフラッシュを高マナ域に寄せて重くし、ひたすらゴジラが出るまでパーミする「カウンターゴジラ」なんぞは成立しうる・・・のか・・・?

あとこれは性能の話ではないのだが単純にサイクリングした回数を記録しておくのが非常に面倒。
このカードに限った話ではないが、イコリアではテーブルトップで実際に運用する際に問題が生じやすいカードが多数存在しているのでいよいよ紙の時代の終焉を思わせてしまい、紙派の俺としては悲しいものがある。


・《スナップダックスの神話》

単色のスペルながら、楔(くさび)三色のマナを支払って唱えることで能力が向上する「神話」スペルサイクル(神話レアではないのがややこしい)

白の神話は《大変動》系のパーマネント種類別のサクリファイス要求。
通常は《激変の機械巨人》と同じく残すパーマネントを相手に選ばせてしまうが、マルドゥカラーのマナを支払うことで残すパーマネントをこちらが選べるようになり、1マナ軽い《悲劇的な傲慢》に変貌する。

悲劇的な傲慢自体はそこそこ使われたカードなので個人的には期待できる1枚だと踏んでいるがいかんせんマルドゥカラーは色が弱いというイメージが拭えない。何かしら居場所が見つかるといいのだが。


・《イルーナの神話》

青の神話は自軍パーマネントのコピートークン生成。
そのままだとキッカーのない《複製の儀式》程度だが、ティムールカラーのマナで支払うことにより生成したコピートークンと相手生物で格闘することができるようになる。
地味にパーマネントをコピーできるスペルは珍しい、PWには伝説性があるので無意味だがエンチャントやファクト、果ては土地もコピー可能。

実際のとこ、構築に限って言えばいまひとつパンチに欠ける1枚。
そもそもコピー生成はあまり強いスペルではないが、そこに向上させてついてくるのが《捕食》ではなんとも。せめてインスタントで唱えられればよかったのだが。
何より、せっかくパーマネントならなんでもコピーできるという特徴を、格闘させるというボーナスが殺してしまっているのが大きなマイナスポイント。
もうちょっとなんとかならんかったか。


・《ネスロイの神話》

黒の神話はパーマネント破壊。
黒マナだけでは生物しか破壊できないが、アブザンカラーのマナを支払うことで範囲が《大渦の脈動》相当まで広がり万能除去へと変貌する。しっかりとインスタントであり、向上なしでも色拘束の緩い《殺害》相当の性能をもっているため十分実用圏内。デメリットもなくなんでも破壊できるのは流石に強い、アブザンカラーのデッキならまず採用したい除去になるのでは。


・《ヴァドロックの神話》

赤の神話は生物・PWへの5点割振火力。
ジェスカイカラーのマナを支払うことで、ダメージを与えられたパーマネントは次ターンまで攻撃・ブロック・起動型能力が使用不可になる。

お察し。リミテでどうぞ。


・《ブロコスの神話》

緑の神話は墓地のパーマネント2枚の回収。2倍《自然のらせん》。
スゥルタイカラーのマナを支払うことで、《納墓》もついてくるぞ!
回収はパーマネントに限られているが、ライブラリから落とすカードタイプには制限がないんだ!

はい。まあ基本スタンで盤面触らない重めのスペルはよっぽど強くないと使われないので難しいじゃないんですかね。
まあでもウーロとかを墓地に置きながら墓地のPW回収とかは結構強そうなんでスゥルタイランプで息切れ防止にピン刺しとかそういうことはできるんじゃないですか。そんな感じ。ハイ次。


・《怪物の代言者、ビビアン》

登場したのは昨年の基本セットながら、既に6枚目になる地味な優遇枠ビビアンさん。
今回は5マナで登場、初期忠誠度は3と控えめ。

WAR以来続く悪しき慣習、常在型能力持ちのPW。内容は《ガラクの大群》と同じくライブラリートップのクリーチャーカードをプレイできるというもの。生物限定の《未来予知》だが、そこは現代のPWということでトップを公開する必要はなくコントローラーがいつでも見れる方式。
単体でアドバンテージ源になれる以上、強力な能力ではあるだろう。

+1能力は3/3のトークン生成。緑らしくサイズに優れるうえ、トランプル・警戒・到達の中から一つを選べる嬉しいおまけつき。基本的に警戒を選ぶことになるだろうが、緑のミッドレンジは大抵の場合対空性能が低いので到達が選択肢にあるのはありがたいところ。

-2は次にキャストする生物と同コスト以下の生物をライブラリーからリクルートする遅延誘発付与。コスト参照で一回ポッキリの《野生のつがい》のようなもの。単純に生物が倍加するに等しいわけで強い能力ではあるが、いかんせんこれをキャストしたターンに起動できることはほぼないだろうから返しのターンを生き残ってナンボ、という話になる。

常在型能力の性質と合わせ「決まれば爆アド!」なタイプのPWであり、生き残りやすさがバリューに直結することになるだろう。


・《古き道のナーセット》

ドヤ顔カンフーハイキック姉貴オッスオッス!
PWとしては3枚目となるナーセットはついにジェスカイカラーを冠することに。
(ジェスカイ道時代の記憶は歴史改変で失われたはずじゃ・・・?)


今回は4マナで初期忠誠度4。
+能力はジェスカイカラーいずれか一色のマナ生成、用途は非生物スペル限定。2点ゲインのおまけつき。この色でのマナ加速はスタンでは珍しい、出たターンに有効活用するには1マナのスペルが必須なのはやや気になるもののゲインつきなので完全に無駄にはなりにくい。マナ域的に見ると4-6ジャンプになるので強そうに見えるが、非生物で考えるといまのとこ《目覚めた猛火、チャンドラ》くらいしか思いつかないのはやや気がかりか。
継続的なゲイン装置としてみることもできるので、対アグロでの硬さも評価したいところ。

-2はルーター+αの変則除去。ワンドローから任意でディスカードし、捨てたカードのCMCに等しいダメージを対象の生物orPWへ与える。ディスカードが任意なのが中々素晴らしく、単純にドローとしても使える上に自身の重ね引きをおのずからケアしてくれるのは融通がきいている。
その代わり除去としての癖が強いのは否めないが、高CMCのカードを弾にすること自体は次のマナ域である《エルズペス、死に打ち勝つ》と相性がいいといえる。

-6は「非生物スペルを唱える度に《ショック》が誘発」する紋章付与。《反逆の先導者、チャンドラ》の奥義を考えると些か地味だがあちらが強すぎるだけであり、こちらも十分強力である。登場ターンには忠誠度が5であると考えれば奥義が非常に早い部類。

ナーセットから決めろ!根本原理!
みたいなくっそ渋いコントロール組みてえなあおい。


・《永遠の頂点、ブロコス》/《結晶怪獣、スペースゴジラ》

今回の目玉キーワード、「変容」を持つ禊(みそぎ)楔3色の頂点生物サイクル。
すべてゴジラシリーズのコラボイラストを所持しています。
変容は色々ルーリング的にややこい部分があるのですが、以下ざっくり特徴を述べておきます。わからん人はググれ。

・自分がオーナーである「人間ではないクリーチャー」を対象に変容コストで唱えることができる。
・変容したクリーチャーは「合同パーマネント」になり、対象に取るときも戦場を離れるときも一緒になる。
・「合同パーマネント」の「カード名」と「P/T」は一番上のカードに依存する。一番上のカードをどれにするかは、変容する時に決めることができる。
・「合同パーマネント」は変容しているすべてのカードの能力のみを併せ持つ。下のクリーチャーのクリーチャータイプやP/Tは併せ持たない。


あーめんどくせこのメカニズム。
んで、肝心のスペースゴジラ・・・もといブロコスはスゥルタイカラーの5/6/6トランプル。これだけだとただマナレシオがちょいといいだけのフレンチバニラですが、墓地から変容することができる能力を持っているのが最大のウリ。
変容には6マナ必要ですが、種さえ用意してやれば何度でも墓地からでてくる6/6トランプル+αは中々の脅威になりうるか。テフェリーとかペス勝つはやめろ。


・《願いの頂点、イルーナ》/《宇宙の帝王、キングギドラ》

キングギドラだー!!
ティムールカラーの頂点は5/6/6飛行トランプル、この《茨の騎兵》でも止まらないサイズは驚異的、素のボディはこいつが一番強いかも。

変容するたびに、ライブラリートップから土地以外のパーマネントが出るまでめくり続け最初に出たものを出すというアドバンテージ能力持ちで、5マナにして既にサイズ能力両面でマスト除去を要する生物。マナ加速から4T目とかに出てくるとあわあわしそう。テフェリーはマジでやめろ。


・《雷の頂点、ヴァドロック》/《翼竜怪獣、ラドン》

ジェスカイカラーの頂点は3/3/3飛行先制攻撃・・・あれなんかサイクルの中じゃ随分ちっちゃくね?
まあこのマナ域のフライヤーだと《厚かましい借り手》に相打ちをとられないというのは重要なのでそこは合格か。

変容するたびの能力は墓地のCMC3以下の非生物スペルをマナ・コストを支払うことなく唱えるというもの。本人の軽さのせいで墓地利用とは若干噛み合っていない印象を受けるが、WARが誇る強力な3マナPW群も対象にできるというのは中々のやり手感。例によってテフェリーがいると変容能力が無力化される・・・おいマジでこのハゲなんとかならんか、新しいメカニズム全部殺されてない?
幸いこいつの場合軽さと飛行も相まって忠誠度の減ったテフェリーを殴りやすいのでマシな部類だが・・・。


・《死の頂点、ネスロイ》/《植獣形態、ビオランテ》

アブザンの頂点は5/6/6接死絆魂。
ライフリンクはまあ申し分ないが、デスタッチは例によって黒タイタン感覚か。
トランプルほしかったな。

変容能力は変容するたびに墓地のクリーチャーのマナ・コストが合計10以下になるようにリアニメイト・・・って派手だなおい。
流石にその派手さがあるもんで、変容コストは7マナと重め。
釣れる幅がでかすぎて、何らかの墓地肥やしでも併用しないとコストが余るレベルになってしまう可能性すらある派手さ。こんだけ派手ならちょっと使ってみたくなるよね。


・《猟の頂点、スナップダックス》/《伝説怪獣、キングシーサー》

「伝説って?」「ああ!それって、キングシーサー?」

マルドゥの頂点は4/3/5二段攻撃、変容するたびにPWか生物への4点ドレイン火力を放つ。

・・・すいませんマルドゥカラーはデッキを想像できなさすぎてコメントできない。単純に前のめり気味に組んだデッキで採用されるんだろうけどこの色だと4マナ域はライバルが多すぎる上にその上で活躍具合がイマイチなイメージしかなくてなんとも。



今回はとりあえずこんなとこで。
いろいろ細かいとこ気になってるカードも多いんですけど、とりあえずアリーナで試してきながら考えていきたいと思うます。
ではまた次回・・・次はどこでお会いできるでしょうねえ。
はやいとこお店で紙をしばきたいぜ。


二度の禁止改訂を経て激動の環境となった今期スタンダード。
禁止改訂から約2週間経ちましたので、現況確認ということで時々やってる環境考察を書いていきたいと思います。

例によって上からだらだら書き連ねるだけの自分の思考整理用メモみたいなもんなので、読みにくさはご容赦プリーズ。
とりあえず今のスタンの概要を知りたいって人はこの記事の一番下に総括つけてるんでそれだけ読んで帰っていただければ。

んじゃまあやっていきまっしょい。


○現行の主要アーキタイプ(Tier1~Tier2)一覧

①ミッドレンジ系・・・「BG(r)キャットオーブン」、「URGアドベンチャー」
②コントロール系・・・「URG≪荒野の再生≫」、「WUコントロール」
③コンボ系・・・「ジェスカイファイアーズ」
④クロックパーミッション系・・・「UGフラッシュ」「URフラッシュ」



○環境の変遷と定義要素について


①蓋を開ければ

≪死者の原野≫、≪王冠泥棒、オーコ≫らの禁止を経て真っ先に台頭したデッキは3つあります。
1つ目は原野・オーコ全盛期においてもTier2を張り続けていた実績を持つ「BGアドベンチャー」
2つ目はMF名古屋前後で徐々に勢力を伸ばしていた「BGrキャットオーブン」 。
3つ目は環境初期から登場してはいたものの、上記2つの更に1つ下程度の下位ポジションに甘んじていた「ジェスカイファイアーズ」です。

これら3つのデッキに関しては、いずれの台頭もTier1の蓋に押さえつけれていたものの禁止改訂でTier1がいなくなってそのまま繰り上がりでメタ上位に食いこんできた、という認識で問題ないでしょう。禁止改訂直後で早々に新しいデッキがドーン!なんてことは流石にないので当然ですね。


②相性は無情

さて、特定の3つのデッキの使用率が上がってくれば当然見えてくるものがあります。それは「相性」です。

個々のデッキの詳細な解説は後述しますが、結論から述べると「BGアドベンチャー」はこれらの3デッキにおける生存競争から脱落しつつあります。
禁止改訂から1週間経ってねーぞ!脱落はえーよ!

要因は色々あるのですが端的に述べるなら「ジェスカイファイアーズ」、「キャットオーブン」のいずれにも「別に有利ではない」点が一番大きいです。有利ではないからといって、特段に「不利!」というわけでもないのですが、トップメタ同格の使用率を誇るデッキらに対しての明確な強みがないので脱落してしまった形ですね。


③蘇れコントロール

先ほどから「オーコと原野」「オーコと原野」と繰り返し述べていますが、「ウィザーズのオリカ」として悪名高い≪夏の帳≫もさらっと道連れ禁止を食らっており、これに歓喜したのは主に俺原野も含めM20参入以降のカード達に散々辛酸を舐めさせられてきたコントロールデッキ群です。

(ちなみに、環境から緑を減らす名目で禁止された≪むかしむかし≫ですが、これによってマナベース安定の面でこのカードへの依存が強かった「セレズニアアドベンチャー」「エンバレスグルール」等の緑絡み友好二色デッキがひっそりと息を引き取りました。友好2色はマナベースが昭和)

特に禁止改訂前の環境下でも一定の活躍を見せていた「WUコントロール」や「URG≪荒野の再生≫」は元々フィニッシュブローである≪集団強制≫や≪発展+発破≫が≪夏の帳≫で簡単に封殺されてしまうところが課題のひとつだったので、禁止改訂の影響が大きかったコントロールデッキといえるでしょう。

とはいえ相変わらずのシャドウバース開幕宣言ハゲこと≪時を解す者、テフェリー≫の姿は同型含め多くのデッキで見ることができ、打消呪文を主体とするパッシブなデッキは依然としてこのカードの対処に頭を悩ませているのもまた実情です。
加えて、打消しや除去での対処が困難な盤面を1-2マナ圏の軽いカードですばやく構築してしまう「キャットオーブン」の存在も同じくガンであり、≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫が活躍していた頃のような古典的コントロールが完全に息を吹き返すにはまだまだ時間がかかりそうでしょうか。


④アグロが生き返るといったな(言ってない)、あれは嘘だ

≪王冠泥棒、オーコ≫と≪意地悪な狼≫の凶悪な組み合わせがアグロデッキの存在を半ば根っこから否定していたことは今更語るところでもありませんが、ではオーコ禁止後アグロデッキに転機がきたのかといえばそんなことはなかったぜ。

その原因は先ほど述べたトップメタ3種のデッキの性質と採用されているカードにあります。
何がどうアグロに向かい風なのかいちいち解説するも面倒なので、勢いと雰囲気でお伝えします。

キャットオーブン「猫復活で1点ドレイン!チャンプブロック!≪意地悪な狼≫!」

ジェスカイファイアーズ「≪轟音のクラリオン≫!≪轟音のクラリオン≫!」

BGアドベンチャー「5/5」



⑤新たなデッキの誕生

勿論、既存のデッキだけでなく様々な新デッキも考案されています。
島根PTQを制したHopes森山氏考案の「バント≪荒野の再生≫」は青白コントロールのネクストステージともいえるアイデアですし、先ほど凋落したと述べたアドベンチャーも後述する「URGアドベンチャー」として新たな形に生まれ変わっています。

オーコ禁止以降、どうにかスタンダードの人気も復調の兆しがあるようですしこのまま盛り上がっていってほしいところです。



○各アーキタイプについて

①ミッドレンジ系


・BG(r)キャットオーブン
  
≪魔女のかまど≫+≪大釜の使い魔≫のエンジンを軸にした、サクリファイスギミック中心のミッドレンジ。現状の使用者数でいえば間違いなくトップメタでしょう。
基本的にはサクリファイスエンジンでゲームを長引かせ、≪パンくずの道標≫の起動回数を水増ししたり≪真夜中の死神≫でアドバンテージを獲得、あとはかまどの数を増やしてターン毎のドレイン回数を増やしゆるやかに殺していくという真綿で首絞めデッキです。

猫をサクってはチャンプブロックを繰り返すギミックは、特に地上を中心にしたビートダウンに対してめっぽう強く、BGアドベンチャー凋落の一因となってしまったほど。オーコ亡きあと、唯一≪意地悪な狼≫をまともに運用できるデッキという側面もあります。
コントロール系に対しても、猫のドレインだけでもそこそこにクロックを刻んでいけるほかテフェリーなどによるバウンスにも強く見た目より隙がありません。

BG(r)と表記したのは元々はBRG、即ちジャンドカラーが主流な色だったためです。赤を採用する理由はシナジー面での恩恵がある≪騒乱の悪魔≫≪フェイに呪われた王、コルヴォルド≫の存在が大きいですね。

ただ、既に(既にっても1週間程度ですけどね!!!)研究の進んだ現在主流に成り代わっているのはタッチカラーを廃した純正BGかまど。
何が純正カラーの構築に導いたのかといえば、シンプルisベストとでも言うべきか「≪戦争の犠牲≫を4枚搭載して安定して撃てるようにするため」という方向性です。

Casualties of War / 戦争の犠牲 (2)(黒)(黒)(緑)(緑)
ソーサリー
以下から1つ以上を選ぶ。
・アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
・クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
・エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
・土地1つを対象とし、それを破壊する。
・プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。



置物含め1対多数交換をすることができる派手な電波スペルですがミラーマッチや≪創案の火≫を軸とするファイアーズなどがメタ上位の環境柄、1:3交換以上をとれることも珍しくなく、重さにさえ目を瞑れば撃ち所に困らない非常にお得なスペルとなっております。4積もやむなしかなといったところ。
逆に言えば、このカードを4枚取れるほどにスロットの余裕があるということでもあります。今後も純正を中心に様々なカスタムが施され、メタゲームに適応していくことでしょう。

弱点としてはシナジーデッキの常として、個々のカード1枚1枚が弱いことが挙げられます。かまどだけ引いても、猫だけ引いても、パンくずだけ引いてもあまり目立ったアドバンテージは得られません。こればかりは引きムラですが。
墓地対策の≪虚空の力戦≫や≪魔術遠眼鏡≫も有効ではありますが、既に述べたように置物破壊のオンパレードな環境なので、封殺といえるほどの効果は期待しにくいところがあります。



・URGアドベンチャー

≪エッジウォールの亭主≫から始まるアドバンテージ面で粘り強いアドベンチャーデッキは先ほどから述べておりますように元来BG系のデッキしかバリエーションがなく衰退の一途でしたが、ここにきて新たな切り口から開発されたアドベンチャーデッキがこのURGカラー。

とはいっても、BGとは構造は大きく異なります。
性質的にはどちらかといえばマナランプよりで≪成長のらせん≫≪豆の木の巨人≫といったマナ加速から≪辺境からの脱出≫に繋いでアドバンテージにつなげていくデッキになっています。
最大の特徴はエルドレイン発売初期のBGアドベンチャーに搭載されていたものの、すぐに抜けていったはずだった≪幸運のクローバー≫が4枚採用されている点で、これとマナ加速、そして≪願いのフェイ≫を組み合わせて多大なアドバンテージにつなげていきます。≪願いのフェイ≫からサイドボードをサーチ(クローバーを置けていれば2枚もサーチしてこれるぞ!#テキスト読上)して即座にそれを使用するためには多量のマナが必要になりますから、序盤のマナ加速が重要になるわけです。

結果として過剰ともいえるほど土地が並びがちですがスペルとして2回唱えることのできる出来事クリーチャーがマナフラッドを緩和、≪エッジウォールの亭主≫によるアドバンテージにもアクション数が増えてつなげやすくなっていますし、≪願いのフェイ≫は自身を再利用できる能力を持つのでなかなかアクションが途切れません。
欠点としてはBGに比べて除去の面で融通の効きにくい色なことですが、≪厚かましい借り手≫や≪砕骨の巨人≫で除去を補い、≪恋煩いの野獣≫で盤面を抑えます。特に≪幸運のクローバー≫下においては≪厚かましい借り手≫によるバウンスのコピーが見た目以上に時間稼ぎとなり強力。

盤面を掌握したあとは溢れるアドバンテージで圧殺するもよし、クソでかくなった≪豆の木の巨人≫でぶん殴るもよし、≪荒野の再生≫+≪発展+発破≫コンボをサイドから揃えて一撃必殺するもよしとフィニッシュブローも潤沢。
既にアリーナなどにおいては当たる機会が増えてきており、このデッキへの対策も考える必要がでてきそうですね。


②コントロール系

先に言っておくとあーんま書くことないです。
ほぼほぼ既存のデッキっすからね。


・URG≪荒野の再生≫

≪荒野の再生≫からあふれ出るマナでX火力(≪発破≫)を撃とう!という発想の根幹は非常にシンプルなデッキ。
それでなくても、コントロールデッキにありがちなビッグアクションの隙を再生が補ってくれるのでこのへんこのカードのカードパワー推し量るべし。

序盤は≪成長のらせん≫や≪選択≫で再生をさがしつつマナを伸ばし、火力やカウンターでしのいでいくオーソドックスなコントロールになってます。
フィニッシュブローは先述したとおり全力の≪発破≫、もしくはカウンターを構えながら万全を期して登場する≪パルン、ニヴ・ミゼット≫。ミゼットもどこぞのPWに鹿にされなくなって多少元の貫禄を取り戻した感じありますね。
サイド後は≪夜群れの伏兵≫も飛び出してくるなど、結構アグレッシブなプランも備えています。

≪戦争の犠牲≫含め、環境に置物破壊が溢れかえっているのはやや逆風ですが後述のジェスカイファイアと比べてカウンターを擁している分マシな部類といえるでしょう。≪時を解す者、テフェリー≫も悩みの種。

BIGMAGICの黒田氏もこのデッキでPTQを制していましたし、今後もメタには定着し続けることでしょう。


・WUコントロール

「令和のカウンターポスト」とも呼ばれる、発想が超古代の青白コントロール。
カウンターがめっぽう弱い令和時代でのカンポスとはこれいかに。

大量のカウンターとラスゴで盤面を掌握、≪薬術師の眼識≫や≪老いたる者、ガドウィック≫でアドバンテージを補填します。
相手が息切れしたら毎ターン相手のエンド時に≪アーデンベイル城≫から1/1のトークンを生産してはポコポコ殴り続けることで勝利を狙う・・・だけではあまりにも悠長なので、≪集団強制≫や≪裏切りの工作員≫によるコントロール奪取で勝負を決めます。

再生と同じく≪夏の帳≫被害者の会の一員とあって、心置きなく大技が撃てるようになったのは明らかにおおきいですね。
ただ、トップメタたるキャットオーブンのようなシナジーデッキは個々のカードがあまりパワフルでないためコントロールを奪ってもあまりおいしくないことも多々あり、あまり有利なマッチアップにはなりません。
青いデッキの復権に伴い≪厚かましい借り手≫の採用数が増加傾向にあるのもややマイナス。苦労して奪ったパーマネントが2マナでおかえりなさいされるのはちょっといただけない。
≪牢獄領域≫などのリングも採用する関係上ディッチャ蔓延の影響も受けています、メタの動きとしてはやや逆風気味。

他方多量のカウンターとコンマジ、という構造はアクションの一つ一つが重いジェスカイファイアーズに対して非常に強く出れます。基本的には後述のフラッシュ系デッキ同様、ファイアーズを狩りにいくデッキとしての立ち位置にあるという認識でいいと思います。
古典的なコントロールは根強いファンもいますし、ファイアーズが今後復権すればまた上位にあがってくるでしょう。


③コンボ系

まあファイアーズしかいないんですけども。
このデッキが環境に与えている影響は結構大きいので、詳しく解説します。

・ジェスカイファイアーズ

スタンでは珍しい踏み倒しエンチャント≪創案の火≫を主軸に据えた、ジェスカイカラーのコンボデッキ。
いち早く火を設置して、重いスペルを連打するド派手な動きが特徴。従来は大量のPWから≪主無き者、サルカン≫に繋ぐPWコントロールのような形が主流でしたが、現在は≪炎の騎兵≫・≪風の騎兵≫ら2種の大型騎士を軸にした「純正騎兵型」が主な勢力となっています。
火の影響下では土地からマナを出す必要がなくなるので、≪炎の騎兵≫のブレス+速攻付与能力をガンガン起動し大型生物の大量展開+速攻による高打点圧殺を狙います。

≪創案の火≫を使うための赤、ドローを進めるための青とイゼットカラーを基本に様々なカラーバリエーションのファイアデッキの存在こそあるものの、ぶっちゃけジェスカイ1強状態です。

ジェスカイたる主な理由は≪轟音のクラリオン≫と≪時を解す者、テフェリー≫の2枚。
ファイアを探す/置くまでの序盤の立ち上がりを突こうとするアグロをクラリオンが否定、後引きの場合でも後述する重量級クリーチャーに絆魂を持たせてライフレースをひっくり返す役割が残っており無駄がありません。BGrかまどの≪騒乱の悪魔≫もこのカードに流されてしまうのがマイナスポイントとされていましたし、環境の生物チョイスにも影響を与えています。
テフェリーは序盤から盤面に触りながらカードを引けるという意味で貴重な存在でありながら、このデッキの天敵であるカウンターを主体にしたコントロールデッキへのキラーカードでもあります。このデッキがそういったコントロール系のデッキにメタられにくくなっている要因でありつつ、単純に大型生物達の速攻アタックで爆発的な打点をたたき出すことを狙うデッキなので、そこにインスタントスピードの妨害を差し込まれないようにするための安全弁としての役割を担っているわけですね。ほんまこのハゲェ


環境初期より存在するデッキではありますが、オーコ禁止以後台頭してきたというのは冒頭に述べた通りです。
最新のレシピの特徴として挙げられるのは、≪予見のスフィンクス≫が採用されていることでしょう。

Sphinx of Foresight / 予見のスフィンクス (2)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
あなたはあなたのゲーム開始時の手札からこのカードを公開してもよい。そうしたなら、あなたの最初のアップキープの開始時に、占術3を行う。
飛行
あなたのアップキープの開始時に、占術1を行う。
4/4


初手にあれば占術3ができる、と聞くと若干電波にも聞こえますがとにかくいち早い≪創案の火≫の設置がキモとなるデッキなので少しでもデッキを掘れるカードの存在は重要です。
加えて、4マナのクリーチャーということで火の設置ターンにそのまま2アクションで置ける生物という点も重要。さりげなく4/4/4飛行にメリット能力2つと優良なマナレシオを誇り、クラリオンとのセット運用もこなせる優秀なフライヤーです。いや最近青のクリーチャーのスタッツ雑に高すぎだって。
このスフィンクスの採用に伴い、ジェスカイファイアは≪風の騎兵≫とあわせ2種の大型フライヤーが同居。地上ビートに強い「BG(r)キャットオーブン」の弱点である空中戦をしかけることができるようになった点が従来より色濃くなったのは非常に大きな点でしょう。ブン回ったときはキャットオーブン以上に手のつけようが無いデッキなので、人気のデッキです。

他方で、弱点も多いデッキです。
まず単純に≪創案の火≫への依存度が高いので、置物破壊だけで大幅な速度減退を強いられます。≪戦争の犠牲≫含め、環境に大量の置物破壊が蔓延しているのはこのデッキとキャットオーブンがトップに君臨しているからにほかありません。
採用されているクリーチャーのパンチ力が高いので、純粋なビートダウンで押し切れないこともないのですがいかんせんファイアなしでは限界があります。
除去を1発1発合わせられるだけでも結構厳しいです、そういう意味でコントロール系のデッキを大の苦手としています。従って、≪軍勢の戦親分≫や≪神秘の論争≫等対コントロール向けのサイドが多めに割かれています。

総じて、個人的にはメタゲーム的に包囲網が敷かれつつあるデッキな割りに打開策に乏しいのでやや厳しい立ち位置にあるデッキだと思っています。
今後どのように適応していくのか期待。



④クロックパーミッション系


・UGフラッシュ

シミックフラッシュ。スタンダードのクロックパーミとしては、青単の無き後代表格といえるでしょう。
M20参入以降、なんだかんだ息の長いフラッシュデッキ。エルドレインの参入で本格的にパーツが揃ってはいたものの、やはりオーコや≪夏の帳≫に泣かされていたアーキタイプの1つでした。(テフェリー?まあ元から通ったら負けだし・・・)

≪夜群れの伏兵≫・≪エリマキ神秘家≫の攻防揃った4マナ域と≪辺境地の守護者≫らによる奇襲性のある高打点は後述のURにはない魅力の1つ。
こちらもWUコントロールら同様、ジェスカイファイアーズへの対抗デッキとしての有力候補。
相手が少しでもトロければ≪塩水生まれの殺し屋≫が勝手に育って勝つゲームもままあります。

≪変容するケラトプス≫やテフェリーなどのキラーカードの存在は或る程度無視するとしても、弱点は色の関係上相変わらず除去が貧弱なこと。
そしてアクションが軽い関係上打消しに強く、地上ビートにも強いキャットオーブンとは相性がよくないです。もちろん≪厚かましい借り手≫等飛行戦力がいないわけではないし、あちらも≪戦争の犠牲≫筆頭に重いアクションもそこそこ流行し始めていますから付け入る隙が無いわけではないんですが・・・。

今後の展望やいかに。




・URフラッシュ

イゼットフラッシュ。
同じフラッシュといっても、UGとは異なり≪イオン化≫や≪ラルの発露≫採用カードを見ても「カウンターバーン」としての性質が強いデッキです。
シミックフラッシュは序盤にクロックを置いて守りきる感じですが、こちらはそういった性質を残しつつも「ある程度攻めつつグダらせて、残ったライフは火力撃ち込んで詰めにいく」イメージが強いですね。マナフラ受けとして≪老いたる者、ガドウィック≫が採用されているのもその辺に起因するでしょう、無理くり火力引きにいく的な。

相方の色が赤になったことで軽い除去が使いやすくなり、デッキの取りまわしはシミックより大幅にあがっています。特に火力でテフェリーに触りやすくなっているのが個人的に非常に好印象です。
その分カードパワーが下がっているので一長一短、特に≪夜群れの伏兵≫はフラッシュデッキを組む理由のひとつでしたからね。

こちらもデッキ相性的にはファイアーズに非常に強いです。
ただ生物がシミックより弱いので、一度騎兵クラスの大型生物が出てしまうと横にも縦にも広がりにくいのでシミックより後手に回りやすいでしょう。
キャットオーブンとの相性も微妙なライン。

フラッシュ系はTier2以下から上がってくるのは厳しそうな感じはします。


【総括】

以上長々と書き連ねましたが、とりあえずこういうことがいいたかった

・トップメタのメンツ的に、相変わらずアグロに人権ねぇから!
・地上ビートはかまど猫で止まる、空中戦不得手なBGアドベンチャーはオワコン傾向。
・ジェスカイファイア「じゃあ飛行で殴ります」
・かまど猫「ミラーとジェスカイしかいねえ!≪戦争の犠牲≫マジ安定^^」
・≪戦争の犠牲≫どころか環境はディッチャの嵐。置物割りつくしていけ。
・コントロールデッキ「ファイアーズ狩りは任せろ。猫は知らん。」
・新興デッキとしてURG願いアドベンチャー登場。メタの立ち位置やいかに。

こんな感じです。
激動のスタン、楽しんでいきましょう。


伝説を描け/Tell Your Epic Tale


最新エキスパンション、「エルドレインの王権」は2019年10月4日(金)発売!


おっす。いつもの雑感、いつもの販促です。
基本スタンダード目線、レアと神話レア中心でいつものようにやっていきまーす。


・≪呪われた狩人、ガラク≫

呪いが解けたり解けなかったりしろ。
通算6枚目になる、久々のガラク。今回も呪いデバフ継続中のため黒緑で登場。
≪情け知らずのガラク≫同様+の忠誠度能力を持たないPW。
6マナで初期忠誠度は5。

±0能力で2/2の狼トークンを2体生成。オーソドックスなトークン展開ながら、1度に2体出るので盤面構築力は高いです。さらにこのトークンが戦場を離れるとガラクの忠誠度が上昇する、実質的な+能力の仕様。

-3でキャントリップつきの≪殺害≫。シンプルに強い。欲を言えばPWにも触ってほしかったが。

-6で永続的な≪踏み荒らし≫の紋章。ガラクらしいといえばらしいが、これだけでは直接的に勝ちにならないのは6マナのPWとしてはやや物足りなく感じる。

総じて≪秘宝探求者、ヴラスカ≫クラスのカードパワーはありそうな感じですかね。色の合うミッドレンジ以降のゲームレンジでならフィニッシャー格として出番はありそう。まあPWで6マナは基本的に重すぎるのかなというのが結局のところか。



・≪王冠泥棒、オーコ≫

フェアリー系種族のPW。見た目羽生えたおっさんじゃねえか。
3マナのシミックカラーのPW。
初期忠誠度は4。
2つの+忠誠度能力を持ちます。

+2で食べ物トークンの生成。食べ物は2マナで割って3点ゲインが可能なため、この色のPWでは珍しい継続的なゲイン手段としてみることができます。硬さもある。最も、毎ターンマナをかけてゲインする動きは特定のデッキにしか強くないので、基本的にはマイナス能力への布石や他の食べ物トークンを活用するカードとのシナジーが前提でしょう。

+1で生物orアーティファクトの能力を失わせて3/3の大鹿に永続的に上書きします。≪猿術≫と≪蛙変化≫の組み合わせ的な。相手の厄介なクリーチャーを3/3にしたり、あまった食べ物トークンをクリーチャー化したりするなどの使い方になるか。

-5は自軍生物orアーティファクトと相手のパワー3以下のクリーチャーのコントロール交換。こちらも+2能力が前提になっており、食べ物トークンと引き換えに相手の小型生物を奪えるといった塩梅でしょうか。+1能力でパワー3にできるのでそことの関連も伺えなくはないですが、わざわざ3/3バニラに上書きした生物を奪うのはあまり強い動きにはならないでしょう。


盤面にこそ触れるものの、それぞれの能力を2回起動して段階的にシナジーを発揮するデザインなのでトリッキーなカードになってます。
このカード単体でも完結はしていますが、食べ物トークンの生成や相手クリーチャーのパワーを下げるカード等と併用するほうが好ましいでしょう。
特に≪金のガチョウ≫との相性がいいのはわかりやすいですね。
腐っても3マナのPWなので、可能性は感じます。


・≪王家の跡継ぎ≫

PWらしくもない名前ですが、バトルボンド初出の双子PWローアンとウィルが1枚にセットで登場。(タッグチームGXっていうのやめろ)
カードとしてはイゼットカラーの3マナPW。
初期忠誠度は5と高めで、2つの+忠誠度能力と大マイナス能力を持ちます。
要はオーコと同じ。

+1能力の片割れは単純なルーター、引いてから捨てる青タイプ。
もうひとつの+1能力はパンプアップ。対象のクリーチャーへ+2/+0修正と先制攻撃・トランプル付与。頭でっかち修正なので赤の能力。

-8で4枚ドローと手札の枚数に依存した単体火力。まあ最低でも4点、悪くは無いが別にこの奥義を目指して強いのかといわれるとそれは微妙なラインで。


全体的に能力同士の噛み合いが薄い上に効果が小さく、何を目指した運用をしたいかよくわかりません。
それぞれの能力は便利かもしれませんが、奥義目指してコントロール的運用をしようとすると赤のパンプアップが腐るので使うならビートダウンになるでしょう。この色でのビートダウンというとスタンダードでは成立しにくいように感じました。カード単位で噛み合う、という意味では≪戦慄衆の秘儀術師≫のようなスペルによるサポートを要求するタイプのカードになると思いますが。


・≪むかしむかし≫

もはや緑のカードではお馴染み、≪自然との融和≫系列のドロースペルにして話題沸騰の1枚。
元祖と比較すると1マナ重くなった代わりに、インスタント化して土地もサーチ対象に含まれるようになりました。直近のカードの挙動としては≪ビビアン・リード≫の+能力が一番近いでしょう。
加えて、というかこの能力が一番重要ですがそのゲームで自身が唱える最初のスペルであれば0マナでキャスト可能です。

既に各所で評価が出ているカードですが、スタンダードでこそ強力なカードだと思います。
土地・生物双方にアクセスできるのでマナスクリュー・マナフラッドの双方で頼りになるでしょう。0マナでキャストできる恩恵は他フォーマットよりは薄いですが、1-2マナの生物を2ターン目までに確実にキャストしやすくなるためマナカーブ上で本来かち合ってしまうことを無視できるのは小さくない利点。特にマナクリーチャーからスタートしたいものの加速先も引き込みたいランプデッキの引きムラを抑えるという意味でよくマッチしています。
総じて緑含むミッドレンジ~コントロールではよく見るカードになるでしょう、出来事を持つクリーチャーもサーチ可能なので限定的ながらスペルも探しにいけます。是非4枚抑えたい。


・≪厚かましい借り手≫

青の神話レア。
3/3/1飛行瞬速、飛行クリーチャーしかブロックできないという青にありがちなデメリットを持つフェアリー。
今回注目のメカニズム、出来事として≪分散≫相当のスペル≪些細な盗み≫を備えています。順番的には≪分散≫を唱えると、あとから本体を追放領域からキャストできるという具合。
出来事としても本体としてもそれぞれ単体では特筆するほどのカードではないのですが、これが抱き合わせとなれば話は別。とりあえず適当なクリーチャーをバウンスしても、そのまま3/1瞬速飛行がスタンバイするのであれば強い動きに感じます。
またマナコストも出来事がインスタントで2マナ、本体も瞬速で3マナとマナカーブに沿ったキャストがスムーズ。出来事解決後追放領域で待機するので、瞬速の奇襲性は損なわれていますが、相手のPWへプレッシャーをかけることができますし、そもそも必ず出来事を経由する必要はありませんしね。
以前RNAの≪成長室の守護者≫に触れた際も述べましたが、テンポが重視されがちなスタンダードではカード1枚で2ターン分の行動を担保しているのは強力です。

単体の効果は前述通り小さめなので、目を見張るほどのカードパワー!というわけではありませんが、強力なカードであることは間違いないでしょう。
これも是非4枚。


・≪砕骨の巨人≫

こちらは赤の出来事持ちクリーチャー。
本体のスペックが3/4/3と既に強力で、これに自身が呪文の対象になると誘発する本体火力もついてきます。構築ではほぼ除去しようとすると2点、の認識でいいと思います。
火力の飛ぶ先は呪文のコントローラー依存なので、自身をパンプアップしようとするとダメージを食らいますがこれをデメリットというには軽すぎますね。ほぼ3/4/3メリット能力持ちと捉えていいでしょう、流石は現代のクリーチャー。

出来事の≪踏みつけ≫は、軽減不可を付与する2マナの≪ショック≫。
獰猛を達成した≪乱撃斬≫相当の効果。
このスペックのクリーチャーに除去がついているだけでも驚きですが、軽減不可も中々かゆいところに手が届いています。一見スタンダードでは関係なさそうですが、軽減不可はターン中持続なのでこれによりプロテクションを突破可能なのは前のめりな赤いデッキには朗報でしょう。
これもよく使われると思います。



もうちょっと色々書きたいんですけど、最近記事書く余裕がなくてとりあえずこれでアップしときます。
後々追記しますんで。



久々の環境考察記事です。
いや、なんか最近の戦績報告記事が「雑に殴って勝ち」とか「上ブレが板」みたいな脳死単語羅列したクソカードゲーマーbotみたいになってんなーという気がしまして。

二度とやらんわこんなクソゲー

個人的にリクエストを頂いたので、たまには「一応ある程度考えてマジックしてます」というなけなしのインテリジェンス☆エビデンスをわちゃわちゃ書いていこうかなとか思いました。
じゃないと真面目な記事期待してクリックしてくれてる人に申し訳ないかな~みたいな。・・・の割には既に頭悪い単語しか並べてないな、大丈夫か?
まあ砕けた文体のほうが筆が乗るんで、そんな感じでお願いします。押切もえ。

で、今回書いていくのはスタンダードにおけるスケープシフトデッキ・・・まあもっと言ってしまうと≪死者の原野≫デッキがどういうデッキかという初心者向け解説に加え、今後のメタ展望と合わせてなるたけわかりやすくお話できればなと思ってます。スタン普段からやってる人には今更な話なんで、まあそういう人はブラウザバック推奨(死語)。

じゃあ以下解説~。


●デッキの概要

Field of the Dead / 死者の原野
土地
死者の原野はタップ状態で戦場に出る。
(T):(◇)を加える。
死者の原野か他の土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたが名前の異なる土地を7つ以上コントロールしている場合、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体生成する。



Scapeshift / 風景の変容 (2)(緑)(緑)
ソーサリー
望む数の土地を生け贄に捧げる。あなたのライブラリーから、その数以下の枚数の土地カードを探し、それらをタップ状態で戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。



スケープシフトデッキは≪死者の原野≫のトークン生成能力に着目したコンボデッキです。≪エルフの再生者≫や≪迂回路≫などのランパンスペルを中心に土地を伸ばし、≪死者の原野≫含む7種類以上の名前の土地を≪風景の変容≫で一度にサーチすることで大量のゾンビトークンを生成し勝利します。

まあ「ゾンビいっぱいでて勝つデッキだぞ☆」みたいな雑な認識であってることはあってるんですが、一応ゾンビが出る数について丁寧に順序だてて説明します。

・誘発条件:≪死者の原野≫含む、全ての土地カードが戦場に出たときに自分が7種類以上の名前を持つ土地をコントロールしていること。

7枚目の土地置いた時点で、7種類の土地をコントロールしてればゾンビは出ます。逆に名前がかぶってる土地を置き続けても一生ゾンビは出ません。
デッキに含まれる土地の種類を散らす必要性があるため、デッキの構築に制限が生じるカードです。


・ゾンビ算の方法:≪死者の原野≫の数×戦場に出た土地の枚数

例①:手札から≪死者の原野≫をセットし、これが7枚目かつ7種類目の土地だった場合
⇒(原野の枚数=1枚)×(戦場に出た土地の枚数=1枚)=1体

例②:≪死者の原野≫含め名前が全て異なる土地を5枚コントロールしている状態で≪迂回路≫をキャストし、7種類になるようにギルド門カードを戦場に2枚出した場合
⇒(原野の枚数=1枚)×(戦場に出た土地の枚数=2枚)=2体

例③:土地を8枚コントロールしている状態で≪風景の変容≫をキャストし、≪死者の原野≫2枚と、名前の異なる土地6種類をサーチして戦場に出した場合
⇒(原野の枚数=2枚)×(戦場に出た土地の枚数=8枚)=16体


こんな感じです。

一応できるだけわかりやすく書いたつもりだけどおもったよりぐちゃった。すまんな。要は土地8枚以上からスケシ撃たれたら人が死ぬんや、それを覚えておけばいい。

例③からもわかるように、≪風景の変容≫と併用すると20点をゆうに超える打点を確保できることから一撃必殺となります。
これを≪時を解す者、テフェリー≫の+1能力により≪風景の変容≫を瞬速でキャスト、ゾンビトークンに事実上速攻を付与しワンパンで殴り倒すことを狙うのがバントスケープシフトにおける基本戦略です。

Teferi, Time Raveler / 時を解す者、テフェリー (1)(白)(青)
伝説のプレインズウォーカー — テフェリー(Teferi)
各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。
[+1]:あなたの次のターンまで、あなたはソーサリー呪文をそれが瞬速を持っているかのように唱えてもよい。
[-3]:アーティファクトかクリーチャーかエンチャント、最大1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。カードを1枚引く。
4



簡単にまとめると、このデッキに相対したときの即死ラインは以下の通り。

即死①:≪風景の変容≫を土地8枚以上の状態でキャストされ、返しのターンでゾンビトークンに対処できない場合。

即死②:①の状況に加え、≪時を解す者、テフェリー≫の+1能力が適用されている状態で≪風景の変容≫をキャストされた場合。インスタントによる介入も一切許されない、+1能力の起動宣言は死刑宣告に等しい。


デッキの性質についてはこんな感じで。


●なんでトップメタやねん

このデッキが強力だといわれる所以について解説します。


①≪死者の原野≫への対処が難しい

今更ですが、原野は土地カードですので戦場から排除することが困難なパーマネントです。一度戦場に出てしまったら、後は条件達成するまで相手の干渉を気にせず土地を置き続ければよいという点で他のコンボデッキとは一線を画します。

スタンダードにおいて実用的な土地破壊スペルが刷られることは稀で、実際まともに≪死者の原野≫を破壊できそうなカードは現行スタンダードだと≪暗殺者の戦利品≫≪廃墟の地≫くらいです。
ゾンビトークンを全体除去等で対処しようにも、後からまた湧いてくるので対処⇒フィニッシュまでに許される時間的猶予が短く、また土地を置くだけで簡単に立て直されてしまいます。

そういった点含めて、代表的な対策カードとして挙げられるのは以下三種。

・≪軍団の最期≫
ゾンビトークンと≪ハイドロイド混成体≫に有効な同名カード一斉追放。直接的に盤面に触れるカードとしてはソーサリーといえどコストが軽く、シングルシンボルで唱えやすいため黒いデッキにおいては最も効果的な対策カードとしてメジャーに採用されます。

・≪拘留代理人≫
軍団の最期同様、ゾンビトークンを一掃できるほかPWなどのパーマネントにも触れる生きた万能除去。代わりに除去からのリスクにさらされますが、対スケープシフト用のカードとして運用するなら気になることもないでしょう。
多色クリーチャーであり戦闘向きのスペックを持ちませんが、クリーチャーであるこ点を活かした使いまわしがきくこともあり一長一短。どちらかというと遅いデッキ向け。
皮肉というか、≪時を解す者、テフェリー≫による使いまわしのシナジーと色も合うことからバントスケープシフトのミラーマッチ用カードとして採用されることの方が多いです。

・≪夢を引き裂く者、アショク≫
サーチを禁止する常在型能力により、≪風景の変容≫は勿論≪迂回路≫≪不屈の巡礼者、ゴロス≫等のランパン呪文も封じる軽量PW。起動型能力により≪死者の原野≫は勿論、「デッキの中の土地の枚数を減らす」という形で間接的にゾンビトークンが生成可能な上限数を目減りさせていく役割も兼ねます。

上記2種のカードが既に戦場に出たゾンビトークンへの対抗策であるのとは異なり、こちらはゾンビトークン生成の準備段階から妨害するカード。その性質上、ゲーム序盤に置いてこそ真価を発揮します。
逆に、ゲーム後半では≪風景の変容≫こそ止められるものの既に盤面に出てしまっているパーマネントに対して無力なため信頼性が落ちます。また≪エルフの再生者≫はサーチ禁止をすり抜けてマナ加速できたりするなど抜け穴もあるため過信はできません。


上記三種に共通して言えるのは、「スケープシフトデッキには有効だがその他のデッキに対しては微妙」という点です。あと安い。実際、スケープシフト以外のマッチアップにおけるこのカード群を見てみると

・軍団の最期⇒範囲の狭いソーサリー除去。
※一応吸血鬼などのアグロデッキには有効な局面もあるのでこの中ではマシな方吸血鬼ミラーで手札まとめてイカれて不快?そりゃそうだ

・拘留代理人⇒除去に弱い除去。

・アショク⇒論外
※最近流行の4cケシスには有効なんですが、まあ割愛



つまるところ、「スケープシフトに有効なカードはほぼ専用カード」となってしまい汎用性が低いことがわかります。対策しようとすると、他のデッキに対してのガードが下がりすぎてしまうわけですね。


②≪風景の変容≫を撃たなくても勝てる

①に関連することですが土地を置き続けてさえいればいくらでもトークンがでてくるので、いってしまえば土地及び土地を探してくるカードは全部クリーチャーカードに変わる「有効牌」です。

特にゲームスピードの遅い地上クリーチャーを中心にしたミッドレンジや、PWに勝利手段を頼ったコントロールなどの多くは≪死者の原野≫デッキにとっていいカモであり、実際そういったデッキは一時衰退を余儀なくされました。


③≪ハイドロイド混成体≫

身も蓋もありませんがいくらゾンビトークンの生産を止めるなり、あるいはゾンビトークンを一掃するなりしてもこのカードへの対処ができなければそのまま圧殺されます。パワーカードマンセーってのはこのカードのためにあるような言葉。≪ハイドロイド混成体≫しか引かないなろう系主人公みたいな人にハイドロイド⇒ハイドロイドと出されて負けた経験はスケシに限らず皆さん多いんじゃないでしょうか。

ドローを抜きにしても単純にサイズとライフゲインだけでも相当なプレッシャーになりますし、直接的な封殺手段が≪覆いを割く者、ナーセット≫のような搭載可能なデッキを選ぶカードに限られたり、≪軍団の最期≫でお願い気味の除去をするほかありません。



●勝てへんの?

このデッキへの最も有効な対策方針としては「アグロで殴る」のが一番手っ取り早いです。押切もえ。

事実バントスケープシフトが活躍した翌週から「白黒吸血鬼」が大流行、現在でもトップメタを突っ走っています。
吸血鬼デッキの対スケシにおける優秀な点は、速度の優位は勿論上記対策カードの採用が容易な点、更に≪傲慢な血王、ソリン≫や≪聖域探求者≫などの飛び道具を備えておりほぼ地上ビートのみにも関わらず止まりにくいことでしょうか。

飛び道具と速度の面でいえば、大量の火力擁する「赤単」も有効な選択肢です。
ただし、白黒吸血鬼に比べるとエスパーを筆頭に苦手とするアーキタイプが特にTier2以下に多いためややピーキーな印象を受けます。


別解としては「飛行で殴る」という方向性があります。
地上はいずれゾンビに埋め尽くされてしまうので、それを無視してビートするという考え方ですね。
該当するアーキタイプは青単や青白飛行、イゼットフェニックスなど。

ただし軽量フライヤーには≪樹上の草食獣≫、大型フライヤーには≪ハイドロイド混成体≫というほど空が手薄というデッキでもないので、吸血鬼や赤単ほどの相性差は期待できないでしょう。


●スケープシフトは進化する

さて、そんなこんなで「スケシほんとつえーなbot」としてこのデッキの強さについて解説してきたわけですが冒頭も話したとおりメタゲームの変遷に伴うこのアーキタイプのバリエーションと今後の展望について書き添えて今回は終わりにしたいと思います。


・≪不屈の巡礼者、ゴロス≫採用型

「5cスケシ」「ゴロススケシ」と呼ばれる、晴れる屋のスタンダード神決定戦以降ではバントスケープシフト以上にメジャーになりつつあるタイプ。
まず前提として吸血鬼の台頭に伴いメインから≪軍団の最期≫は勿論、≪漂流自我≫が飛んできても驚くほどのことではなくなってきた・・・即ちそれだけスケープシフトというアーキタイプが強く意識される環境になってきたという状況があり、そこから特に原野デッキのミラーマッチを想定した際に最も強いといわれているのがこのゴロス採用型。

Golos, Tireless Pilgrim / 不屈の巡礼者、ゴロス (5)
伝説のアーティファクト クリーチャー — スカウト(Scout)
不屈の巡礼者、ゴロスが戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから土地カード1枚を探し、そのカードをタップ状態で戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
(2)(白)(青)(黒)(赤)(緑):あなたのライブラリーの一番上からカードを3枚追放する。このターン、あなたはそれらをそれらのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。
3/5


前述したように「≪風景の変容≫を決めても勝てない」というシーンが頻発するようになったことから、これの枚数を減らし(もはや採用しないタイプも存在します。スケシレススケシ。)てデッキを多色化。
ゴロスの土地サーチ能力で、より確実にゾンビトークンを早期展開できるようになっています。多色化することは色事故のリスクこそありますが、より多くの種類の土地を採用できる関係上むしろ≪死者の原野≫の条件達成には好都合でもあります。占術ランドやゲインランドをたくさん積めるカスタマイズ性も地味ながらうれしい。更に、ミラー含むロングゲームで効果的なカードとして≪運命のきずな≫も搭載。これをゴロスの能力で引き当てにいくという多少強引なゲームメイクすら可能です。
サイドボードも強化されることから、現状では最も有力なスケープシフトデッキと呼んで差し支えないでしょう。



この「ゴロス+原野」セットの有用性の発見はきわめて大きいと個人的には思っていて、特にローテーション後≪風景の変容≫がなくなってもこの2枚は続投することを考えると今後も何かしらの原野デッキが開発されるのではないでしょうか。
そもそも今はスケシ決めても中々勝てないんでね~。

現行スタンの中での話をすると、既に何度も話したとおりすっかりネタバレ状態となってしまったバントスケープシフトに関してはミラーマッチ含めやや厳しい立場におかれてしまったといえるでしょう。
相変わらずの吸血鬼隆盛もありますが、赤単やエスパーも復権傾向で完全に目の敵にされている中ではネタバレ被害が最も大きいのはバントスケシかなあと思ってます。

4Cケシスのような新デッキも開発され、スタンの環境はどんどん変わっていきますね。というか、これは僕常々言ってるんですが最近のカードセットはあっという間に「攻略」されますからね。
「バントスケープシフト」がトップメタに躍り出たのなんて7月後半の話(参考:http://www.izzetmtgnews.com/archives/85252)ですよ、ほぼ1ヶ月たたないうちにもうオワコンに近づいてるなんて紙でカード買ってるこっちの身にもなってくださいよまったく。(ワイルドカードを砕いて4Cケシスを組みながら)


今回はこんな感じの砕けたふざけた解説記事になりました。
まああんまり参考にはならなかったやも知れませんが、ここまでお読みいただき感謝です。
何かあればコメントなりtwiterなり、リアルで殴りかかるなりしてください。
気が向けば加筆なり別記事なりしたためます。

以上お疲れ様でした。
ではまた次回。


先日やっとこさプラチナ帯を抜けました。
いやWAR参入後のスタンきついです。最近まじで「今期きつい」しか言ってませんが、きついですホント。
幸い(?)、PTQはモダンシーズンですので紙でスタンのカードを集める必要が薄くまた大きな大会も無いのが救いか。
とはいいつつ今月はFinals予選と南九州オープントーナメントが控えていますし、なんだかんだアリーナMCQへの参加資格取得圏内目指して頑張りたい気持ちはあるのですが現状のカードプールのスタンダードは勝てる気がしなくてどうにも。
まあ11月のMF名古屋はスタンなわけですが、それはそれ。



さて、7/2のM20先行参入後もまあ相変わらずエスパーヒーロでちびちび回しているわけですが、今回はここ一週間で見かけるようになったデッキを簡単にまとめておきたいと思います。


・スゥルタイエレメンタル

スゥルタイリアニメイトに探険・タミヨウに次ぐ墓地肥やし要員として≪茨の騎兵≫が、更に薄くなっていた3マナ圏に新たなアドバンテージ源として≪発現する浅瀬≫が加入してアップグレード。
探険⇒タミヨウ⇒騎兵と、各マナカーブでデッキを掘る動きが強化されたことで以前よりも≪戦慄衆の指揮≫へたどり着く確率が増した形。
ここ最近では一番よくあたるデッキ。

印象としてはアドバンテージが少々飽和気味で、特に加速度的にデッキを掘れる様になったことが災いして長期戦におけるライブラリアウトの危険性がやや上がっているように感じる。実際ゲーム後半にキャストされた茨の騎兵や、≪ハイドロイド混成体≫が遠因となって勝利したゲームも多数あり。
たまに≪冒涜された者、ヤロク≫が採用されているのを見ますが若干オーバーキルだと思いました。(自分のコマンドで相手のヤロクを釣り上げながら)



・ティムールエレメンタル

スゥルタイから探険パッケージはそのままに、除去色が赤に変わって≪乱動の座、オムナス≫を採用。よりエレメンタルシナジーを活かす側面が強くなったタイプのミッドレンジ。(※探険パッケージ不採用で、低マナ域もエレメンタルで固めたタイプも見ましたが流石にカードパワーが足りなさそうでした)

≪戦慄衆の指揮≫が務めていたフィニッシュ枠は同じく6マナから≪目覚めた猛火、チャンドラ≫にすんなり挿げ替えられるのもポイント。エレメンタルシナジーも一応ある。
こちらはM20実装当初3日ほどはたくさん見たのだが、ここ数日でスゥルタイに押されてきた印象。

形としてはスゥルタイとほぼ同種のデッキだが、オムナスがマナフラ受けと除去を兼ねているのでスペース的にはスゥルタイより節約が効いてる。レジェンダリーゆえの難しさもあるが。
(スゥルタイの場合はここを≪人質捕り≫にしたりもできるので、一長一短ではある。ハンデスの有無もあるし)



・赤緑恐竜

≪無法の猛竜≫の登場のお陰か、純正グルールより明らかにあたる確率が増えた部族デッキ。≪恐竜との融和≫や≪凶暴な踏みつけ≫等部族シナジー系カードが採用できるようになるのが既存のグルールとの相違点。

もっとも、≪グルールの呪文砕き≫や≪再燃するフェニックス≫も普通に採用されていたりするのでぶっちゃけよくわからない。まあ≪無法の猛竜≫は恐竜シナジーのみを意識する必要がないので理屈はわかるが。(イクサランの恐竜大概弱いし)

これはM20参入前からの傾向だが、最近は除去枠に≪ドムリの待ち伏せ≫を採用するレシピが散見される。PWへのプレッシャー重視だろうか。



新カードが目立って採用されてるのはこの3種。


・シミック(バント)ランプ 
・エスパーヒーローorエスパースーパーヒーローorエスパーコントロール

上記2種はまあ相変わらずよく見るなー程度。

・グリクシスミッドレンジ
・赤単
・白単

こいつらにはあんま当たんなくなりました。
僕がBO3ばっかやってる、というのもありますが。
今後はどうなることやら。
 『さあ、マジックをしよう!!!』


復活の基本セット第二弾、「基本セット2020」は7月12日全世界同時発売!!!



はい。
いつもの販促。いつもの雑感。

スタンダード目線でレア・神話レア中心でやっていきまーす。


・≪暁の騎兵≫

基本セットでは伝説ともいえるタイタンサイクルならぬ、ナイトサイクル。全て5マナのトリプルシンボルで、色に応じたキーワード能力とCIP・PIGを併せ持つ。

白の騎士は4/6警戒。地味。
CIPは≪過大な贈り物≫相当のトークンと引き換えの万能パーマネント破壊。ただし与えるトークンはアーティファクトのゴーレム。PWや土地にも対処できるのは器用。
※追記:土地は割れない。まああんま割ることなさそうではあるけども。失礼しました。
PIGはCMC3以下のエンチャントorアーティファクトのリアニメイト。これまた地味。CIPで自分の置物を割って釣れとでも?

全体的に中途半端な印象がぬぐえないことと、入るデッキがイマイチなさそうなのは低評価。
パーマネント破壊は優秀だが、このカード単騎での影響力に欠ける感。
一応、≪世界を揺るがす者、ニッサ≫へのプレッシャーをかけられるステータスを持つ点は評価できるか。
PIGのリアニメイトも、この色だとせいぜい≪ベナリア史≫≪ケイヤの誓い≫くらいしかぱっと思いつくものがない。そもそもこのカードを使うためにシナジーをデッキに要求するのも酷。環境に白中心色のミッドレンジデッキがないのもマイナス評価、白単には重過ぎるし多色になれば5マナ域は激戦区で白トリプルが足を引っ張りそう。ダブルストライクとかならよかったんだが。


・≪群れの力、アジャニ≫

ギデオンが死んじゃったので、白のPWの地位を独占するアジャニさん。
つっても、基本セットだと毎回アジャニいたっけ?

今回のアジャニは4マナの初期忠誠度4。

+1は自軍クリーチャーとPWの総数分のライフゲイン。ほんとライフゲイン好きだね。後述の-2とのシナジーの核を成す能力。

-2はまんま、≪アジャニの群れ仲間≫トークンを生成する。とりあえず護衛だせるだけ及第か。

最後の0能力は事実上の奥義。アジャニ自身と相手のクリーチャーとアーティファクトを全て追放する。起動条件は初期ライフより15点以上のライフを得ていること。起動条件の厳しさと自身を犠牲にする割りに土地はおろかPWもエンチャも持っていけない、おいしっかりしろよ一応奥義だろ。


アジャニの群れ仲間というカードが単純にシナジーありきなので、このカードも必然ライフゲインの多いデッキに組み込まれるでしょう。赤単筆頭に高速アグロをわからせるにはまあいいPWかなとは思いますが、それ以外がちょっと。
構築でお呼びがかかるかはかなり微妙な感じ。せめて奥義はもうちょい強けりゃなあ。


・≪天空の剣、セファラ≫

7/7/7、飛行絆魂の大型天使。派手な見た目に反してレアリティは普通のレア。
自身以外の飛行クリーチャーに破壊不能を付与、更に飛行クリーチャー4体のタップと白1マナでキャストできる代替コストを持つ。

条件がどうであれ、このサイズの飛行クロックが1マナでキャストできるのは流石に破格。飛行クリーチャーを1⇒2⇒3と並べていくデッキでの運用も不可能ではないが、それならそいつらでさっさ殴れやという話になるのでやはり飛行トークンを生成できるような中速気味デッキでの運用が望ましいか。
出てしまえばラスゴでの壊滅も防げるので、噛み合っているといえば噛み合っている。

何かしら工夫して使ってみたい1枚。


・≪風の騎兵≫

ナイトサイクルの青、サイズは5/5飛行。
なんか最近青のクリーチャー屈強すぎませんかね。

CIPはブレスト、PIGは自身をデッキに戻してシャッフルの後占術2。
「ブレストでドローロックかかるけど、このサイズの飛行は無視できまい。だが除去れば俺はシャッフルした上で更なる回答を探しにいくぞ。ふふふ」みたいな開発者メッセージが聞こえてくる。
・・・そんなに強いかそれ?

まあ兎にも角にも5/5飛行のガチムチボディは確かに無視はできず、CIPブレストはおよそ1.5アド相当と考えてもいいはずなのでコストパフォーマンス的には神話レアの威厳をギリギリ保っているようには見える。何かしらの使いどころは見いだせそう。
ただこれを使うデッキは?と聞かれると返答に困るところ。ここら辺の悩みは白の騎士と同じ。


・≪空の踊り手、ムー・ヤンリン≫

中国国内限定PWデッキ初出の、新たな青の3マナPW。
「鳥」と「島」がややこしすぎると全国の老眼を泣かせたことでも有名(いや普通気付くやろ)
初期忠誠度は2。

+2能力は対象のクリーチャーへの-2/-0修正。青によくある弱体化能力だが、対象の飛行を失わせる点が優秀。

-3能力は4/4飛行「鳥」トークンの生成。デカイし強いが、初期忠誠度からはこの能力が使えないので即効性は無い。

-8能力は自分の全ての「島」にタップでのドロー能力を与える。即座に勝ちとはいえず、事実上マナのかかる能力だが流石に起動すればいずれは勝つレベルの能力。
ナーセットは勘弁な!

青の3マナPWとしてはナーセット・テフェリーが既に2大巨頭だがそこに充分切り込んでいけるスペックはあるかなという印象。
先輩2種がどちらかというと対コントロール性能に優れているのに対しこちらは対ビート性能に優れる。サイドボード含めた併用も充分検討できそう。是非抑えておきたい。


・≪物語の終わり≫

伝説の呪文も打ち消せるようになった≪もみ消し≫。
PWが起動型能力を持つ伝説のパーマネントであることを考えれば、対PWに特化した打消呪文と解釈することもできるか。ついでに伝説のクリーチャーやソーサリー等も打ち消せる。なお英雄譚は伝説ではないので打ち消せません。

スタンダードではもみ消しの亜種は得てして弱いというのが通説だがこれだけPWの蔓延する環境なら流石に出番があるか?
ただ、PWの能力などは打ち消したところで結局どかす必要があるので、いずれにせよという感は否めず。そもそもカウンターがオワコンな風潮の中、このカードがどこまでやれるか。


・≪傲慢な血王、ソリン≫

久々の黒単色ソリン。
今回は3マナで登場。ナヒリさんと決着はついたんすかね。

+1で自軍クリーチャー1体に接死と絆魂付与。それが吸血鬼なら+1+/1カウンターを配置。強いキーワードの組み合わせなので部族一致無しでもまあまあか。ただし相手ターンまでは持続しないので、アタックを通す目的でしか使用できない。

もうひとつの+1は吸血鬼1体のサクリファイスを要求する≪稲妻のらせん≫。ボードを失うのは痛いが、能力自体の使い勝手は歴史が証明済み。いや、まあドレイン火力は黒のカラーパイなんですけどね一応。いかんせん代表的なカードがらせんだからね。

-3で手札から吸血鬼を踏み倒す。重い吸血鬼とかいたか?と思って調べたらドミナリアのアンコからカザロフ、RNAのBOXプロモから≪高塔の憑依者≫とかでてきて笑ってしまった。

まあ見た目どおり部族シナジーに寄ったPWとしての運用が前提に見える。
-3能力の使いどころが限られすぎているように感じるので、基本はアグロ運用になるでしょう。WARのソリンとの相性もまあまあ。
吸血鬼の復権・・・あるかなあ?


・≪夜の騎兵≫

騎兵サイクルの黒は4/5絆魂。タフ5が優秀。
CIPは≪灯の収穫≫相当の自軍クリーチャー生贄による生物PW破壊。自身はサクれないが、PWにも触れるのは白同様優秀。
※追記:クリーチャーのみ。…なんか一気に弱く感じるな。
PIGは3マナ以下の生物をリアニメイト。CIPと噛み合っていて、かつこいつを失ったボードを立て直せる足がかりになる。3マナ以下というのはやや条件が狭く感じるがまあ優秀。

全体的に満点の優等生。CIPで脅威に確実に対処し、ライフリンクのお陰で戦場での存在感が強く対処を迫るが、PIGがその除去を牽制している綺麗な1枚完結。
個人的にはサイクルでも際立って優秀に感じる。
連打しても悪くない能力なので、複数枚の投入もしやすく、ゴルガリミッドレンジのような探険パッケージ搭載のミッドレンジとの相性はよさそう。≪虐殺少女≫も構築での採用実績があるわけだし、こいつもワンチャンか?


・≪朽ちゆくレギサウルス≫

3/7/6という脅威のマナレシオで話題になった恐竜・ゾンビ。
アップキープコストに手札1枚を要求するがそこは現代のクリーチャー、手札は捨てられなくてもちゃんと生き残ってくれる。

肝心の性能としてはまあ、このテのクリーチャーにはありがちな「白・黒の除去をもらわなければ強い」の1点に尽きる。
テフェリーのバウンスでお茶を濁される程度ならまあまだいいが、アップキープに≪喪心≫≪暴君の嘲笑≫とか飛んでくると目も当てられない。こちらもお決まりだが、トークン戦術にも弱い。
他方、タフ6の暴力は点数除去に頼る赤には辛いカード。赤単は3-4とこれを二連打されると投了するのではないだろうか。ハンドはなくなるが。
幸い軽量・連打が効くので思い切ってストンピィのように振舞うデッキを作るのはアリだろう、一応部族シナジーも受けやすい立場にはあるが流石にそこまで期待するのは苦しいか。



・≪炎の騎兵≫

ナイトサイクルの赤。
サイズは6/5、単純なマナレシオではサイクル随一か。
サイクル中キーワード能力を唯一持たないが代わりに自軍全員へのブレス能力を持ち、更に起動するたびに速攻も付与される。
自身に速攻を持たせようと考えると実質7マナである。重い。

CIPは枚数が任意の捨ててから引くルーティング。こいつを出せる頃にハンドがあまっているとは思えないが・・・。
PIGは自身の墓地の土地の枚数を参照する火力。相手プレイヤーと相手の全PWに飛ぶ。

なんか全体的に噛み合ってないように感じる。
要は「マナフラッドを起こすような赤のミッドレンジで使え」というデザインなのだろうが、その割りには並べて殴ることで真価を発揮する全体ブレス。ハンドに土地が貯まっているほどうれしいルーティングとPIG火力はランプ向けの能力。
マナクリでの加速が基本のご時勢なので、ランパン系デッキを組むのは些か苦しい。パワー6の打撃力を活かしたいが、グルールにこいつを入れる隙間があるかというと怪しいだろう。


・≪目覚めた猛火、チャンドラ≫

今回のセットの顔。
実際すごい顔してるしな。
6マナの初期忠誠度は6。

WARに引き続き、常在型能力として「打ち消されない」を搭載する殺意の高さ。

+2能力は「アップキープに1点」の紋章を押し付ける。紋章をバシバシ献上するという新しいタイプの能力でこのカードの中核。
事実上、「盤面を固定できれば勝ち」につながるため打ち消されない特性とあわせてロングゲームデッキキラーとしての性質が強い。

-3能力は全体3点火力。ただしエレメンタルには当たらない。構築でメジャーなエレメンタルが出てくるかどうかしだいにはなるが、概ねラスとして運用はできるだろう。自衛能力としては強力な部類。

-Xは上とは逆に単体火力。プレイヤーには飛ばせないが、PWに飛ばせるのでボード制圧向け。出してすぐに+から入ったテフェリーを焼いてこいつが盤面に残るあたり露骨な調整が見てとれる。
この火力で死んだパーマネントは追放のオマケつき、まああるにこしたことはないおまけ。

総じてロングゲーム志向のデッキのフィニッシャー適性が高い1枚。
ニヴミゼットに代わってこいつを最後に据えたジェスカイコンとかやってみるか?


・≪発火の力戦≫

スタンでは久々の力戦。
赤と緑のみ新カード。

今回の赤力戦は自軍パーマネントが対象になると誘発する2点火力。
はい。

特にいうことはないです。
≪形成師の聖域≫ってカードがどんくらい使われたか知ってます?


・≪茨の騎兵≫

緑のナイトは5/5/6トランプル
追記:到達でした。おいもっと弱くなったぞふざけんな。
5/6/6でもよかったんちゃう?
というかトリシンなんだから5/7/6くらいあっても俺はもう驚かなかったよ。

CIPはトップ5枚からのランパン。いや5⇒7って加速してもなあ・・・。
PIGは自身の追放と引き換えの≪新たな芽吹き≫。まんま≪ムラーサの緑守り≫である。5/5/6は除去するのも困難なので、まあPIGが強いのはいいかなと思うけど。

とかくCIPが弱すぎて涙が出てくる。見る枚数は同じでいいから二枚出してもよかったのではなかろうか。


・≪アーク弓のレインジャー、ビビアン≫

おいガラクどこいった。
今回のビビアンは4マナでトリプルシンボル。
初期忠誠度は4。

+1能力は強化版≪エルフの儀式≫。+1/+1カウンターの配置にトランプルのおまけつき。パンチ力の上がり幅がでかいので、爆発力のある能力。

-3はPWにも飛ぶ一方格闘。RNAのグルール分割レア、≪強撃≫そのまんま。
PWにも触れるのは緑にとってはありがたい能力。ただ忠誠度の下がり幅が大きい上フィズるリスクは相変わらず。

-5はクリーチャー限定の「願い」。サイドボードから任意のクリーチャーをサーチできる。盤面支配力の強いトンデモカードをもってこれるくらいの勢いがないと運用は厳しいか。


基本的に+1が強いので、トリシン含めいつものごとく殴り重視の緑で使ってくださいのわかりやすいデザイン。願いはよくわからない。どうせなら2枚もってきてもよk(ry


・≪変容するケラトプス≫

4/5/4、打ち消されないプロ青となんだか往年の色対策カードみたいな青ヘイトカード。贅沢を言うなら4/4/5がよかったが対青カードとしては4パンで終わらせるパワー5の方が魅力的か。

ついでに、緑1マナで警戒・速攻・トランプルから好きな能力を付与できる豪華3点セット。

≪殺戮の暴君≫の後釜、といった体なのだろう。
あちらと違い除去耐性がプロ青のみなのはやや引っかかるが打ち消し主体のデッキには勿論効果的。もっとも打ち消しが下火な現環境ではやや微妙か。
まあ色対策の面を抜きにしても単純なマナレシオで優れているので使われることはまあ間違いないでしょう。
緑のビートダウンにはメインはともかくサイドには是非1枚。




※一部記載内容に間違いがありました。大変申し訳ございません。

一応、環境考察とは銘打ったが割と雑多な自分用覚書。
あんまり人様に見せるようなものでもないけど、地元含めコミュニティと意見かわす時に僕の認識をある程度共有できるんなら共有しといた方がいいかなと文字に起こしただけ。

あんまり丁寧にまとめるつもりはないので読みにくい記事になること請け合い。
特に推敲もせずだらだら下へ書き連ねるので、まあお暇な人はお付き合いあれ。


○(イクサラン~灯争大戦期)スタンダード環境認識

直近のスタンダードと比べ非常にアーキタイプが多く、デッキ同士の相性差が激しい。
全体的な傾向としてどんだけざっくり分けても5タイプくらいになってしまう。

①単色アグロ:赤単、白単
②多色ミッドレンジ:エスパー、グルール、バント、グリクシス
③フレンズ:ジェスカイ、エスパー、スゥルタイ(4c)リアニ
④マナランプ:シミックネクサス、シミックシーフ
⑤コンボ:イゼットフェニックス、ボロスフェザー



○環境定義要素について

・環境定義カードの1枚として≪時を解す者、テフェリー≫の台頭が著しく、RNA期までに活躍した「≪荒野の再生≫型シミックネクサス」や「エスパーコントロール」などインスタントスピードでの動きを重視した従来型のデッキは大きく弱体化。その能力特性上(カードゲーム全体としその傾向が強いとはいえ)CIP・速攻を持たない3マナ↑のクリーチャー・インスタントスペルの需要も大幅に低下。
特に≪吸収≫≪悪意ある妨害≫のような重めの確定カウンターはほぼオワコン傾向。アドバンテージ獲得を一方的に咎める≪覆いを割くもの、ナーセット≫の存在とあわせ、従来のオーソドックスな形のコントロールデッキは環境から姿を消した。

ちなみにそんな中≪エリマキ神秘家≫はRNA期より採用率がむしろ上昇しており筆者としては目をひん剥くばかりである。

・ソーサリータイミングでの大きなアクションが肯定されるようになったため、マナランプ系デッキの価値も上昇。特に≪世界を揺るがす者、ニッサ≫の爆発的マナ加速力とすばやいボードの制圧力の評価は高く、緑の5マナ圏として今までの定番だった≪ビビアン・リード≫を押しのけて採用されるケースが増えてきた。

・単色系デッキはそういった初速の遅いデッキを咎める立場として環境でのポジションを維持。特に赤単はPWへの圧力が強いことからメタに定着。


・環境全体としてPWの採用率がもれなく高く、軽めのコストでPWに触れるカードやコントロール奪取系スペルの需要がアップ。一見汎用性という観点で見れば使いにくいはずの≪古呪≫や≪集団強制≫の評価が高いのもこの環境ならでは。また-能力しか持たないPWの存在や、ソーサリータイミングでの動きが増加するに比例し、重いPWでも-能力から起動するシーンが増えたことから≪ショック≫が1マナの除去スペルとして非常に高い汎用性を持つに至ったのも面白い特徴。


○各アーキタイプについて

①単色アグロ

・赤単・・・≪炎の職工、チャンドラ≫という2種目の≪実験の狂乱≫枠を手に入れたことと、念願のライフゲイン禁止≪無頼な扇動者、ティボルト≫がサイドボードに加入した以外に目立った変化はないが、PWが多用されるという環境そのものが追い風となり安定のメタ上位。弱点も相変わらずで例によって≪野茂み歩き≫を筆頭にした探険パッケージや、≪聖堂の鐘突き≫≪ケイヤの誓い≫≪永遠神の投入≫とあらゆるミッドレンジにライフゲインとタフ4が溢れかえっており割と包囲網形成され気味ではあるが・・・なんだかんだ息は長い。


・白単・・・タッチ青の所謂「アゾリウスウィニー」が主流、環境初期こそテフェリーを採用することでネクサスデッキへの耐性を得たことが強みとなったが現状メインターゲットが下火なこともあってか赤単ほどの隆盛は見られない。



②多色ミッドレンジ

・グルール・・・現状環境筆頭候補のミッドレンジ。特に日本国内やMTGAでの活躍が記憶に新しい。従来型のコントロールデッキが事実上メタから消失し、ラスゴを撃たれなくなったことや≪グルールの呪文砕き≫を中心にした速攻・軽量・高パワーの三拍子がPW戦略に強いことから台頭。赤単や各種ミッドレンジに対してもタフ4軍団のごり押しによりクリーチャーをせきとめ、強力な飛行クリーチャーで反撃するプランが強力なほかPWも搭載されておりアドバンテージ面でも中々負けない見た目より多角的なデッキ。サイドボードには定番の≪燃えがら蔦≫に最近では最終兵器≪不滅の太陽≫の姿もよくみられるように。
環境初期は≪主なき者、サルカン≫を中心にPWを多く搭載したタイプが流行だったが、現状ではクリーチャーを多く採用したアグロ寄りが主流。
弱点は勿論ラスゴ。


・エスパー・・・グルールとは逆に、環境初期から現在まで安定して結果を残す青いミッドレンジの筆頭。≪第一管区の勇士≫をフル投入した「エスパーヒーロー」が主流なタイプ。振る舞いとしてはテンポデッキやクロックパーミッションに近い。
カウンターが下火となった今、干渉手段として現状最高級ともいえる≪思考消去≫から≪正気泥棒≫に2種類のテフェリーなどパワーカードを定着させるコンセプトは一貫して強力。ただ、低マナ域の盤面干渉力が低く単純なアグロに押し切られたり3マナPWに居座られてしまうパターンも多いほか、メインクロック2種に除去耐性が無いのが弱点。マナクリ・探険・キャントリップなどもないため能動的に手札・マナベースを整える手段に乏しく事故率も高い。
PWを多く搭載し、フレンズのように振舞うタップアウトコントロールタイプも登場している。



③フレンズ


・スゥルタイ(4C)リアニ・・・探険パッケージで墓地肥やしを行いつつライフを担保し、≪戦慄衆の指揮≫で圧倒的アドバンテージを得るコンボデッキとしての側面を持つフレンズデッキ。個人的に≪伝承収集者、タミヨウ≫の性質を最もよく理解し作成されたデッキだと感じる。
リアニ要素を抜きにしても普通のフレンズとして振る舞えるのでアドバンテージ負けしにくく、≪野茂み歩き≫によるライフ回復で単純なビートダウンも御しやすい。
除去が薄いデッキには探険クリーチャーで能動的に攻めることもできるのは以前のスゥルタイと変わらない。総じて爆発力の割に安定感も兼ね備えたデッキだが、4Cの流行時にはマナベースの脆弱性を「ゴルガリランデス」に突かれ、現在ではある程度基本土地を採用したりスゥルタイに色を絞るのが主流。


・ジェスカイフレンズ・・・おそらくフレンズとしては最初期に流行したタイプのコントロール型フレンズ。≪ショック≫や≪呪文貫き≫、≪轟音のクラリオン≫で相手の低マナ域を捌くことに長けているほか、≪モックス・アンバー≫によるマナ加速も取り入れていることもありフレンズというアーキタイプ特有のもっさり感はあまりない。
多数のPWを並べた後≪主なき者、サルカン≫でフィニッシュするのがメインパターン、≪ウルザの後継、カーン≫と≪崇高な工匠、サヒーリ≫の相互シナジーからトークンで殴り倒すタイプも存在する。サイドボードには≪軍勢の戦親分≫も搭載されておりフレンズミラーでもアグレッシブな戦術シフトが可能。
こちらもやはりマナベース面が脆弱で、≪廃墟の地≫にわからされるリスクが高い。



④マナランプ

・シミックネクサス・・・≪伝承収集者、タミヨウ≫の加入により大幅強化が期待されたもののテフェリーの台頭が非常に苦しく環境初期の活躍以降は鳴かず飛ばず。
現状では研究が進み≪世界を揺るがすもの、ニッサ≫というカードの強さが広く認知され、マナ加速から≪ハイドロイド混成体≫≪生体性軟泥≫等のクリーチャーをある程度採用した上で≪運命のきずな≫につなげるという、RNA期までのプランと今までのサイドプランを折半したようなデッキが活躍。マナ加速をニッサに任せ、≪荒野の再生≫は今や採用されていないことも多い。


・シミックシーフ・・・大量のマナクリーチャーとニッサから溢れるマナで≪ハイドロイド混成体≫・・・だけでなくなんとメインにフル投入された≪幻惑の旋律≫と≪集団強制≫に繋げるという慮外のコンマジデッキ。初めてデッキ見たときはたまげた。その圧倒的アドバンテージで多くのミッドレンジ・フレンズデッキをカモにしうるポテンシャルからMTGAを中心に流行している。
カウンターが少なく、ソーサリーでの大きなアクションが咎められにくい現環境を象徴するようなデッキ。マナクリへの依存度が高いため、当然≪ゴブリンの鎖回し≫及び多数の火力を擁する赤単には弱い。



⑤コンボ

・イゼットフェニックス・・・GRN環境以来の古株デッキが≪約束の終焉≫の加入により≪弧光のフェニックス≫の実用性が大幅に上がり強化された。その制約上、≪発見+発散≫よりも≪苦しめる声≫が優先的に採用されるようになっている。
他方、その≪約束の終焉≫を封じてしまう3マナテフェリーの存在とドロースペルを連打するデッキの性格を根幹から否定する≪覆いを割く者、ナーセット≫の存在がガン。これらを手早く落とせるよう、≪稲妻の一撃≫を多めに採用した形が主流。
また、筆者イチオシの≪永遠神、ケフネト≫の採用率が最も高いデッキでもある。


・ボロスフェザー・・・≪贖いし者、フェザー≫の能力をフィーチャーしたコンボデッキ。≪第10管区の軍団兵≫と合わせて、シナジーを重視したボロスアグロの体裁をなす。その性質上、テーロス期スタンダードで活躍した「ヒロイックビートダウン」に近い。古い分類をするなら撹乱的アグロとでも言うべきだが、アドバンテージの獲得を目指すアグロデッキということでコンボに分類させてもらった。
≪無謀な怒り≫や≪果敢な一撃≫等、中々構築ではお目にかかれないカード群がシナジー重視で多く積まれており軍団兵を育てたり、フェザーでこれを使いまわすことで対処の難しいクロック形成を行う。
ただし単体のカードパワーは当然低く、かつ肝心のシナジーの中心を成すのがクリーチャーであるため除去には勿論弱い。ボロスカラーではクリーチャーを守るカードが少ないのも難点。どちらのクロックもサイズには恵まれているため火力除去は多少マシだが、白・黒の除去が環境にどれほどあるかに評価が分かれるところか。



「最後の戦いを目撃せよ/Be there when it ends」

ラヴニカ三部作最終章、「灯争大戦」は5/3(金)世界同時発売!





はい、いつもの販促といつもの雑感です。

レア・神話レア中心にやっていきまーす。

特に言及ない限り基本スタンダード目線で。







・≪時を解す者、テフェリー≫

期待と話題の新テフェリー。3マナと軽量ながら、初期忠誠度は4と高め。今回はレア枠で収録するためか、前評判の割に値段は抑えめか。

+1は次の自ターンまでソーサリーへ瞬速を付与。キャントリップのない代わり、手札のソーサリー全てをインスタント化できる≪急かし≫。ハンデス・ラスゴをインスタント化して撃つのは中々インパクトがあります。

-3はクリーチャー・エンチャント・アーティファクトへの≪排撃≫。盤面に触れてカードが引けて、とバウンスであることを差し引いても自衛能力としては使いやすい部類の能力。

「灯争大戦」収録のPWの特徴として、奥義を持たない代わりに常在型能力を持っています。これに加えて忠誠度能力はアンコでマイナス能力のみ、レアはプラスマイナスを併せ持ち、神話レアとなれば奥義までついてくるというレアリティ格差。



このテフェリーの常在型能力は対戦相手のインスタントタイミングでのスペルキャストの禁止。初代クリーチャー時のテフェリーとほぼ同じ拘束能力ですね、PWとなったので若干使用感は異なるでしょうが。

≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫が非常に強力だったこともありこのテフェリーにも大きな期待(あるいは危惧?) を抱く声が多く見られます。
個人的な意見としては、「強力ではあるが、やや過大評価に感じる声が多い」といったところ。

第一に気にしなければならないのは、奥義を持たないPWなのでこれ単体では勝利に結びつかないこと。またプラス能力は他のカードに依存する能力・・・総じて「単体ではほぼ何もしない」カードである点には留意が必要です。常在型能力も、インスタントスペルの採用率が低い愚直なビートダウンにはバニラ同然なためやや尖りすぎなきらいを感じます。

一方でコントロールミラーや、青単のようなクロックパーミッション等刺さるマッチアップでの刺さり方はえげつないため、そういったマッチアップを意識するのであれば出番は必至といえそうです。今エキパンション収録のPWの多くに言えることですが「主に常在型能力を目当てに採用、ついで程度にアドがとれればOK」みたいな運用が想定されます。サイドボード向きにも感じますね。

一応、刺さらないマッチアップにおいてもマイナス能力のバウンスでお茶を濁して退場できる等最低限の汎用性は備えておりメインデッキからの投入も充分検討できるでしょう。ただ、5マナテフェリーのようにデッキの主軸にすえて構築するほどのカードではないと思います。


・≪龍神、ニコル・ボーラス≫

永遠のラスボスが5回目のカード化。もちろん神話レア。
今回は5マナとそこそこ軽めながら、青黒黒黒赤という突飛な色拘束が目を引きます。ミゼットでも意識した?初期忠誠度は4。

+1はアモンケットの「責め苦」サイクルに似通った、ディスカードorサクリファイスを迫る締め上げ効果とキャントリップ。一見地味なことしか書いていないようでいて、実は1度にカード2枚分のアド差をつけるとんでもない能力。同種のPWと比べても、プラスするごとに開いていくアド差の面で一線を画しています。相手が切ったカードは追放されるなど至れりつくせり。

-3は≪英雄の破滅≫。PWが盤面に触れる能力としては癖が無く使いやすい強力な自衛能力。

-8は伝説のPW・クリーチャーをコントロールしていない対戦相手の強制敗北。PWの奥義にありがちな「事実上勝ち」すら生ぬるい、直接的にゲームを終了させる能力。プラス能力を連打できている時点で、相手の場にPWはおろかロクにリソースがあるとは考えにくく、除去が得意な自身のカラーリングともかみ合う強力な奥義といえるでしょう。


以上の豪華な能力3点セットに加えて、「戦場の全てのPWの忠誠度能力を得る」という非常に特異な常在型能力も備えます。ボーラスの全能性というフレーバーを能力化したものでしょう。相手・自分問わず全てのPWの能力を起動することができます。

ただ、自身の能力が普通に強いので他のPWの能力を使う機会はあまりなさそうです。相手のPWがいたとして、自身の-3で対処できてしまうのも一因。せいぜい、奥義のターンを早めるために「+2」を持つPWの能力をパクる程度か。
ちなみに他のPWの常在型能力はまでは流石にパクれません。念のため。

と、ここまでベタ褒めした通り非常に強力なカードであることは疑いないと思いますが、やはり懸念は色拘束。
特に黒トリプルは重く、三色要求も相まってやはり先代ボーラス共々併用する専用デッキを作ることになりそうです。無論それを加味しても、これを主軸にデッキを作る価値のあるカードだと感じます。初動からお値段がぐんぐんグルトですが、抑えておきたいところ。


・《復讐に燃えた血王、ソリン》

なんやかんや石から出てこれたソリンさん、案の定ボーラスのことなんざほっぽってブチギレ案件の模様。
4マナで初期忠誠度は4。

そんなブチギレ様とは裏腹に(むしろなのか?)、彼の常在型能力は自ターン中自軍クリーチャーとPW全員にライフリンクを付与するというもの。デッキにもよりますがすさまじい勢いでライフレースが壊れかねない、見た目以上に強い能力。

+2能力はプレイヤーorPWへの1点火力。常在型能力は自身にも及ぶので、一応1点のドレインとなっています。あっからさまにショボイ能力ですが、上がり幅が高く、-能力の融通性を考えると仕方ないか。多少PWに触れるだけでもマシ。

-Xで、コストXのクリーチャーをリアニメイト。出してすぐ最大4マナのクリーチャーまで呼び出せますが、強力な常在型能力を活かすためにもやはり3マナ圏のクリーチャーが狙い目でしょう。やや工夫は必要ですが、個人的には《輝かしい天使》と組みあわせて使ってみたいですね。

色がビートダウン向きではない、という欠点はやや気になりますがライフリンク付与はやはり何がしか可能性を感じます。


・《黒き剣のギデオン》

前回に引き続き、3マナのPWとして登場し早くも死亡が確定してしまった生きる死亡フラグ。フラグが実現した。

いつものクリーチャー化能力を、今回は常在型能力として搭載。
サイズは4/4、例によって破壊不能・ダメージ軽減がついてますが常在化したおかげで自ターン中はほぼ完全無敵に。初期忠誠度も4と固く、既に強そうな臭いがプンプン。

+1は自軍のクリーチャー1体へ警戒or破壊不能or絆魂を付与。
ギデオンへの殴り返しを防ぐ警戒、クリーチャー同士の交換を優位進める破壊不能、戦場ががら空きでもとりあえず絆魂とビートダウンに必要な要素は取り揃えており+能力としては充分なラインナップ。
ただし、ギデオン自身を対象にすることができないため真価を発揮するにはアグレッシブなビートダウンで採用が必至。

-6はノンランドパーマネントの追放。消費値が大きいものの序盤から殴っていけば必然忠誠値は溜まっていく一方なので、一度は使用できる目算は高そう。
しっかり打点を稼ぎ、後詰めの道を切り開く能力としては有用。

全体的にハイスペックですが、+1能力の仕様上前のめりなデッキでの運用が前提で今までのギデオンに比べるとやや汎用性には欠けるイメージ。
素直に白単で使おうとすると、3マナ域は結構激戦区なのでそこにどれだけ入っていけるかは結構楽しみですね。



・《永遠神オケチラ》

アモンケットの神々が一柱、「永遠神」サイクルとしてゾンビ化し復活。
今回は永遠衆化したためか、破壊不能ではなくライブラリの3番目を戻るという形で不死を体現。戦場からであれば破壊はおろか、追放でもライブラリへ帰っていくという恐ろしい執念。

白の永遠神、オケチラのスペックは5/3/6ダブルストライク。
加えて、クリーチャーをキャストするたびにトークンを生産します。
トークンのサイズは4/4・・・4/4!?

事実上5/6/6サイズの除去耐性持ちが、4/4を量産しながら殴ってくる。
何を言ってるのかわからねーと思うが、俺にも何を(ry

かつての《スカラベの神》をよりビートダウン向けにしたような能力で、盤面の制圧力の高さは容易に想像がつきます。あちらと同様、「ターンが帰ってきたら概ね勝ちに傾く」くらいのスペックはありそう。この色のミッドレンジ、というとあまり現環境でめぼしいデッキが思いつきませんが流石に何かしらデッキが組まれそう。


・《永遠神ケフネト》

青の永遠神、ケフネトは4/5飛行。
何故かサイクル中、これのみ4マナ。
永遠神共通の不死能力も勿論備えており、この時点で既にスペックは充分なのですが。

能力は各ターン最初にドローしたカードがインスタントorソーサリーであればそれを無色2マナ分コストを軽減した上でそのコピーを唱えてもよい、というもの。「コピーを唱える」のがミソで、実はハンドに加わったコピー元はそのまま手札に残るという非常にアドバンテージ面に優れる能力。

4/4/5飛行除去耐性持ちで、何故かアドバンテージ能力まで備えている不思議な生物。マナコスト刷り間違えたんじゃないだろうな?
4マナと軽い分アドバンテージ能力は確実性に欠け、「ターン帰ってくれば勝ち」クラスの制圧力はありませんが、コントロールデッキのフィニッシャーとしての格は充分でしょう。4枚買いです。



・《永遠神バントゥ》

黒の永遠神は、5/5/6威迫。
ETB能力として、自軍パーマネントを任意の枚数サクリファイスしてその枚数分のドローができるというもの。

ひっじょーに使いにくい。
このテの能力としては土地をサクれるのはそこそこ融通が利いているのですが、いかんせんこれを出した後の盤面がスカスカになるのはいただけない。一応マナフラには強いけども・・・。
せめてもう少しスタッツが優れているか、ライフリンクでももってればよかったんですが。



・《猪の祟神、イルハグ》

赤の永遠神は・・・ってあれ?こいつゾンビじゃないじゃん!
どうやらグルールにはモノホンのオットコヌシ様がいた模様、まあハゾレトの枠なわけですから赤の神は特別ですよね。

気になるスペックは5/6/6トランプル。でけー。
除去耐性は永遠神サイクルと共通。

固有能力は、アタック時に手札からクリーチャーを攻撃している状態で戦場に踏み倒すというもの。既存のカードでは《巨大なるカーリア》に近い挙動ですが、出したクリーチャーはターン終了時に手札に戻ってしまいます。

個人的には単純に素のスペックが優秀とはいえ、能力のほうは正直ややオーバーキル気味かなーと思います。能力を真に活かそうとすれば、《野生の律動》あたりの速攻付与によるサポートが必要になってきそうです。実際に使われるどうかは微妙なところ。

ちなみ後述するロナスを手札から叩きつけると17点入るぞ!
やっぱオーバーキルじゃん?


・《永遠神ロナス》

緑の永遠神は5/5/5接死。
おい、赤にサイズ負けてんじゃねーかもっとがんばれ。

能力はETBで自身以外の自軍生物全員のパワーを倍化し、警戒を付与。
インパクトのある能力ですが、実はタフネスがあがってくれないので見た目ほど戦闘での優位は得られないのでは?という疑惑が。
また、ある程度クリーチャーの頭数が必要=出すまでに下準備が必要という意味で単独でのパフォーマンスに欠け、黒のバントゥと同じ悩みを抱えています。その割りにリターンがあまりつりあってるようには思えず、やや中途半端。

あんまり使われなさそうだなあ、という感想。




今回はひとまずここまで。
気になるカードが非常に多いので、そのうち追記したいと思います。
リクエスト等あればコメントかtwitterまでどーぞ。
ではまた次回。




(4/29 追記)

・《永遠の終焉》

Xの値が10を超えると爆発的な能力が追加される「終焉」Xコストソーサリーサイクルの黒。
タフネスX以下の生物を最大3体破壊。
Xが10を超えることによるボーナスは自身の墓地からすべてのクリーチャーのリアニメイト。

まあサイクル通じてXが10↑で唱える機会はそうないでしょうから、そのボーナスについてはほぼオマケ程度にとらえてよいでしょう。
肝心の効果としては、Xの値が小さくても効果が期待できることから対アグロデッキ用のカードとして期待できると感じています。
X=1で2体以上破壊できれば充分、Xが2~3程度でも標準的なラスゴとして機能するなら黒い除去コンには使いやすい部類ではないでしょうか。
個人的には期待値の高いカードです、白いラスゴで事足りるのでエスパーでは使いでがないでしょうが、それこそ流行りそうなグリコン辺りには採用できそう。



・《破滅の終焉》

緑の終焉はライブラリー/墓地からマナコストX以下のクリーチャーを直接呼び出せる、《緑の太陽の頂点》の亜種。
Xが10を超えることによるボーナスは、呼び出したクリーチャーへの+X/+X修整と速攻付与。まあ12マナも払ったら人が死ななないと割に合わないしこんなものか。
緑なのでマナ加速からたたきつける分には一番実現性は高そうには見えます。


ある程度マナを確保できるデッキであれば強いクリーチャーを5↑積んでるような使い方が可能なのは本家と同じですが、このテのカードとしては墓地からも呼び出せるのが画期的。しつこく強いカードを連打できるのはよさそうにみえます。
ただ、緑マナダブルシンボルであるため柔軟なシルバーバレットを狙うにはやや取り回しが悪い点が否めません。スタンダードで強いクリーチャーを呼び出そうとすると、必然Xの値が4~5を超えがちなのでかなりのマナ食い虫。
ランプぽい構築できればあるいはですが、昨今のスタンのメタ傾向的には逆風か。



・《永遠神の投入》

生物への4点、4点ゲイン、動員4、ライブラリートップ4枚を墓地へと4尽しの除去。時々よくある印象深い数字で固めたカード。

4/4がCIPで4点ドレイン火力撃つわけですから、そりゃ書いてることはめっちゃ強いのですがいかんせんスタンで5マナのピン除去は重いです。
アグロ対策としては結構なコスパですが、それ以外のデッキに対してはいまいち。ライブラリ削りも塩を送り込みそうな気がしてならず、イマイチ使いでが…。

カラーリングもカラーリングなので、エスパーやグリクシスがアグロ対策に1枚積んでおく程度か。悪くはないと思うんですけどね。


・《戦慄衆の解体者》

ラクドスカラーの2マナ、1/1速攻スリス能力持ち。
今回はエキスパンションテーマがPWなせいか、こいつに限らずPWを殴ってもスリスが誘発するのが有能。

単純に打点の上がり方が高いのはもちろん、除去されても自身のパワー分のダメージを飛ばすアグロの求める能力を高い水準で備えています。
ラクドスカラーのアグロというと、今までは赤単に食われがちでしたがサイズの上がりやすいこいつで差別化&復権なるか。



・《終局のはじまり》

6マナで打ち消し不可のインスタント2ドロー。
そして手札の枚数に等しい動員を行います。

おおよそ、3/3~4/4程度の瞬速2ドローと考えるといささかインパクトには欠けます。正直、6マナ払うなら打ち消されてもいいので3ドローさせてほしかった感。
現状、コントロールのドロースペルとしては《薬術師の眼識》が枠を食いがちなのもマイナスポイント。
ただ、コントロールミラーにおいては打ち消されないアドスペルがクロックとしての性格を持つのはかなりは頼もしいためそういうマッチ意識での採用はありえるか。

ラヴニカ三部作、第二弾!
『ラヴニカの献身』は1/25(金)発売!


いつもの販促。
いつもの雑感。

色々とカードが出揃ってきているので、ぼちぼちやっていきましょう。
前回同様、各ギルドのキーワード解説なんぞも交えつつ個人的に気になったカードだけテキトーに取り上げていきます。
特に注釈がない限りスタンダード目線でのお話。レアと神話レア中心で。
んじゃま、れっつごう。



・≪徴税人≫

2/2/1のステータスでオルゾフの新キーワード「死後1」を持つ白のウィニークリーチャー。
自ターンにおける相手のスペルキャストと起動型能力に対して1マナ重くするペナルティをかけるマナ拘束能力を持つヘイトベア。
「死後X」を持つクリーチャーは、死亡時にX体のスピリットトークンを戦場に残します。≪宿命の旅人≫系のトークン生成PIGをキーワード化したもの。

マナ拘束能力の系統ゆえか≪スレイベンの守護者、サリア≫のような活躍を期待する声を多くみかけますが、実質的にはかなり異なるクリーチャーだと考えてよいでしょう。拘束能力が働くのが自ターン限定で相手ターンの動きに一切影響を及ぼさない、つまり相手から自分への干渉を制限する類の能力。どちらかといえば≪堂々たる撤廃者≫の系譜で、サリアとは異なりコンボデッキにはあまり有効ではないことが伺えます。
またタフ1で戦闘向けの能力も持たないためクリーチャー同士のぶつかり合いに弱く、純粋なビートダウン志向のカードとしては採用しにくいでしょう。

他方、インスタントタイミングでの干渉を中心とするコントロールデッキには非常に有効。カウンターや除去による後続への干渉を制限できる上、ソーサリーの全体除去で対応すると死後でクロックを残す地味ウザ要員。コントロールはクリーチャーを出してこないので、コンバットでの影響力の低さも気にならないでしょう。前環境のような白ウィニーが成立するかは未知数ですが、コントロールデッキが環境の割合を多く占めるなら出番がありそうです。


・≪ Precognitive Perception ≫

青ダブルシンボル5マナのレアインスタント。日本語訳するなら≪予見知覚≫とかそんなんですかね。
効果としては単純な3ドローですが、アゾリウスのキーワード「附則」を持ち、自ターンのメインフェイズにキャストすると占術3を行った後に3ドローすることができます。いわゆるインスタソーサリーと呼ばれる類の向上呪文。

かなり純粋に「強い」と言い切れるドロースペルです。
重さはありますが、3ドローは非常に大きく附則抜きにしても≪ジェイスの創意≫と同等。メインフェイズでのキャストはリスキーですが≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫を絡めての運用は誰でも考え付くほどあからさまに強力で、「占術⇒ドロー」の流れについては≪定業≫≪天才の片鱗≫の採用実績から見て語るべくもないでしょう。
下位互換である≪ジェイスの創意≫ですら≪宝船の巡航≫や≪時を越えた探索≫がスタン現役時代でもコントロールに挿されることがあった実績を持つスペルなので、今回もコントロール系のデッキで採用が検討されるでしょう。
現状ドロースペルとしては≪薬術師の眼識≫がコントロールでは定番で、これを押しのけて採用という形にはならないかもしれませんが、やはり1~2枚程度で使われることになるのではないでしょうか。



・≪Spawn of Mayhem≫

黒の神話レア。
4/4/4飛行トランプルのスペックを持つデーモン。自ターンアップキープに全プレイヤーへ1点ダメージ、更にコントローラーのライフが10以下の場合はサイズアップする前のめりなクリーチャー。
ラクドスのキーワード「絢爛」を持ち、相手のライフルーズがあったターンにおいては3マナで唱えることが可能。こいつは絢爛達成で軽くなるタイプですが、逆に本来よりコストが重くなる代わりに能力が付与されるタイプの絢爛もちらほら。

さて、こいつ自体の評価ですが前のめりな黒いアグロデッキが組めるのであれば、3/4/4飛行トランプルに継続的なダメージソース能力が付いているのは良好なコストパフォーマンスといっていいでしょう。レジェンダリーでなく、自身の能力のお陰で連打がききやすいのが優秀。
ミッドレンジ以降のゲームレンジで使うこともできるとは思いますが、ダメージがお互いに及ぶためロングゲームも意識するとやや扱いにくいか。絢爛を達成できていない場合含め守りに入ると弱いカードなので、やはり基本はアグロで使うことになるでしょう。
絢爛はかなり達成が容易な部類なので、かなりの頻度で3T目に着地させることはできるでしょう。≪破滅を囁くもの≫等の高マナレシオデーモン達を絡めてデーモンストンピィめいたことはできるかもしれませんね。


・≪スカルガンのヘルカイト≫

赤の神話レアは久々のヘルカイト。
レアドラゴン枠伝統の5/4/4飛行というスペックに加え、グルールのキーワード「暴動」を持っています。

「暴動」は戦場に出るに際して速攻付与か+1/+1カウンターによるパンプアップのどちらかを選べるという目を疑うほど強力なキーワード。
サイズで攻めにいくもよし、速攻でダメージ計算を狂わすのもよしと今回の各ギルドのキーワードの中でも際立って優秀です。

したがってこのヘルカイトは5/4/4飛行速攻か5/5/5飛行かを選べる優秀な大型フライヤー。まあ回避能力があるので大抵は速攻を選ぶことになるでしょうが、相手のヘルカイトの返しに出す場合などにはサイズアップを選んだりできるなどこのテのドラゴンに柔軟性があるだけ既に驚き。

また、+1/+1カウンターが自身に置かれている場合には5マナで起動できる≪二股の稲妻≫相当の火力まで内蔵しており、守りに入っても強いだけでなくマナフラッド受けも兼ねているなど赤いミッドレンジへの適性はすさまじいものがあります。+1/+1カウンターの配置方法は問わないので、飛行速攻として殴りつつほかのカードとのシナジーで除去能力を起動することも可能。
総じて≪栄光をもたらすもの≫同様デッキに複数枚採用されうるスペックをもった強力なドラゴンでしょう、惜しむべくは上述のデーモンともども神話レアであることか。



・≪成長室の守護者≫

2/2/2のレア、緑単色のカニ戦士。カニだけど熊。
シミックのキーワード能力、「順応2」を持つクリーチャー。

「順応X」は規定のマナコストを支払うことで、そのクリーチャーにX個の+1/+1カウンターを置く能力。テーロスの「怪物化」と似た挙動ですが、インスタントタイミングで起動可能かつ、レアケースですがカウンターを取り除かれてももう一度起動できる点等から上位互換的能力といってよいでしょう。元が元なので、カウンターを置く量もでかければ起動コストも結構重めに設定されており使いにくい能力の部類・・・なのですが。

この≪成長室の守護者≫に関してはちょっと例外というか、「順応2」を軽めの3マナで起動することができます。2T目キャスト⇒3T目順応起動で4/4というマナカーブに沿った動きが可能。流れとしては≪始まりの木の管理人≫みたいなパンプアップクリーチャーを彷彿とさせます。
加えて、1/+1カウンターが配置されると自身の同名カードをーチしてくる誘発型能力も持っており、4/4になりつつ後続を呼び込む形でアドバンテージも稼ぐすごい奴。しかもカウンターを置かれる方法が自身の順応以外でも誘発と融通も利きます。

ちょっと前のカードを例に挙げると手がかりトークンによるドローが可能だった≪スレイベンの検査官≫なんかも該当するのですが、「軽量なクリーチャーが次ターンの行動を単独で担保している」というのはテンポが重視されがちなスタンダードにおいては優秀で、加えてアドバンテージを稼ぐとなると更に強力です。キャストも能力の起動もシングルシンボルで使いやすく、緑のクリーチャーとしてはそこそこ見るカードになるのではないでしょうか。




キーワード解説絡めて紹介したんで長くなりました。
こっからはさくさくいきます。



・≪Kaya’s Wrath≫

GRN以降の環境ではもはやお馴染み、黒×2白×2という二種類のダブルシンボルが目印のレアソーサリー。日本語訳はテンプレ通りなら≪ケイヤの激怒≫。
能力は単純な明快なラスゴ。一応破壊した自軍クリーチャー数に等しいライフゲインが付いてます。≪薫蒸≫と違って相手の生物はカウントしませんので悪しからず。

スタンでは久々に登場した純粋な4マナラスゴ。
長くスタンをやっているプレイヤーほど身に染みていることでしょうが、ラスゴの4マナと5マナの差は非常に大きいのでこれを搭載できるデッキにおいては対クリーチャー性能が跳ね上がること請け合い。
色拘束が課題にはなりますが、ジェスカイコントロールにおける≪パルン、ニヴ=ミゼット≫に代表されるようにギルドランド+チェックランドの強固なマナベースの前ではこの程度の色拘束はそこまで敷居の高いものではないでしょう。

真っ先に考え付くのはやはりエスパーコントロールへの搭載でしょう。
全体除去のタイミングが早いのはアグロデッキにおいては頭痛の種。
ラスゴのケアは従来よりシビアな判断が要求されるかもしれませんね。



・≪グルールの呪文砕き≫

グルールのレアクリーチャー。
3/3/3暴動持ちで、自ターン中は自身とコントローラーに呪禁を与える。

こちらは逆に明確なコントロール殺し、というよりも前環境の代表的な全体除去≪轟音のクラリオン≫と≪残骸の漂着≫の2種をかなり意識したデザインのカード。
プレイヤーへ呪禁を付与するので≪残骸の漂着≫を無力化しピン除去での対応を許さず、任意でタフ4になれるので3点火力を耐えるあたりが結構露骨。
自身のスペックはアグロ傾向ですが、どちらかというと序盤から殴っていくよりも後詰めで蓋をしていく役割に期待が持てる軽量クリーチャー。



・≪有事の力≫

アゾリウスの神話レアはまさかのインスタント化した≪Time twister≫。7マナ。
≪運命のきずな≫といい、最近は派手なスペル増えましたね。
附則もついており、メインフェイズで撃つとCMC7以下のパーマネントをタダで戦場へ。いまんとここの色でまともに踏み倒したいパーマネントはなさそうな気がしますけど。

さて、実用性はともあれ腐ってもP9の一角がそのままインスタントになっているので効果そのものは強力だといえるでしょう。相手のエンド時に突然ハンドがMAXになるわけですからね、まあお互いですけど。
少し前の環境だと≪奔流の機械巨人≫から≪記憶≫を撃つケースは意外と見かける機会が多かったですし、可能性がないわけではない思います。
使うとすればやはり相手のハンド増加がそこまで問題にならず、カードをガンガン引きたいターボフォグあたりですかね。フォグを再利用する意味でも有用ですし。


・≪Domri, Chaos Bringer≫

久々登場、グルールのPWドムリ・ラーデ君。
カード化は2回目ですね。4マナで初期忠誠値は5。
日本語訳は≪混沌をもたらす者、ドムリ≫とかですかね?

+1でマナプールに赤か緑を加え、このマナを使用してキャストしたクリーチャーに暴動を付与。マナ加速としては心細いですが、暴動が付くのはあからさまに強力。

-3はトップ4枚から最大2枚のクリーチャーを手札に。≪ビビアン・リード≫の+能力と見る枚数は同じで、加えられるカードタイプが狭まったものの-能力故かアドバンテージが取れるようになっています。

-8は終了ステップ毎に4/4を生み出す紋章。珍しく相手ターンのエンド時にも誘発する紋章となっており、毎ターン8点クロック追加とまあ流石に勝つ奥義。


どの能力も強いといえば強いのですが、-3から入ってハンドを蓄えそれを+1で展開していくデザインなので着地後の「出オチ」が痛いタイプのPWになってしまっているのはマイナスポイント。
-3でアドバンテージを稼げるといえば聞こえはいいですが、トップ4枚からクリーチャー2枚となると結構な割合でデッキにクリーチャーを積んでおかねばならないので難しいところ。

初期忠誠値が高く、+から入れれば奥義が近くなりプレッシャーがでてくるでしょうから、ややマナが伸びきったあたりで手札の生物と同時に展開していくような運用法が理想でしょうか。4マナから6マナへのジャンプアップが見込めるわけですから、やはり半端なミッドレンジよりも高マナ域のカードを扱えるランプ寄りの方が活躍しそうな気はします。




今回はこんなとこで。
おいおい書き足したり補足したりするかも。
リクエストあればコメントかtwitterまでどーぞ。

では次回はプレリリースでお会いしましょう。
ジェスカイサカイ、ジェスカイとの決別。

いや、別にまったく決別するわけじゃないしむしろ結構いいデッキだと思ってるんですけどね。
ここ1ヶ月近く自分の考えを貫いてジェスカイコントロールを構築・実践してきましたが、どうも世間で勝っているジェスカイのレシピとは異なる点が多いのが気になっています。
Tier上位所への勝率も今のとこ目覚しくいいわけでもないので、一度自分のデッキ崩そうかなと思ったり。GP優勝レシピとかも上がってるので、一度そっちをコピーしてみるつもりです。
で、今回はこの構築に至るまでの過程と理由付け(それが間違っているにしても)の言語化を図りました。

ちなみに別にこれで馬鹿勝ちしたわけでもなし、世間のレシピには真正面から逆行する形になっているのであんまり参考にはしないほうがいいと思います。
あくまで僕が僕を納得させるための理論付けとでも思っていただければ。
隙自語ってやつです。

土地25
硫黄の滝4
蒸気孔4
断崖の避難所2
氷河の城砦4
聖なる鋳造所4
島5
山2

クリーチャー4
つぶやく神秘家2
パルン、ニヴ=ミゼット2

スペル31
選択4
中略3
アズカンタの探索2
稲妻の一撃2
裁きの一撃3
軽蔑的な一撃1
反応+反正2
悪意ある妨害3
轟音のクラリオン4
薬術師の眼識4
ドミナリアの英雄、テフェリー3


サイドボード15
否認 2
軍勢の戦親分 3
再燃するフェニックス 2
残骸の漂着 2
軽蔑的な一撃 1
発展+発破 1
神聖の発動 1
魔術遠眼鏡 2
イクサランの束縛 1


青赤ベースにタッチテフェリー・クラリオンな除去コントロールです。
≪轟音のクラリオン≫と≪薬術師の眼識≫ガン積、ミゼットメイン採用くらいまではまあ普通です。≪選択≫ガン積の土地25構成もまあ、常識の範囲だと思います。
≪つぶやく神秘家≫・≪反応+反正≫・≪稲妻の一撃≫の存在や、≪弾けるドレイク≫の不在あたりが一般的なレシピとの相違点でしょうか。


以下Q&A方式で自問自答。

Q.そもそも、なんでジェスカイコンが強いの?

A.「選ばれたのはジェスカイでした」

①マナベース面の優位
ジェスカイカラーの場合、ショックランドの≪蒸気孔≫+≪聖なる鋳造所≫の組み合わせに加え、チェックランド3種≪氷河の城砦≫+≪断崖の避難所≫+≪硫黄の滝≫はショックランド2種のいずれかからでも必ずアンタップインできます。必然赤マナを積極的に採用しつつ白マナも捻出できる青赤コントロールの構築が容易なので、タッチで≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫を採用する形をとるジェスカイコントロールは自然な発想だと思います。マナベースの安定は3色デッキには非常に大きい要素です。
この点同じタッチ白のコントロールであるエスパーはショックランドが1種しか採用できない都合上確定タップイン率が高くなっており、マナベース面で水を空けられています。
≪曲がりくねる川≫を採用する必要のある青白2色も同様です。

②除去の優位
ピン除去では≪裁きの一撃≫・≪封じ込め≫を筆頭に≪溶岩コイル≫・≪反応+反正≫・≪稲妻の一撃≫etcと軽量除去だけに絞っても非常に有力な選択肢が多い上、強力なスイーパーである≪轟音のクラリオン≫を採用できるなど特にアグロ耐性の面で秀でています。

他色との比較においても、青白に対しては色が多いので当然ですがエスパーに関しても軽量除去の選択肢の面でかなり優位があると考えています。これはGRNにおいて有力な黒い軽量除去の収録が皆無だったためで、単純に除去の選択肢が狭いです。その分汎用性は高いですが。
従って、エスパーカラーとジェスカイカラーの対比においては≪ヴラスカの侮辱≫によるPWへの対処法の有無や≪変遷の龍、クロミウム≫の存在、サイドボードのハンデス等が大きな差別化要素かと思います。

以上のことから

・マナベース面の優位
・環境初期は数を増やしがちである雑多なアグロ系デッキへの耐性の高さ
・各種神や≪反逆の先導者、チャンドラ≫の退場による≪ヴラスカの侮辱≫の有用性低下

をもって、現状テフェリーと使用する除去コントロールとしてはジェスカイコントロールが優れていると判断していました、というかしてました。


ここからは採用/不採用のカードについて詳しく。



Q.≪弾けるドレイク≫いないけど?

A.個人的には弱いと思ってるので使ってません。
具体的にはコントロール同系での出しにくさ・出たとしてもその後のプレッシャーの弱さが気になりました。(同系の4-5T目は特にフルタップしにくい)
対ゴルガリにおいては単純にアド損しにくいフライヤーが強いみたいなので、ゴルガリに強くしたいならアリでしょう。(出した返しにビビアン・ヴラスカ飛んでくると台パンものですけど)
その場合はゴルガリの除去物量的に3-4積しないといけないと思います。そしてこいつを2枚初手に引いてマリガンしたくないと考えたので、僕は不採用です。


Q.じゃあ≪つぶやく神秘家≫は強いの?

A.こいつとミゼットの為にオプト採用型にしてもいいと思うくらいには強いと考えてます。
盤面に一度定着さえすればあとは適当にゲーム長引かせるだけで勝てるレベル。コントロールにもアグロにもかなり致命的なシステムクリーチャーじゃないでしょうか。
ドレイクと違って≪溶岩コイル≫で焼けず、赤いアグロ系にもがっちりなタフ5がグッド。
相手のドレイクに対しても延々とチャンプブロッカーを生産できるので相性○。飛行つよし。
これも複数枚嵩張ってほしくないので2枚に留めてます。

チュパカブラされる点については、どのフィニッシャーも一緒だと思うのでそこは。
ソーサリータイミングで動いて絶対にアド損したくない人にはドレイクを推奨します。


Q.≪パルン、ニヴ=ミゼット≫メイン?

A.メインです。
サイドにとってるレシピのほうが多いですね。
色拘束や除去耐性のなさを差し引いても、ほぼ全てのマッチアップで「生きてターン帰ってきたら勝ち確」クラスのフィニッシャーなのでそのバリューを信頼している形です。
対コントロールミラー専用みたいな意見もありますが、制圧力が高すぎて盤面関係なく突然ライフで攻めだして勝つこともままあるためスタッツ込みで対アグロにおいても信頼できうる性能だと思ってます。
欠点は色拘束のせいで白ダブルのスイープスペルが使えないことと、ゴルガリミッドレンジのPW群に弱いことです。色拘束については、意識してマナベースを選択すれば6ターン目に出せない状況にはそこまででくわしません。
ゴルガリにやや弱いのは無視できない欠点ですが、逆にそれ以外のほぼ全てのマッチアップにおいて強いのでメイン採用のままにしてました。


Q.除去のチョイス変じゃない?

A.一応解説します。


・≪裁きの一撃≫・・・ジェスカイでは現状メジャーな除去。基本はサイズ問わない確定除去なので便利は便利なんですが、たまーにケツでっかちを焼けずもやもやするのであんまり好きではないです。(≪再燃するフェニックス≫のトークンに撃たない様に気をつけよう!)ただ、トップメタであろうゴルガリミッドレンジが万一≪破滅を囁くもの≫を採用しているバージョン(主流ではないですが)だった場合それだけで詰みかねないので今回はゴルガリ多い読みでやむなく多めに採用。結果論だけいうとデーモンはほとんどいなかったので微妙でした。これのために序盤の白マナアンタップイン率を上げるほうがむしろリスキーかも。
≪殺戮の暴君≫はそりゃまあ出てくると詰みますが、そもそも打消しもピン除去も効かないので考慮外です。

・≪稲妻の一撃≫・・・あんまりメジャーではないほうの除去。ピン刺しとかではよく見ます。
3点火力の有効性云々よりも、PWに撃ちこめる点を評価した形での採用です。スペルキャスト時にボーナスが付くフィニッシャーを採用している関係で、それらとの合わせ技でPWを落とせることが多いので。こっちがフィニッシャーを出せば返しにPWがとんでくるのはもはやテンプレですからね。
「PW対処したいならリング(イクサランの束縛等)のがよくね」説は、まあないわけではないですが≪暗殺者の戦利品≫を筆頭にビビアン・ヴラスカと環境に置物破壊が溢れかえっているので返しで割られると非常に悲しい気持ちになります。
≪封じ込め≫も同様の理由で不採用。ちなみに、≪アダントの尖兵≫にまともに除去をぶつけたい場合は≪封じ込め≫しかないと思います。

・≪反応+反正≫・・・こっちはちょいちょい採用されてるレシピありますね。個人的には一番評価している除去です。レンジストライクなので若干取り回しは悪いですがある程度育った≪野茂み歩き≫や≪正義の模範、オレリア≫等、≪裁きの一撃≫では対処しにくいところへきっちり刺さる上赤赤でも撃てるのが地味にありがたい優良除去。3~4でもいいかなと思うこともあります。カウンターが濃い目の構築とは若干相性が悪い部分は否めませんが。
≪反正≫の方は撃つことがまったく無いというわけでもないですが、撃てる状況だと大概オーバーキルです。制限時間の節約にでもどうぞ。

他の除去の選択肢としては、≪溶岩コイル≫・≪シヴの火≫がありますね。念のためこっちについても軽く。

≪溶岩コイル≫はイゼットスペルに非常に有効な除去です。ゴルガリ・ボロスにはまあ普通。
ソーサリーですが、イゼットスペルはタップアウト率が高いデッキなのでそこまで気にならないと思います。おまけの追放が効果的なのはいうまでもありません。環境に≪孤光のフェニックス≫≪再燃するフェニックス≫が増えるなら採用を一考すると思います。逆に言えば、そこピンポイントな感じがしているので現状は採用してません。

≪シヴの火≫は赤単・青単のような1マナ域生物を連打してくる相手に有効です、というかほぼ赤単睨んでの採用以外ないといってもいいかも知れません。テンポ勝負に強くなります。キッカーで撃つことはほぼないです、さすがに5マナは重い。
あとは単純に軽いスペルなので神秘家やミゼットとの相性がいいです。ゴルガリゴリゴリのアグロが増えるならこっちのが優先度高いと思いますが、元々相性がいい方なので無理して対策するほどではないと思います。


Q.カウンターのチョイス変じゃない?

A.一応解説します。

・≪中略≫
大体先手カード。最序盤における万能カウンターっぷりがウリ。オマケの追放もあるにこしたことはないです。
元々は≪薬術師の眼識≫や≪危険因子≫等再活スペルを睨んでの採用でしたが、結果的にゴルガリにもそこそこ有効なカウンターになりました。ほんと「そこそこ」レベル。
ゲーム後半の不要牌ぶりはすさまじいですが、その場合は再活の餌になるのでそこまで気になりません。ミゼットがいる場合は打ち消せなくとも適当なスペルをターゲットにX=0で撃ってキャントリップ感覚で使える等リスティックカウンター特有の終盤でのもやもや感がなく、メインは取り得かも。元々X系カウンターは打ち消したいカードががぼんやりしててあんまり好きじゃないんですが、今回に限ってはいい感じ。

・≪悪意ある妨害≫
≪解消≫の上位互換。性能は言わずもがな超優秀です。
≪残骸の漂着≫等白ダブルのスペルを採用する場合は≪イオン化≫のほうが無難ですが、今回はミゼットのためにメインのマナベースを青に寄せてるのでこちらを取ることができます。

・≪軽蔑的な一撃≫
4枚目の≪中略≫or≪悪意ある妨害≫枠を譲ってのピン枠。
安定とるなら≪悪意ある妨害≫を4積するほうがいいのかも知れませんが、

・≪アズカンタの探索≫でデッキを掘る
・カウンターとして効果的でない場合でも再活に充てられる

という理屈の下ピン採用。前環境でもエスパーコンの≪否認≫や≪俗物の放棄≫のメインピン採用の形はメジャーでしたしね。この枠をどういうピンポイントなカードにするかは環境によるところ。
今回はゴルガリ意識だったので、こちらのフィニッシャーを食ってくる≪貪欲なチュパカブラ≫や≪最古再誕≫、PW群を意識していずれにも刺さるストロークを採用。
≪暗殺者の戦利品≫や≪採取≫をカウンターしたいと考える場合は≪否認≫のほうがいいでしょう。

他に採用候補に挙げられるカウンターとしては先に述べた≪イオン化≫≪否認≫のほかに≪本質の散乱≫など。


Q.≪平地≫≪廃墟の地≫は入れないの?

A.ミゼット出せなくなっちゃうんで。
土地の枚数を27くらいにするなら許容できると思います。


Q.サイドの≪軍勢の戦親分≫、何用?

A.ミラー用です。
先ほども少し述べた通り基本的に今のコントロールミラーって4-5ターン目からフルタップの裏目が発生するんですが、こいつは3T目からぶっぱしていってもリスクが低くかつ通って除去されない限り数ターンのうちにゲームを終わらせるだけの決定力があります。
ミラーでしか使わないので、枚数はメタに合わせて。


Q.サイドの≪再燃するフェニックス≫、何用?

A.ゴルガリミッドレンジ及びイゼットスペル用です。
どちらも除去耐性持ちの大型フライヤーが苦手なデッキなので。≪ヴラスカの侮辱≫の採用枚数が増加傾向の時は微妙。
コントロールミラーとかは返しのテフェリーを誘いやすくなるだけなのであんまり入れたくないです。


Q.サイドの≪残骸の漂着≫、撃てなくね?

A.撃てません(白目)。

まじめな話をすると、ゴルガリの≪殺戮の暴君≫やボロスの≪アダントの尖兵≫など「無理ゲー発生要因」が増加傾向にあったのでやむなく採用した形のカードです。
マナベース的に4-5T目に撃つことはかなり難しいので、対策カードとしては微妙ですが所謂しゃくり性能の期待値にかけての採用といったところ。お守りと言い換えてもいいです。

こういったカードをとった方がいい、ということは必然「ラスゴを撃てるマナベースのほうが強い」ということでもあるので、そこが現状の僕のレシピの問題というかジェスカイコントロールを握る上での問題点なのだと思います。要はラスゴがほしい。


Q.≪発展+発破≫はサイドなんだ?

A.やり手なカードだという認識はしていますが、サイドです。
メインに入れてるレシピも多いですが、個人的には≪アゾールの門口≫型でない場合メインで採用するのは特別強くはないと感じています。理由としては二つ。

①≪薬術師の眼識≫を筆頭に既に充分な量のアドバンテージカードが投入されているので、≪発破≫のXドローを目的として投入するのはやや過剰に感じます。火種も重く、初手にきてほしいカードでもないですし。マナフラッド受けの選択肢としてはいいと思います。

②≪発展≫は色々器用ですが、これを投入してまでコピーしたいほどのスペルはあまりないように感じています。自分の除去やドローをコピーする状況というのもあんまり強くはないかなと。(むしろその除去なりドローの枠をメインに増やすべき)

一方サイド後はこちらもアグレッシブプランをとれる上≪アルゲールの断血≫等相手のサイドカードをライフの面で咎められるので≪発破≫が活きますし、≪強迫≫や≪否認≫などのサイドインが予想される定番のカードに対して≪発展≫が有効です。特に色の都合上ハンデスのコピーは予想されにくく相手のプランを崩しやすいので強力。
現状僕は「3枚目以降の≪否認≫を取るよりは≪発展+発破≫」といった認識で、青いデッキor黒いデッキによく刺さることから枠さえあるならばサイドに2枚とってもいいと思っています。


Q.≪神聖な発動≫いる?

A.≪イクサランの束縛≫されるときついので。
他には≪ケルドの炎≫≪実験の狂乱≫≪アズカンタの探索≫≪アルゲールの断血≫等が割りたいターゲット。
最近までは上記の通り割りたいものがエンチャントしかなかったので、軽さ重視で≪啓蒙≫もありかもと思っていたのですが≪不滅の太陽≫の採用率が上がっているようなのでますますこっちを入れておきたくなりました。


Q.≪魔術遠眼鏡≫いる?

A.PWに触りにくい色なので、あったほうがいいと思います。
≪アダントの尖兵≫や≪アルゲールの断血≫等軽めのカードにも止めたいところが多いですし、サイドインしやすいです。



以上です。やったら長くなりましたが、≪残骸の漂着≫の項で述べたとおり「無理ゲー発生要因」が環境に増えてきている、即ちこのジェスカイコントロールというデッキの弱点を突くことは他のデッキにとって比較的容易であることから、今後これを「板デッキ」と呼ぶのは難しいのではないかと思っています。これを言いたいがためにこんだけの文字数つかっちまったよ。
今後どういう風に環境に適合させていけばいいのやら。

最後に、GPリール・ニュージャージーの両大会で活躍したジェスカイコントロールの採用カードについて軽く触れて終わりにしたいと思います。



・≪絶滅の星≫について
いみじくも「ラスゴがほしい」への回答というべきか、≪破滅の刻≫の退場でこのカードにスポットライトが当たりましたね。赤いラスゴはこれしかないので、≪破滅の刻≫をよく使用していた自分からするとこの理屈は理解できます。
ただまあ、いかんせん重すぎですね。ここまでマナを伸ばしてラスゴを撃つよりは普通に白ダブルがでるようなマナベースを目指したほうがいいような気がします。
PWもまとめて葬れるというのは確かに魅力ですが、そこまでマウント取られてしまっている前提で重いラスゴを採用するというのはコントロールデッキとしていささか疑問です。
総じて、あまり試したいと思えるカードではないように感じています。まあ試しますが。


・≪アゾールの門口≫について
未知数です。軽いルーターは魅力で、≪奔流の機械巨人≫も退場しましたからディスシナジーも気にする必要がなくなったとなれば悪くはなさそうですが。
変身するまでが悠長なのと、先に述べたとおり置物破壊が溢れかえっているのでそこまで魅力的には感じません。その代わり変身するとすごいです。≪発展+発破≫をメインにがっつり採用するのも納得。
これも試してみないとなんともといったところ。




ここまでの長文をお読み頂きありがとうございました。
まとまりのない文章を連ねただけですが、何かの一助となれば幸いです。
何か質問などありましたらコメントにどうぞ。
ではまた次回。
「ギルドと共に立て/Stand with your guild」。

最新エキスパンション「ラヴニカのギルド」は2018年10月5日発売予定!!

いつもの販促、いつもの雑感です。
今回は気になるカードが多いですね。
レアを中心に取り上げます。

・≪パルン、ニヴ=ミゼット≫

6/5/5飛行、打消不可。
ドローするたびに好きなところへ1点、インスタント・ソーサリーキャストのたびドロー。スペルをたくさん唱えるほどに火力が増し、手札も増えるといった塩梅のシステムクリーチャー。

能力はまあいつものミゼットっぽいですが、何よりも赤トリプル+青トリプルという派手な色拘束が目を引く3枚目のイゼット団(元)ギルドマスター。元になったせいか、実は神話レアではない。
相応の重さはありますが、打ち消し不可な上にタフなスタッツ、スペルを唱えるほどにアドバンテージが取れる能力を併せ持つなどコントロールデッキのフィニッシャーとしての格は充分。
「ターンが帰ってくれば大体勝ち」くらいのインパクトはあるカードなので、色の合うコントロールデッキが成立するなら出番はあるでしょう。
さりげなく、相手の唱えたスペルにも反応してドローできるので簡単には1:1交換をとらせにくいのもグッド。


・≪正義の模範、オレリア≫

ボロスのギルドマスター。こっちは健在(?)なので神話レア。
4/2/5、飛行・教導。コンバット開始時に自身を含めた自軍クリーチャー1体を対象に+2/+0修整、更に対象が白なら警戒、赤ならトランプルを付与するボーナス付。

すなわち単体でも4/4/5飛行・警戒・トランプル・教導と豪華なスペックを誇り神話レアの風格にふさわしいといったところ。
速攻こそないですが、パンプアップ能力で出たターンから打点に貢献できる優秀な4マナ域。タフ5でレジェンダリ、任意で警戒も付与できるため現行スタンダードのメジャーな除去が刺さりにくいのもグッド。
ボロスカラーのアグロ~ミッドレンジでは積極的に採用されるだけのスペックがありそうです。



・≪ゴルガリの女王、ヴラスカ≫

めでたくギルドマスターにおさまりご満悦のヴラスカ嬢。
PWとしてのスペックは4マナの初期忠誠度4。

+2は自パーマネントをサクリファイスしての1ゲイン1ドロー。+2と上昇値が高く、サクリファイスも任意。とりあえず硬さはありますね。
-3はCMC3以下のノンランドパーマネントを破壊。要は≪突然の衰微≫。
-9は「自軍クリーチャーがプレイヤーへ戦闘ダメージを与えると勝利」の紋章。いつもの致死ダメージ。


硬くてマイナス能力が強いので、とりあえず色の合うデッキに突っ込んでもそれなりに仕事はすると思います。
ただ+2でアドをとろうとすると普通のデッキではフラッドした土地をサクるくらいなので、お供にするパーマネントは多少選ぶかもしれません。4マナでアドバンテージをとるPWにはカーンという色を選ばないライバルもいますしね。
ゴルガリカラーでどんなデッキ組めるかまだわかりませんので、評価は保留。



・≪暗殺者の戦利品≫

パーマネントを何でも破壊できる2マナのインスタント。
代償として、相手には基本土地をアンタップインでプレゼント。

何も弱いことが書いてないので強いです。(強いため)
スタンではもちろんですが、モダンやレガシーでの活躍も期待される強力な一枚。まあ下環境での考察は他解説記事に譲るとしてスタンでのお話をしましょう。

土地を割れるというファクターは基本土地も多く採用されがちなスタンではあまり重要ではないですね、≪アズカンタの探索≫を変身前後問わず対処できるようになったのは大きいと思いますが。
軽量除去の常ですが、マナコストの大きいパーマネントを除去した際に獲得できるテンポが尋常ではありません。パーマネントの種類を選ばないこれの場合は尚更で、CIP・速攻・除去耐性を持たない大型生物、重めのシステムエンチャント・アーティファクトやPWなどは格好の的になるでしょう。
他方、≪流刑への道≫同様土地を渡すデメリットの分、あまり軽いパーマネントにバシバシこれを当てると相手の土地が一方的に伸びて本来のターゲットである重いパーマネントに当てられなくなります。
どちらかというと、ミッドレンジ~重コントロールのような重めのパーマネントを採用するデッキに対して有効なカードです。ゴルガリカラーがどれだけ流行るのかは未知数ですが、このカードを意識して重めのパーマネントの採用枚数を抑える等構築に与える影響もありえるでしょう。

まあ≪流刑への道≫がモダンでこれだけ採用されている事実を鑑みても、非常に優秀な除去であることは疑いようがありません。スタンダードでも値段に違わぬ活躍に期待です。


・≪反応+反正≫

アモンケットの墓地メカニズムである余波の退場に代わり、正統派分割カードが再び登場。
今回は融合コストでのキャストができなくなってますが、混成マナ呪文+色が同じ多色呪文の組み合わせとなっており従来の分割カードと比べると片方の単色呪文だけでも色の合うデッキで~というよりはギルドの色でそろえてこそ真価を発揮するデザインでしょうか。

ボロスの分割レアは混成マナ呪文が≪反応≫、2マナの5点レンジストライク火力。CMCだけ見れば≪砂漠波≫の上位互換。
レンジストライクといえど、対象を限定しない2マナ5点は中々のコストパフォーマンス。焼ける範囲の広いこちらの呪文をメインに使っていくことになるでしょう。


非混成マナシンボルの≪反正≫は5マナ、≪連続突撃≫系の追加戦闘ソーサリー。この手のスペルはクリーチャーのアンタップに関する記述が必要なため、分割カードに納めるにはテキストボックスが狭いのですが「警戒と先制攻撃付与」と書いておくことで雑にこれを克服しているのがボロスらしいというか。

総じて軽量除去+@と考える分には優秀なカードだと思います。


・≪危険因子≫

3マナのインスタント。≪怒鳴りつけ≫のリメイクで、所謂「懲罰者カード」。
「4点もらう」or「3ドローさせるか」を相手に選ばせます。再活付き。

「対戦相手に選択権のあるカードは弱い」とはよく言われる言葉ですが、≪怒鳴りつけ≫はその中にあって「最強の懲罰者カード」として名高いカードのひとつ。
赤単色の呪文でありながら、単体でカードアドバンテージを大幅に稼ぎうるという観点で強力なカードであり、その系譜たるこの≪危険因子≫にも同等クラスのカードパワーがあると見てもいいでしょう。

本家と比べると、与えるダメージが1点減った代わりにインスタントとなりテキストも簡略化。ついでのようについている再活が非常に嫌らしく、これを相手エンド時⇒自分メインと続けて唱えることができる点が相手に難しい選択を迫れます。バーンスペルを多く採用するデッキ特有の引きムラも、不要牌を再活のコストに充てることができるため総じて無駄がありません。

問題は、スタンダード環境ではそもそも有力なバーンスペルが少ないため4点火力のプレッシャーが他フォーマットに比べて低いことと、それと同じくしてこのカードを採用できるデッキが成立しうるかどうかという2点。

その性質上ある程度クロックを用意していないと何回唱えようが本体4点を選ばれてしまいますし、本体火力のプレッシャーが低い環境では3ドローしても削りきれないこともままあります。
幸い、≪ケルドの炎≫のような手札消費の激しいデッキの受け皿はあるのですがKLD~M19期スタンの赤系デッキ隆盛を支えた優秀な1-2マナ圏の生物が軒並みローテ落ちするのは泣き所。
採用されるかどうかは赤系アグロのがんばり次第といったところか。
もしくはカウンターバーンのようなデッキが成立すればあるいは?


・≪火想者の研究≫

イゼットのレアエンチャント。
インスタント・ソーサリーを唱えるたびにカウンターが乗り、

・3個取り除いて青(1)で1ドロー
・5個取り除いて赤(1)で好きなところへ5点

のモードを使い分けられます。

スペルを多く搭載するコントロール寄りのデッキ向けのエンチャント。
主にドローのモードが優秀で、カウンターが余ればそのままフィニッシュブローになります。
軽さもあいまって適切なデッキで運用すればカウンターを2桁台載せるのも難しくはないでしょうが、一度のカウンター消費量がやや多いのは気になります。ダメージモードは効率に優れますが、爆発力が低そうですね。
ざっくりスペル3枚唱える毎に1ドローの換算なので、デッキ内の再活スペルの量にもよるでしょうか?


・≪無効皮のフェロックス≫

4/6/6 呪禁という強烈なスペックを誇る代わりに、ノンクリーチャースペルが唱えられなくなるデメリット持ちクリーチャー。また、対戦相手のスペル・能力で手札からディスカードされると戦場へ出る≪強情なベイロス≫に似た手札破壊対策能力を持ち、呪禁とあわせてコントロール系への対策カードとしての側面が強いカード。

すべてのプレイヤーは2マナでこいつの能力をすべて封じることができます。
要はノンクリーチャースペルを唱える際に2マナ多くかかる、くらいの認識でよいでしょう。

≪殺戮の暴君≫と違い打ち消しが効き、呪禁も任意に解除されるとなると万全な耐性を備えているとはいい難いですが、流石にこのスペックだと構築にもお呼びがかかるでしょうか?
デメリットつき高パワーアタッカーと聞くと、やはり≪原初の飢え、ガルタ≫と組み合わせたくなるカード。

余談ですが、いっぺんくらいこいつが≪破滅の龍、ニコル・ボーラス≫とか≪炎鎖のアングラス≫から捨てられて登場するところを見てみたいですね。



・≪秋の騎士≫

セレズニアカラーの騎士。
3/2/1のスペックに加え、実は意外と少ないモード選択式のCIP能力を持つクリーチャー。

モードは「4ゲイン」「自身へ+1/+1カウンター2つ」「アーティファクトorエンチャント破壊」の3つとそれはまあすさまじい汎用性。
とりあえず≪帰化≫のモードだけで既に≪再利用の賢者≫と同等性能で、加えてアグロ・バーン対策のゲインモード、パンプアップのおかげで最悪でも3/4/3バニラとして戦闘もこなすハイパーナイト。

とりあえず色さえ合えば≪再利用の賢者≫から差し替えることになるでしょうし、メイン投入も十二分に考えられるスペック。スタンダードのみならず、モダンでも多くのデッキのサイドボードに入りうるカードだと思います。
個人的には今回のイチオシ生物です。1000枚とはいいませんがたくさん買おう。


・≪正気泥棒≫

3/2/2飛行。
ディミーアカラーのスペクター。
ダメージを与えるたび、相手のライブラリトップ3枚から1枚を追放しそれを保持して唱えることができます。選ばれなかったカードは墓地へ。

≪夜帳の死霊≫と≪豪華の王、ゴンティ≫を足して2で割ったような・・・というか系譜的には≪Word of Command≫に端を発する「相手のカードを奪う」フレーバーを再現したカードというべきか。ちなみに、ゴンティ同様本体が戦場を離れても追放されたカードは唱えられます。

擬似的なカササギ能力持ちといってもいいでしょうから、回りだしたらなかなかのアドバンテージをたたき出すカードでしょうね。飛行があるのでダメージが通るかはあまり気にしなくてよいとしても、問題は貧弱なスタッツ。
色が色ですから、守る手段にそのものには事欠かないとは思いますが攻撃がきちんと通せるかは疑問が残るか。
ゴンティ同様、勝ち筋の細いデッキに対して効果が高いですしスペックは高いので何かしら構築でも居場所があるとよいのですが。個人的には好みなカードです。


※以下9/25追記

・≪任務説明≫

青ダブルのインスタント。
諜報2を行った後、墓地のインスタントorソーサリー1枚を唱えることができるようになる。
肉のついてこない≪瞬唱の魔道士≫との下馬評が一般的ですが、むしろ≪過去の罪≫に先祖帰りして実用的になったといった体のカード。

下馬評からお察しとは思いますが、瞬唱やそれに類するカードである≪奔流の機械巨人≫は、能力を抜きにして単体でもマナレシオにきわめて優れたフラッシュクリーチャーであることが優秀だった点を踏まえると、スペル単体であるこのカードをあまり手放しに強いと評価できるかは怪しいところ。
瞬唱よろしくコントロールデッキがスペルの再利用目的で使うとすれば、このカードが単体でアドバンテージを稼げない以上カウンターや除去を再利用しても1:1交換にしかならず墓地を再利用している旨みに欠けます。

思いつく限りでの効果的な用途は、やはり単純に強力なスペルを連打する目的での利用、あるいはコンボのパーツとなるスペルやサーチスペルの連打でしょう。スタンダードでは上記に該当するスペルが少ないので結局のところ難しいのですが、それこそ≪暗殺者の戦利品≫の連打や分割カードのコストが重い側を再利用する目的での投入はありえるかもしれません。


・≪漂流自我≫

ディミーアカラー、3マナのソーサリー。
指定したカード名を相手の全領域から根こそぎ追放する≪記憶殺し≫の亜種。
≪失われた遺産≫同様、ハンドから指定されたカードが追放された場合は代替ドローを与えるので、アドバンテージを稼ぐことはできない仕様。

このシリーズとしては珍しく、特殊地形はおろか基本地形も指定できるカード名に含まれており土地コンボなどにも強くなっています。どうしたディミーア、えらく融通がきくようになったな。

例によって特定のカードへの依存度が高いコンボデッキや、フィニッシャーが極端に少ないコントロールデッキへのサイドボードとして期待できます。
が、多色カードであるがためにそもそも採用できるデッキが限られており、加えてスタンダードではそこまでして対策を要するレベルのコンボデッキが環境で活躍することは稀(カラデシュはすごいんだ!)なので、積極的にサイドに登用されるかは微妙なところでしょう。

青黒系のコントロールなどが、どうしても対策しきれない置物への対策として用いる程度かな?





つーわけでざっくりプレビューしました。
気になるカードはまだまだあるんですが、環境での答え合わせをお楽しみにということで。
暇があればなんか追記したりするやも、注文あればコメ欄にでも投げといてください。

では次回はプレリでお会いしましょー。
ようやっとというべきか、今回のメカニズム記事が公開されました。
(URL:https://mtg-jp.com/reading/translated/0031021/)

個人的には非常に楽しみにしていた次元への再訪、非常にわくわくしています。
今回はそのメカニズムと現時点で公開されているカードについて簡単に所感を述べたいと思います。


○ショックランド再録

散々噂されてはきましたが、やはり再録です。
春発売の次セット『ラヴニカの献身』を含めれば恐らくM10ランド(チェックランド)+ショックランドがそれぞれ10種全色出揃うという、スタンダードとしては非常に豪華なマナベースが実現するでしょう。

ショックランド・M10ランドも共にアンタップインの安定感が高い2色地形です。
特に、今までM10ランドのアンタップインのためにサイクリングランドを採用してテンポ損していたような多色デッキでも安定してゲーム序盤~後半までアンタップインすることができます。

カラデシュの対抗色ファストランドサイクルは「マルドゥ機体」のようなアグロデッキの多色化に貢献していた一方、コントロールデッキのような序盤のテンポ損がそこまで致命的ではないロングゲーム志向のアーキタイプにとってはそこまでありがたくない、むしろ後半のタップイン率が足を引っ張る…等ややアーキタイプを選ぶ傾向があったのに対し、ショックランドは「必要ならアンタップインできる」と融通が利くため、あらゆるデッキで使いやすいユーティリティの高い特殊地形です。
今回は≪寺院の庭≫≪聖なる鋳造所≫≪蒸気孔≫≪草むした墓≫≪湿った墓≫と5ギルド分のみの収録なので次セット発売まではマナベース面で多少格差はでますが、今までの環境以上に多色化するのはまず間違いないでしょう。


○各ギルドの能力語

①セレズニア【召集】

旧ラヴニカに引き続き、セレズニアのメカニズムはマナコスト軽減能力である召集です。
スタンではM15の≪かきたてる炎≫・≪ウルドのオベリスク≫、モダンの≪召喚の調べ≫然り構築での活躍実績もある優秀な能力だけに、今回も活躍が期待される一方、低ステータスなクリーチャーを並べる戦術は前環境で≪ゴブリンの鎖回し≫の存在が軒並み駆逐していたことを考えるとやや不安は残るでしょうか。

・≪議事会の裁き≫
FNMプロモの内の一枚として公開されていた一枚。召集がついた代わりに1マナ重くなった≪払拭の光≫。M19の≪秘儀術師の檻≫の上位互換です。

所謂リング系除去としてはもっとも優秀であった≪排斥≫がローテーション落ちするので、枠としては≪イクサランの束縛≫と争う形になるカード。
召集の性質上どちらかといえばビートダウン向けの性能をしています、≪ヴラスカの侮辱≫が使えない非黒系のミッドレンジあたりではPWに触れる貴重なカードなので使いでがあるでしょう。



②ボロス【教導】

ボロスの教導は、「一緒に殴っているパワーの小さいクリーチャーを強化する」パンプアップ系能力。
アブザンの鼓舞に似ていますが、ETB能力でなくアタック誘発になっています。
鼓舞と大隊(旧ラヴニカでのボロスの能力)を足して2で割ったような能力。

能力自体の評価をするとすれば、微妙の一言につきます。
まず教導を持っているクリーチャー自身が殴る必要があるので、(速攻を持っていない限り)即効性に欠けていてかつ対処されやすいのが難点。一緒に殴るクリーチャーがいなければバニラですし、またこれを乗り越えて殴っても見返りが+1/+1カウンター1個とあまり大きくありません。それこそ鼓舞みたいに教導Xとか数値分のカウンターだったらだいぶ違ったんですが。

総じてどちらかといえばリミテッド向きの能力。フライヤー強化したり、殴れるシステムクリーチャーとしては横並びデッキで優秀な能力かも。

・≪Legion WarBoss≫
3/2/2、教導持ちのゴブリン。日本語訳は≪軍団の戦争親分≫とかですかね?

自ターンのコンバット開始時、速攻とマストアタックを付与した1/1のゴブリントークンを生み出すという≪ゴブリンの熟練先導者≫のリメイククリーチャー。
本家とは異なり、自身が殴ってもパンプアップがついてこない代わりにお供のトークンを強化できるよう教導がついているというデザイン。

ラブルマスターが構築で残した実績を考えれば割と手放しに評価できるレベルの強力なカードかと思います。
自身のパンプアップがないので、本家よりも打点面での爆発力には劣りますが無条件のトークン生成装置は流石に強力。前述した「一緒に殴るクリーチャーがいないとバニラ」という教導の弱点もトークン生成能力がうまく補っており、赤のシングルシンボルと色拘束も緩い総じて優秀なカード。




③イゼット【再活】

イゼットの再活は本来のコストに加え、手札1枚をコストに1度だけ墓地からのキャストが可能なフラッシュバックの亜種。手札コストという面で見ればFBと回顧を足して2で割ってる感がありますね。

手札が必要なので、本家フラッシュバックや余波呪文のように単体でアドバンテージにはなれないのはマイナスポイントですがそれでも墓地から唱えられるスペルはやはり魅力的。再活で再活を持つカードを捨てたり、後半の余った土地や腐った除去を投げられるので総じてコントロールデッキ向きのスペル群でしょう。


≪Quasiduplicate≫

青ダブル3マナ、再活。自軍クリーチャーのコピートークンを生成するソーサリー。
「二回使える」クローンとしては、環境でも活躍した≪多面相の侍臣≫が入れ替わりでローテーションとなりますが、あちらは相手のクリーチャーもコピー可能だったので使い勝手でみればこちらはだいぶ見劣りします。

一方で≪多面相の侍臣≫よりも軽いため、特定のシステムクリーチャーをどんどん並べたいデッキとはよくシナジーします。ぱっと思いつくところでは≪どぶ潜み≫とはスペルを連打する性質もあって好相性でしょう。




④ゴルガリ 【宿根】

ゴルガリの宿根は墓地のクリーチャーの枚数を参照して効果が向上する能力です。現在公開されているカードはすべて墓地のクリーチャー枚数をXとしたPT修整となっており、どちらもコモン・アンコモンでカードパワーを図りかねるので明確な評価はしにくいところです。

ただ、クリーチャーというのは通常意識して構築しない限り大幅に墓地に溜まることが少ないカードタイプです。
爆発的にXの値を増やすには墓地肥やしを意識してそれに寄せていくシナジーありきの構築となるでしょうから、Xの値が大きいほどに強くなるカードとしては尖っていて使いにくい部類になるかと思われます。昂揚のように「○種類」とか、金属術よろしく「○枚以上」とかなら使いやすいのでしょうが・・・。



⑤ディミーア【諜報】

ディミーアの諜報は、数値Xを伴うキーワード処理。
デッキトップX枚確認の後、好きな枚数を墓地へ落とします。
有体にいえば≪アズカンタの探索≫のトップ確認処理をキーワード化したもの。

ひっじょーに地味ながらも、擬似的な占術な訳ですから何かしらのおまけでついてくる能力としては優秀な部類。
ギルドカラーの都合上、占術ほどバラエティ豊かなアーキタイプには恵まれないでしょうが、色さえ合えば除去・カウンター・ドロー等でもこれが付与されているものが優先される程度のバリューはあるでしょう。
コントロールデッキにおけるアズカンタとの相性は言わずもがなですね。

・≪悪意ある妨害≫

青ダブル3マナの確定カウンター。諜報1のついた≪取り消し≫。

みたまんま≪解消≫のリメイクとも言え、その≪解消≫が非常によく使われたことを考えるとこのカードも青いコントロールではよく採用されることになるでしょう。
個人的には≪提督の命令≫を使わずに済みそうなのでほっとしてます。




今回はこんなところで。
次のプレビューがきたらまた何か書くかも?
直近のスタンダードは指標になりそうな大型大会がないので、個人的なまとめも兼ねてM19参入後のメタゲーム浮上しているデッキ各種について簡単な所感を羅列しようと思います。
データの参照元は金魚や直近のSCGなどなど。


①赤黒アグロ

≪ゴブリンの鎖回し≫加入以後、環境を真っ赤に染め上げる赤黒。
M19からの新戦力は≪苦悩火≫くらいで、まともな強化はありませんでしたがどこ吹く風で相変わらずのトップメタを突っ走っています。
メタゲームの支配率としては全体の2割程度で堂々の1位。

・アグロorミッドレンジ問題

同色のアーキタイプでも、1マナ域をカットして≪ゴブリンの鎖回し≫の被害を抑えつつ≪ヴラスカの侮辱≫を撃てるくらいに黒の濃い所謂「赤黒ミッドレンジ」は減少傾向です。
≪ボーマットの急使≫4枚フル投入の上で≪航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ≫も採用されたアグロ気質なレシピをみかけることが多いです。

・空中戦を制するもの

一方で高マナ域のカードでは≪栄光をもたらすもの≫のメインボードでの採用率が増加傾向にあり、≪再燃するフェニックス≫よりも優先して2~3枚採用されるケースが多いようです。空中戦への意識が高くなっていることが伺えます。
後述の「グリクシスエネルギー」の増加に伴い、≪つむじ風の巨匠≫を見かける機会が増えたのも要因のひとつでしょうか。

4マナ域のカードが強力すぎるゆえ、採用枚数のばらつきが個々人で激しいです。
≪熱烈の神ハゾレト≫と≪反逆の先導者、チャンドラ≫が合計して4~5枚ほど採用されますが、枚数は1-3だったり2-2だったりでまちまち。このあたりはメタゲームの読み方によるのでしょう。
先ほども述べたとおり≪再燃するフェニックス≫の採用率は下がっていますが、こちらも1枚だけメインにいたりサイドにいたりでまちまち。


・除去スペルの変化

なお、冒頭で紹介した≪苦悩火≫の採用率は高くありません。(たまーにサイドに1枚とかそのレベル)
まあ元々≪木端+微塵≫が似たような役割のカードだったので改めてX火力を採用する意義が薄いのでしょう。逆にこの≪木端+微塵≫は3枚目or4枚目の≪無許可の分解≫よりも優先して必ず1枚以上採用されているデッキが多いです。
ちなみにインスタント除去では≪削剥≫と≪稲妻の一撃≫が2マナ枠を折半して同居するケースが増えており、これは結構大きな変化ではないかと思います。
≪マグマのしぶき≫や≪無許可の分解≫の採用枚数減少といいコントロール意識でしょうか?


なんにせよ、今シーズンもトップメタを完走するデッキと目してまず間違いないでしょう。


②鉄葉ストンピィ

M19発売直前まではTier2にまで落ち込んでいたこのデッキも、M19から≪茨の副官≫と≪蔦草牝馬≫を得て再びメタゲーム上位へ浮上しています。
7/14のMOPTQではTOP8に3名を送り込みました。

・≪茨の副官≫

優れたマナレシオとボードアドバンテージを失いにくい能力が赤系アグロ及びコントロールの双方に強いようで、メインボードでの採用率は非常に高いです。
パンプアップ能力はマナ効率がよくないものの、同じくマナフラッド受けになる≪ハシェプのオアシス≫と比べインスタントタイミングで起動できるのは大きな利点でしょう。
これまで緑の2マナ圏は≪マーフォークの枝渡り≫を使用するデッキが多かったですが、カードパワーの問題からそれに取って代わるカードになるかも知れません。

・≪蔦草牝馬≫

鉄葉ストンピィにおけるもっとも大きな変化は間違いなくこのカードの登場でしょう。
5/3呪禁のスペックが赤黒アグロ、グリクシスと除去スペルのカラーリングやコントロールデッキに対して強いうえ黒のクリーチャーへのアンブロッカブルを持つため接死や≪スカラベの神≫で止まることもありません。
現状多くのリストで3-4枚採用されるほどのカードになっていますが、その適切な居場所がメインなのかサイドなのかは意見が分かれているようです。


・課題は≪ゴブリンの鎖回し≫とラスゴ?

上記2種の優良クリーチャーの登場は明確な強化点となる一方、どちらも序盤の≪ゴブリンの鎖回し≫に相対すると止まりやすいのはやや気になるところです。
また、≪残骸の漂着≫≪薫蒸≫を有する青白系コントロールとの相性はやはり劇的には改善されないまま。アドバンテージ源としては新加入の≪ビビアン・リード≫にも注目したいところですが。

今期も引き続き、メタゲームの動き方でポジションの上下が激しいデッキになりそうです。



③グリクシスミッドレンジ

M19を受けてこそ成立した(復興した?)といえるのは間違いなくこの色でしょう。
期待の新星≪破滅の龍、ニコル・ボーラス≫を有するミッドレンジデッキの活躍は注目すべきところです。


・原型はどれだ

とはいったものの、まだまだ試行錯誤されている段階ゆえ現状固定化されたリストというのはまだ存在していないといっていいでしょう。
さまざまなレシピが飛び交っていますが、大きく分けて現状のグリクシスミッドレンジは以下の3タイプに分けることができます。共通項としてはボーラス自身の採用枚数が3~4なことくらいでしょうか、少なくともすべてのデッキでこのカードパワーの高さについては共通認識のようです。

Ⅰ.青黒ミッドレンジt赤

前環境でもそこそこの人気があった「青黒ミッドレンジ」に、ボーラスのためにのみ赤い土地を採用するタイプです。MOPTQでの優勝レシピもこのタイプで、現段階では主流レシピ。
かつては≪貪欲なチュパカブラ≫が収まっていたスロットを、そのままボーラスに明け渡す形のレシピが多いですね。
下記二種と比較するとマナベース面での安定感がウリでしょうか。

Ⅱ.グリクシスエネルギー

「イクサランの相克」環境でトップメタを張った、グリクシスエネルギーのアップデート版。
≪つむじ風の巨匠≫や≪蓄霊稲妻≫など赤いスペルも多く採用されており単純なデッキパワーで青黒ベースを上回りますが、その分マナベースにかかる負担もあがっています。

Ⅲ.赤黒タッチ青

少数派ですが、赤黒アグロにボーラスをタッチするアプローチをとったグリクシスも存在します。≪厄介なドラゴン≫も合わせて採用するレシピが多いらしく、海外では「グリクシスドラゴン」とも呼ばれているようです。(マナベースの補完も兼ねてか≪火の血脈、サルカン≫を採用する例もあるらしいのでこれに由来しているのかも)

赤黒の持つ前のめりな姿勢そのままに速度のファクターを引き下げて対応力を増し、その分マナベースに負担がかかっているタイプと考えるべきでしょうか。このバージョンの最大の魅力はやはり≪ゴブリンの鎖回し≫を採用できることかと思います。


メタゲーム的な立ち位置はまだ未知数ですが、単純に除去の強いカラーリングなので赤黒アグロとの相性自体は悪くなさそうです。
ただ、上記3種のうち2種は≪光袖会の収集者≫と≪機知の勇者≫を多く採用する都合上相手の≪ゴブリンの鎖回し≫とのかみ合わせが厳しいのは意識しておきたいところ。
≪破滅の龍、ニコル・ボーラス≫はコントロールデッキに対して強いデザインなことや、サイドからカウンターやハンデスを投入できる点含めて「丸い」デッキにはなりそうな感じですね。


④コントロールデッキ

コントロールデッキも赤黒アグロと同じく、M19で得るものが少なかったアーキタイプでしょう。
≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫らの加入以後、大幅にデッキパワーのあがったコントロールデッキは赤黒アグロとトップメタを争うほどでしたが、環境初期ゆえかあるいはコントロールデッキの使用者達がボーラスカラーに流れているからなのか、M19参入前環境に比べるとコントロールデッキのメタ支配率は減少傾向です。MOPTQではTOP8に姿がありませんでしたが、SCGやフランス選手権などでは活躍した模様。


・得るものなければ変わりようもなし

コントロールデッキとひとくくりにしてしまいましたが、現状のコントロールデッキは概ね以下2タイプに分類できるといっていいでしょう。


Ⅰ.青白コントロール

由緒正しき青白コン。海外の選手権やMOで人気なのは純正の青白です。
安定したマナベースからたっぷり積んだラスゴをがつがつ撃てるのが最大の魅力でしょうね。

一方でいまだにフィニッシュ手段の是非については結論を得ておらず、定番の≪奔流の機械巨人≫だったり≪黎明をもたらすもの、ライラ≫が入ってたり、勝ち筋がテフェリーしかなかったり、少数派ですが≪副陽の接近≫をゴールにするものもあります。どれも一長一短なので、おそらくローテーション落ちまでに結論がでることはないでしょう。

サイドボードに関して言えば≪べナリア史≫+≪善意の騎士≫パッケージを採用するのが一般的ですが、これも今後変化したりするのでしょうか?


Ⅱ.エスパー(青黒t白)コントロール

こちらは青黒ベース。プロツアーで日本人プレイヤーらがこぞって使用したこともあってか、国内では純正青白よりもこちらが人気です。≪ゴブリンの鎖回し≫の影響で横並び戦略が機能しにくいメタゲームの風潮も1:1交換の繰り返しを基本とする青黒コンのスタイルには追い風でしょう。
もっともタッチテフェリーの白、というパターンが定番ながらマナベースへの負担に目を瞑って≪残骸の漂着≫を採用するレシピも結構あります。
特に「鉄葉ストンピィ」を相手にする際はラスゴの有無は重要ですからね。

青白と違ってこちらはフィニッシュに環境屈指のパワーカード≪スカラベの神≫をすえるのがお決まりになっています。
コントロールミラーにおいてはサイドボードからハンデスを追加できるのも魅力のひとつ。
M19からは期待の新戦力として≪変遷の龍、クロミウム≫を獲得したのもこの色のアドバンテージでしょう。


デッキパワーは十二分ですが、サイドボード後のゲームが厳しくなる黒いビートダウンが増加傾向なのはマイナス要因でしょうか。
また、エスパーコントロールの場合は先に挙げた緑系のビートダウンとのマッチアップにおいて≪茨の副官≫≪蔦草牝馬≫の存在が厳しいものになりそうですね。



このほか「黒緑≪巻きつき蛇≫」「≪王神の贈り物≫」などのいつもの顔ぶれに加えて、M19からの新デッキとしては≪練達飛行機械職人、サイ≫の加入で生まれ変わった「青単ストーム」がMOPTQでもTOP8入りし話題になっています。
赤黒アグロ及び≪ゴブリンの鎖回し≫の存在感が衰える兆しはありませんので、新戦力を得た他アーキタイプがこれをどう対策していくかが課題でしょう。

ローテ落ちまで2ヶ月弱と短い期間のメタゲームですが、まだまだM19のカードの可能性は手探り状態。
今後のメタゲームの変化に注目です。

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