基本セット2021 カードプレビュー雑感
2020年6月15日 環境考察(スタンダード)「魔法のような時間を過ごそう/It’s Magic Time」
基本セット2021は6/25にオンラインリリース、紙での発売は7/3!
今すぐ予約だ!
はい、いつもの販促・いつもの雑感いきまーす。
いつもどーりスタン目線、レア・神話レア中心・・・だけど今回は結構アンコとか再録枠についても触れたり?
まあてきとーに。
・《悪斬の天使》
アックザーン。おかえり。5/5/5飛行・先制攻撃・絆魂にプロテクションデーモン・ドラゴン。平成を代表する大型天使の再録。
・・・なのはいいんだが、パワーインフレ加速するこの令和の時代にふさわしい戦闘力を備えているかと言われると些か不安が残るところ。ドミナリアでの《黎明をもたらすもの、ライラ》はなんだかんだ青白コンの対アグロ用サイドだったりに居場所があったのでそういうポジションに落ち着きそうだ。
そもそも悪斬のような大型ライフリンククリーチャーが得意とするアグロ的なゲームレンジがあまり日の目をみていない現状、かつてのような活躍を期待するという方が無理な話か?
とはいえアグロ殺しなことは間違いない、白を含むミッドレンジ以降のデッキでは変わらずサイド候補となるだろう。競合候補は《太陽の恵みの執政官》あたり、仮想敵はグルールアグロや赤単、ラクドスサクリファイスといったところか。環境の動きに期待しよう。
・《バリス・テト》
今回の新顔、白単色のPW、バリス。
3マナで初期忠誠度は3。
+1能力は自軍生物1体への+1/+1カウンターの配置、ターン終了時まで破壊不能も付与。小型の《不敗の陣形》といったところ。あちらと同じくソーサリーでの破壊不能付与なのでインスタント除去には弱く、この点単体強化故にあちらよりも顕著。基本的には戦闘での優位のみを重視した能力。
-2能力はこのターンの自軍攻撃時、攻撃クリーチャーの数だけ1/1の兵士トークンを攻撃状態で呼び出すトークン生成能力。理論上は起動するたび倍々ゲームになっていくが、マイナス能力なため連打は効かない。アンセムやロード等全体強化を絡めると爆発的に火力が上がるのでそこらへんのシナジーが必須になるか。
-6能力は「戦闘開始時に1/1の兵士トークン生成、その後自軍生物全員に+1/+1カウンター配置」の紋章付与。よくあるトークン無限生成奥義。流石に普通に勝てるし、その割には登場から最速3Tで奥義可能なのでプレッシャーはある方。
+1、-2能力双方で味方クリーチャーを要求するわかりやすい白ウィニー向けのPW。基本的には「並べて殴る」を地で行くPWで、性質的にはWARの《黒き剣のギデオン》に近い。あちらと違い自身が打点にならない分、勝てる奥義があるといった塩梅。
しかしそのギデオン共々、能力が単調で採用できるアーキタイプが狭い。活躍できるかは白ウニ系のデッキがどこまでメタ上位にくるかどうか次第といったところ。
・《天使への昇天》
2マナの除去インスタント。対象の生物orPWを追放し、コントローラーに4/4飛行の天使トークンを与える。白によくある「何らかの代償つき追放除去」だが、デメリットが重すぎて《過大な贈り物》クラスに普通のデッキでは使いにくくなっている。
どんなクリーチャーやPWも一発で追放できるのは結構だが、代わりに出てくるのがセラ天クラスのフライヤーとなると流石に令和のMTGといっても限度がある。《時を解す者、テフェリー》などのバウンスと併用するなどしてデメリットを緩和する必要があるが、そこまでお膳立てするくらいなら多少重くても最初から確定除去を使ったほうがいいだろう。
除去の薄いカラーリングで、4/4飛行を無視できるほど程にビートと軸のずれたデッキが成立すればあるいは・・・?
・《時の支配者、テフェリー》
青のPWはここ数年ですっかり悪名ばかりが先行したハゲことテフェリー。
今回は青単色、4マナの初期忠誠度3。
まず大前提として、こちらもすっかりWAR以来の悪しき慣習と化した常在型能力持ち。今回は「相手ターン中、忠誠度能力をインスタントタイミングで起動可能」というもの。かなり限定的だが、初代PWのテフェリー《時間の大魔道士、テフェリー》の奥義を内蔵しているような形。一応言っておくと勿論相手ターンに起動できるといっても1ターンに1度のみ。
+1能力は単純なルーター。引いて捨てるだけ。昨今PWのルーターでは珍しく任意の書式でないため、起動すれば必ず引いて捨てなければならず「忠誠度を上げるだけ」ができない。《覆いを割く者、ナーセット》相手にハマってしまう可能性に注意。
-3能力は歴戦のMTGおじ達でも困惑する再録処理、「フェイズアウト」。色々悪さすることを警戒したか、対象は敵軍生物限定。(悪用を危惧するなら普通にバウンスかブリンクでよかったのでは・・・?)
忠誠度の消費が大きいので乱発ができないものの、自衛に貢献する能力。
-10能力は追加ターン2回。《時間の伸長》。単体で勝つことはできないものの派手。もっとも、-10を起動できるまでカードを引き続けていたならエクトラターン2回で勝てないとはも思えんが。
相手ターンでも能力が起動できることから、実質毎ターン忠誠度を2つ上げながらデッキを2枚掘れるので見た目よりは硬そうなPW。ただし、フェイズアウトは限定的すぎて除去としてカウントしていいかどうか疑わしい部分があるため、盤面に触るカードは別途必要になるだろう。
PW単体としては盤面に与えるプレッシャーが低く、アドバンテージを稼ぐこともできないため個人的な評価は低め。デッキを高速で掘り下げ、申し訳程度の自衛ができることから、ルーターでパーツを探しにいくドロー主体のコンボ向け。ルーターできればできるほどに嬉しい「イゼットフェニックス」あたりが適所か?
・《大慌ての棚卸し》
単体ではただのキャントリップだが、自身の墓地にある同名カードの枚数分引くカードが増えていく。相手の墓地を参照しない《蓄積した知識》で、名実共に通り《棚卸し》のインスタント版。
その仕様上長期戦、あるいはルーターを繰り返すデッキで真価を発揮する。
しかし意外にも今期スタンはキャントリップ枠が青単色のインスタントタイミングに限っても1マナの《選択》、コントロール向けなら《海の神のお告げ》、コンボ用にも《急進思想》と充実しておりそこに切り込んでいけるかは注目か。
・《Sublime Epiphany》
レアのインスタント。日本語訳するなら「荘厳な悟り」とかそんなん。
6マナと重量級でなんと5つのモードを持ち、しかもそれぞれを任意の組み合わせで使うことができる。モードは以下の通り。
①呪文の打ち消し(対抗呪文)
②起動型・誘発型能力の打ち消し(もみ消し)
③非土地パーマネントのバウンス(分散)
④自軍生物のコピートークン生成(複製の儀式)
⑤1ドロー
マローからの予告にあった、「31通りの組み合わせでキャストできる」呪文。青のインスタントで行える大概のことが可能で、見た目の派手さはすごい。
ただ、こんだけゴテゴテつけられて挙げ句に呪文が重くなってしまうと逆に使いにくい。6マナ払えば大体の場合即座にゲームに勝てるカードが出てくる現代、このマナ域のリアクションスペルそのものの価値が低いというのが正直な所。
あまつさえスペルの打ち消しの①と能力の打ち消しの②が重複する意味が薄く、そこピンポイントになる《ハイドロイド混成体》や《サメ台風》を睨むにしてすら、3マナ軽く《旋風のごとき否定》が存在しており器用貧乏ここに極まるといった感じ。流石に6マナ払うなら2ドローはさせてほしかったな。
価値を見出すとすればインスタントタイミングで(自軍生物限定だが)《クローン》を出せることだろう。ある程度マナが伸び、クリーチャーもある程度出していけるデッキなら6マナでクリコマ版《エリマキ神秘家》みたいな感覚で使用できないこともない、かもしれない。除去されそうになったクリーチャーを手札に戻しつつ、コピーをだすことでそれを維持するなんて芸当も可能?(ルール的にどうかはリリースノート待ち)
結局のところ重さが足を引っ張るのはどうしようもない。夢はあるが。
・《死者を目覚めさせる者、リリアナ》
こいついつも死者目覚めさせてんな。
通算11枚目となるリリアナ。今回は4マナ初期忠誠度4。
+1能力は《ヴェールのリリアナ》と同じく相互ハンデス。-能力2種への布石にもなっている。流石にヴェリアナも令和の時代に合わせアップデートされたらしく、相手がカードを捨てられなければ3点ライフルーズのおまけ付き。勿論自分は捨てられなくてもダメージはない、優しい。
-2能力はマイナス修整による単体除去。修整値は自分の墓地の枚数依存。
このコスト帯の除去としてカウントするなら-4/-4修整くらいはほしいので、そこそこカードの消費の荒いデッキ向け、あるいは墓地肥やしの併用が必要か。とはいえそこまで気合い入れて墓地を肥やさなくても小型を潰したり戦闘絡めるなら充分使いやすい部類、特殊なシナジーを要さない程度の汎用性はある。ただし自分が脱出を使う場合は相性が良くない点に注意。
-7は戦闘開始の度にいずれかの墓地から生物を釣り上げて速攻付与する紋章。毎ターン《蘇生の絆》が誘発するようなもので、勿論勝利に直結する強力な奥義。
総じて、実は今まで微妙に空席だった殴り気のあるミッドレンジ系の黒いデッキ用PWといった感じ。単体でアドバンテージを稼げないのはやや気にかかるが、そのテのデッキが成立すればおよびはかかるだろう。
ただし、絶賛活躍中の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》との相性は最悪に近い。ハンドを攻めてもライフを攻めても墓地から戻ってきてそれをリカバリーする天敵。青緑つよすぎんよー。
・《Kaervek, the Spiteful》
久々登場、ケアヴェク先生。今回は黒単色の4マナ。日本語訳は・・・なんだ?《悪意のケアヴェク》とかか?
4/3/2と平均的スタッツを持つが、《魂の裏切りの夜》を内蔵しているタフ1自動殲滅装置。自身はマイナス修整を受けない。
タフ1を並べて殴る赤単やトークンデッキが軒並み封殺されるアグロ殺し。
同じような性能を持つ《虐殺少女》と比べ、1マナ軽く後続も封じられるのが強み。ただスタッツは《ショック》圏内のため場持ちは悪く、戦闘向けキーワードも持たず自軍生物も弱体化されるためパンチ力で劣る。
虐殺少女より1マナ軽いのは明確に大きく、《成長のらせん》からきれいにつながるのでスゥルタイランプなどでは枠を譲り合うことも検討できるか。
・《炎の心、チャンドラ》
12枚目のチャンドラ。多いよ。
今回は5マナの初期忠誠度5。2つの+1能力を持つPW。
1つ目の+1は衝動的ドロー。手札をすべて捨てて、ライブラリトップ3枚を追放しこのターンのプレイ権を得る。「プレイ」なので今回は土地もセット可能。
事実上3ドローではあるが、流石に毎ターン手札を捨てる以上能動的なデッキでの用途に限定される。手札使いの荒いデッキで使用すべきだろう。
毎ターン使い切っていれば勿論圧倒的なアドバンテージ。
2つ目の+1は《ショック》そのもの。エニーターゲット2点火力。これを+しながら放てるのが強力。自身が元々固めなので、自衛しながら忠誠度を上げていく恐ろしさは同パック再録の《精霊龍、ウギン》が証明ずみ。
唯一のマイナス能力、-9は墓地とライブラリーから任意の枚数赤のインスタント・ソーサリーを追放しそのターンそれらのプレイ権を得る奥義。ただ、プレイ権を得るだけでマナは必要になるため、赤マナ6点がついてくる。
個々の能力は強力だが、重さと奥義とゲームレンジの噛み合うデッキがどれかと言われるとちょっとむずかしい。
赤単では5マナが重く、グルールでは奥義が噛み合いにくく既に同マナ域に《怪物の代言者、ビビアン》がいる。鈍足のコントロールでは手札を保持できないので火力装置としての運用になりがち・・・と、すべての能力を十全には活かしにくい印象。この忠誠度の高さから毎ターンショック飛ばしまくる事自体は強いはずなので、どこに席を見つけるか注目しよう。
・《冠滅ぼしのガドラク》
3/5/4飛行と驚異のスタッツを持つドラゴン。
当然攻撃参加には条件付きで、アーティファクト4つ以上のコントロールが必要。現代のクリーチャーなので、ブロックはいつでもできる。なぜだ。
自身の終了ステップにこのターン死亡した生物の数だけ宝物トークンを生成する。
パッと考えつくのはやはり《魔女のかまど》擁するサクリファイス系での採用。
食物トークンの生成や《大窯の使い魔》の循環との相性は抜群に見える。
ただし、「自分終了ステップ」の都合お決まりのひとつである「相手エンドに猫ぐーるぐる」では宝物が増えない。3マナ域はサクリファイスデッキでも激戦区なのでそこに割って入れるかどうか。
・《雷光の猟犬》
3/2/2速攻、今回の推し部族の犬にしてエレメンタル。
攻撃時に他の攻撃クリーチャーへ+1/+0修整、つまり喚声を持つウィニー。
純粋に「並べて殴る」を強力にサポートできる優良生物。
部族にも恵まれておりアンコモンながら個人的に印象深い強力な1枚。
現行スタンにおける竹槍アグロの看板《災厄の行進》と比べ1マナ重いが、自身も速攻で打点貢献する上にあちらと併用も可能で爆発力がある。
3マナ圏はチャンドラやフェニックス・アナックスと激戦区だが・・・?
・《解き放たれた者、ガラク》
通算7枚目、久々の単色ガラク。
今回は4マナで初期忠誠度4。
+1で対象生物に+3/+3修整とトランプル付与。《捕食者の一撃》。
力こそパワー。無論自軍生物を用意する必要がある。クロックを単純に早めるので優勢時に輝く能力。
-2でいつもの3/3ビーストトークン生成。しかし、相手より生物が少ない場合はガラクの忠誠度が1回復し実質-1能力となる。省エネかつ優秀。劣勢時に3/3が頼りになるサイズかどうかは相手次第だが・・・。
-7で毎ターン終了時にライブラリから生物をノーコストでリクルートする紋章付与。豪快でワイルド。勿論勝てる奥義だが、実はシミックカラーだとウーロやハイドロイドなど意外とリクルートとの相性が良くない生物もいる。既存のランプとは意外とマッチしないかもしれない。
総じて純粋なビートダウン向けの能力を持ったPW。
素直にグルールあたりが居場所になるか、あるいは変容デッキにビビアンと併せて組み込んで変容の種とするか。直線的なPWなんでデッキは想像しやすい部類ですね、使われるかはわかりませんけど。
単体で考えると、基本「-能力を使用してから+していくPW」になるのでそこが個人的にはちょいネック。そのタイプのPW、あんまりアタリだったことがない印象が強いもので。実際に活躍できるかは君の目で確かめろ!!!
・《長老ガーガロス》
5/6/6、警戒・到達・トランプル。
《探索する獣》に連なるキーワード盛り盛りの神話生物。
加えて、攻撃ブロック時に能力が誘発し「3点ゲイン」・「3/3トークン」・「1枚ドロー」から選べるという欲張りセット。
なんか「もう盛れるだけ盛っとけどうせ速攻ないんやし」みたいなある種の「切れ」を感じるクリーチャーインフレの最先端。このスペックで伝説でもないあたりがもう。
さて、巷でさんざんいわれてるように「出たターンなんもしなけりゃ実質バニラ」は実際間違ってはいない。テフェリーペス勝つ借り手霊気の疾風と低マナ域~高マナ域に至るまでこいつを触る手段が溢れかえっている。特にペス勝つと同マナ域なのは大きなマイナスポイント。
ただもう白・黒の除去に弱いのはいつもの緑の弱点と割り切るべきで、むしろ赤単やサクリファイスのような確定除去に乏しい色・デッキへの究極のキラーカードとして見たほうが無難か。警戒トランプルで攻防にスキがなくゲインで延命、トークンで横に広がりターンを重ねるごとに無茶苦茶するはず。勿論悪斬理論で除去されるの前提に4枚積みするのもアリ、探索する獣からこれを両方処理しろ!と迫るのも緑ぽくていい。
正直ここまで下馬評が悪いとむしろ活躍してるところがみたくなってきたよね。
・《胞子網の織り手》
現代マジックにおける優良部族の一つ、蜘蛛のレア枠。
3/1/4到達といつものボディに加え、青からの呪禁。
そして、ダメージをもらうたびに苗木トークンを生成し1点のゲイン。
青からの呪禁の割に、性能は地上も空中もがっちりガードなアグロ殺し。勿論出さえすれば霊気の疾風やテフェリーでのバウンスが効かないのは優秀なのであって損はない。
おそらく青単や青白飛行のような小粒アーキタイプへのアンチカードとしてのデザインだろうが、普通に緑のミッドレンジならサイドに置いておきたい性能。とりあえずこいつは押さえておきたいカードかな。
・《精霊龍、ウギン》
なぜ再録した・・・(絶望)
ご存知8マナからこんにちわ、ミッドレンジからアグロまで-X能力で粉砕する無色のマナカ―ブ頂点にして最強クラスの1枚。
既にタルキール期スタンを経験した人ならおわかりであろうが、-X能力で一掃した後+能力で後続を忠誠度を上げながら対応していくという驚異的な自衛能力を持つPW。無色のパーマネントにこそ弱いが、その蓋能力を圧倒的でかつ無色なために搭載するデッキの色を選ばないとんでもないPW。
ランプでこれを高速で呼び出すもよし、コントロールでゆったりこれを呼び出すもよし。次環境の目玉になると思います、泣く泣く買います。
PTFもありますし、ぼちぼちスタンも盛り上がるといいですね。
今回はこんなとこで。
ではまた次回。
コメント