直近のスタンダードは指標になりそうな大型大会がないので、個人的なまとめも兼ねてM19参入後のメタゲーム浮上しているデッキ各種について簡単な所感を羅列しようと思います。
データの参照元は金魚や直近のSCGなどなど。


①赤黒アグロ

≪ゴブリンの鎖回し≫加入以後、環境を真っ赤に染め上げる赤黒。
M19からの新戦力は≪苦悩火≫くらいで、まともな強化はありませんでしたがどこ吹く風で相変わらずのトップメタを突っ走っています。
メタゲームの支配率としては全体の2割程度で堂々の1位。

・アグロorミッドレンジ問題

同色のアーキタイプでも、1マナ域をカットして≪ゴブリンの鎖回し≫の被害を抑えつつ≪ヴラスカの侮辱≫を撃てるくらいに黒の濃い所謂「赤黒ミッドレンジ」は減少傾向です。
≪ボーマットの急使≫4枚フル投入の上で≪航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ≫も採用されたアグロ気質なレシピをみかけることが多いです。

・空中戦を制するもの

一方で高マナ域のカードでは≪栄光をもたらすもの≫のメインボードでの採用率が増加傾向にあり、≪再燃するフェニックス≫よりも優先して2~3枚採用されるケースが多いようです。空中戦への意識が高くなっていることが伺えます。
後述の「グリクシスエネルギー」の増加に伴い、≪つむじ風の巨匠≫を見かける機会が増えたのも要因のひとつでしょうか。

4マナ域のカードが強力すぎるゆえ、採用枚数のばらつきが個々人で激しいです。
≪熱烈の神ハゾレト≫と≪反逆の先導者、チャンドラ≫が合計して4~5枚ほど採用されますが、枚数は1-3だったり2-2だったりでまちまち。このあたりはメタゲームの読み方によるのでしょう。
先ほども述べたとおり≪再燃するフェニックス≫の採用率は下がっていますが、こちらも1枚だけメインにいたりサイドにいたりでまちまち。


・除去スペルの変化

なお、冒頭で紹介した≪苦悩火≫の採用率は高くありません。(たまーにサイドに1枚とかそのレベル)
まあ元々≪木端+微塵≫が似たような役割のカードだったので改めてX火力を採用する意義が薄いのでしょう。逆にこの≪木端+微塵≫は3枚目or4枚目の≪無許可の分解≫よりも優先して必ず1枚以上採用されているデッキが多いです。
ちなみにインスタント除去では≪削剥≫と≪稲妻の一撃≫が2マナ枠を折半して同居するケースが増えており、これは結構大きな変化ではないかと思います。
≪マグマのしぶき≫や≪無許可の分解≫の採用枚数減少といいコントロール意識でしょうか?


なんにせよ、今シーズンもトップメタを完走するデッキと目してまず間違いないでしょう。


②鉄葉ストンピィ

M19発売直前まではTier2にまで落ち込んでいたこのデッキも、M19から≪茨の副官≫と≪蔦草牝馬≫を得て再びメタゲーム上位へ浮上しています。
7/14のMOPTQではTOP8に3名を送り込みました。

・≪茨の副官≫

優れたマナレシオとボードアドバンテージを失いにくい能力が赤系アグロ及びコントロールの双方に強いようで、メインボードでの採用率は非常に高いです。
パンプアップ能力はマナ効率がよくないものの、同じくマナフラッド受けになる≪ハシェプのオアシス≫と比べインスタントタイミングで起動できるのは大きな利点でしょう。
これまで緑の2マナ圏は≪マーフォークの枝渡り≫を使用するデッキが多かったですが、カードパワーの問題からそれに取って代わるカードになるかも知れません。

・≪蔦草牝馬≫

鉄葉ストンピィにおけるもっとも大きな変化は間違いなくこのカードの登場でしょう。
5/3呪禁のスペックが赤黒アグロ、グリクシスと除去スペルのカラーリングやコントロールデッキに対して強いうえ黒のクリーチャーへのアンブロッカブルを持つため接死や≪スカラベの神≫で止まることもありません。
現状多くのリストで3-4枚採用されるほどのカードになっていますが、その適切な居場所がメインなのかサイドなのかは意見が分かれているようです。


・課題は≪ゴブリンの鎖回し≫とラスゴ?

上記2種の優良クリーチャーの登場は明確な強化点となる一方、どちらも序盤の≪ゴブリンの鎖回し≫に相対すると止まりやすいのはやや気になるところです。
また、≪残骸の漂着≫≪薫蒸≫を有する青白系コントロールとの相性はやはり劇的には改善されないまま。アドバンテージ源としては新加入の≪ビビアン・リード≫にも注目したいところですが。

今期も引き続き、メタゲームの動き方でポジションの上下が激しいデッキになりそうです。



③グリクシスミッドレンジ

M19を受けてこそ成立した(復興した?)といえるのは間違いなくこの色でしょう。
期待の新星≪破滅の龍、ニコル・ボーラス≫を有するミッドレンジデッキの活躍は注目すべきところです。


・原型はどれだ

とはいったものの、まだまだ試行錯誤されている段階ゆえ現状固定化されたリストというのはまだ存在していないといっていいでしょう。
さまざまなレシピが飛び交っていますが、大きく分けて現状のグリクシスミッドレンジは以下の3タイプに分けることができます。共通項としてはボーラス自身の採用枚数が3~4なことくらいでしょうか、少なくともすべてのデッキでこのカードパワーの高さについては共通認識のようです。

Ⅰ.青黒ミッドレンジt赤

前環境でもそこそこの人気があった「青黒ミッドレンジ」に、ボーラスのためにのみ赤い土地を採用するタイプです。MOPTQでの優勝レシピもこのタイプで、現段階では主流レシピ。
かつては≪貪欲なチュパカブラ≫が収まっていたスロットを、そのままボーラスに明け渡す形のレシピが多いですね。
下記二種と比較するとマナベース面での安定感がウリでしょうか。

Ⅱ.グリクシスエネルギー

「イクサランの相克」環境でトップメタを張った、グリクシスエネルギーのアップデート版。
≪つむじ風の巨匠≫や≪蓄霊稲妻≫など赤いスペルも多く採用されており単純なデッキパワーで青黒ベースを上回りますが、その分マナベースにかかる負担もあがっています。

Ⅲ.赤黒タッチ青

少数派ですが、赤黒アグロにボーラスをタッチするアプローチをとったグリクシスも存在します。≪厄介なドラゴン≫も合わせて採用するレシピが多いらしく、海外では「グリクシスドラゴン」とも呼ばれているようです。(マナベースの補完も兼ねてか≪火の血脈、サルカン≫を採用する例もあるらしいのでこれに由来しているのかも)

赤黒の持つ前のめりな姿勢そのままに速度のファクターを引き下げて対応力を増し、その分マナベースに負担がかかっているタイプと考えるべきでしょうか。このバージョンの最大の魅力はやはり≪ゴブリンの鎖回し≫を採用できることかと思います。


メタゲーム的な立ち位置はまだ未知数ですが、単純に除去の強いカラーリングなので赤黒アグロとの相性自体は悪くなさそうです。
ただ、上記3種のうち2種は≪光袖会の収集者≫と≪機知の勇者≫を多く採用する都合上相手の≪ゴブリンの鎖回し≫とのかみ合わせが厳しいのは意識しておきたいところ。
≪破滅の龍、ニコル・ボーラス≫はコントロールデッキに対して強いデザインなことや、サイドからカウンターやハンデスを投入できる点含めて「丸い」デッキにはなりそうな感じですね。


④コントロールデッキ

コントロールデッキも赤黒アグロと同じく、M19で得るものが少なかったアーキタイプでしょう。
≪ドミナリアの英雄、テフェリー≫らの加入以後、大幅にデッキパワーのあがったコントロールデッキは赤黒アグロとトップメタを争うほどでしたが、環境初期ゆえかあるいはコントロールデッキの使用者達がボーラスカラーに流れているからなのか、M19参入前環境に比べるとコントロールデッキのメタ支配率は減少傾向です。MOPTQではTOP8に姿がありませんでしたが、SCGやフランス選手権などでは活躍した模様。


・得るものなければ変わりようもなし

コントロールデッキとひとくくりにしてしまいましたが、現状のコントロールデッキは概ね以下2タイプに分類できるといっていいでしょう。


Ⅰ.青白コントロール

由緒正しき青白コン。海外の選手権やMOで人気なのは純正の青白です。
安定したマナベースからたっぷり積んだラスゴをがつがつ撃てるのが最大の魅力でしょうね。

一方でいまだにフィニッシュ手段の是非については結論を得ておらず、定番の≪奔流の機械巨人≫だったり≪黎明をもたらすもの、ライラ≫が入ってたり、勝ち筋がテフェリーしかなかったり、少数派ですが≪副陽の接近≫をゴールにするものもあります。どれも一長一短なので、おそらくローテーション落ちまでに結論がでることはないでしょう。

サイドボードに関して言えば≪べナリア史≫+≪善意の騎士≫パッケージを採用するのが一般的ですが、これも今後変化したりするのでしょうか?


Ⅱ.エスパー(青黒t白)コントロール

こちらは青黒ベース。プロツアーで日本人プレイヤーらがこぞって使用したこともあってか、国内では純正青白よりもこちらが人気です。≪ゴブリンの鎖回し≫の影響で横並び戦略が機能しにくいメタゲームの風潮も1:1交換の繰り返しを基本とする青黒コンのスタイルには追い風でしょう。
もっともタッチテフェリーの白、というパターンが定番ながらマナベースへの負担に目を瞑って≪残骸の漂着≫を採用するレシピも結構あります。
特に「鉄葉ストンピィ」を相手にする際はラスゴの有無は重要ですからね。

青白と違ってこちらはフィニッシュに環境屈指のパワーカード≪スカラベの神≫をすえるのがお決まりになっています。
コントロールミラーにおいてはサイドボードからハンデスを追加できるのも魅力のひとつ。
M19からは期待の新戦力として≪変遷の龍、クロミウム≫を獲得したのもこの色のアドバンテージでしょう。


デッキパワーは十二分ですが、サイドボード後のゲームが厳しくなる黒いビートダウンが増加傾向なのはマイナス要因でしょうか。
また、エスパーコントロールの場合は先に挙げた緑系のビートダウンとのマッチアップにおいて≪茨の副官≫≪蔦草牝馬≫の存在が厳しいものになりそうですね。



このほか「黒緑≪巻きつき蛇≫」「≪王神の贈り物≫」などのいつもの顔ぶれに加えて、M19からの新デッキとしては≪練達飛行機械職人、サイ≫の加入で生まれ変わった「青単ストーム」がMOPTQでもTOP8入りし話題になっています。
赤黒アグロ及び≪ゴブリンの鎖回し≫の存在感が衰える兆しはありませんので、新戦力を得た他アーキタイプがこれをどう対策していくかが課題でしょう。

ローテ落ちまで2ヶ月弱と短い期間のメタゲームですが、まだまだM19のカードの可能性は手探り状態。
今後のメタゲームの変化に注目です。

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